輸出コンテナの放射線測定ガイドライン よくある質問と回答
問1 ガイドライン策定の目的は何か?
(答)
東京電力福島第1原発からの放射性物質流出を受けて、我が国発のコンテナ及び船舶の安全性に関し海外から懸念の声が上がっており、我が国発のコンテナ及び船舶に関する放射線検査の実施・強化や京浜港等への寄港取りやめが確認されているなか、船舶運航事業者等や海外政府から我が国から輸出されるコンテナの放射線量の証明について要請があったところです。
港湾管理者と共に港湾における風評被害対策に取り組むため、国として輸出コンテナの放射線測定のためのガイドラインを定め、証明書発行のスキームを確立したものです。
問2 ガイドラインは全ての輸出コンテナに対し放射線の測定を義務づけるものか?
(答)
輸出コンテナに対する放射線の測定は船舶運航事業者等(等はターミナルオペレーター等)が任意に行うものであり、ガイドラインにより放射線の測定を義務づけしたものではありません。
問3 ガイドラインは全ての輸出コンテナに対し証明書の取得を義務づけるものか?
(答)
証明書は船舶運航事業者等からの要請に応じて発行されるものであり、証明書の取得を船舶運航事業者等に対し義務づけたものではありません。
なお、証明書の発行については、コンテナターミナル単位で導入することとしています。
問4 船舶運航事業者等が証明書を取得するメリットは何か?
(答)
輸出先の港で、輸出コンテナの放射線量の証明を求められたときに証明書として提示でき輸出が阻害されないよう活用できると考えています。
なお、証明書の提示により、入港時の通関検査等を簡素化することを検討している国もあると聞いています。
問5 コンテナの放射線量を測定する者は何か資格を必要とするのか?
(答)
ガイドラインでは測定者に対し特別な資格を求めておりませんが、測定者は測定機器や測定方法等放射線計測に対する一般知識を理解している必要があります。そのため、証明書の発行開始前に測定者の放射線計測に対する能力について国及び港湾管理者が申請者に対し確認することにしています。
なお、横浜港や東京港において、測定者は測定機器の使い方や測定方法等放射線計測についての研修を受けた者が測定者となっています。
問6 除染を行う者は資格が何か必要か?
(答)
ガイドラインにおいては、除染基準値を超え、5μSv/h未満までは除染を行うこととしていますが、その際、除染を行う者は特段の資格を必要としていません。
問7 国と港湾管理者は証明書の発行に当たり何を、どの様にチェックするのか?
(答)
船舶運航事業者等から港湾管理者に証明書発行の申請があった場合、証明書を発行する前に、国と港湾管理者で測定機器及び測定方法、計測に関する測定者の能力について確認することとしています。
また、除染基準値を超えたコンテナの除染方法、除染場所及び関係者の連絡体制等について、証明書の発行開始前に、国、港湾管理者、船舶運航事業者、放射線測定者、除染を行う者等港湾関係者間で取り決めておくことにしています。更に、証明書発行開始後もガイドライン通り測定されているか、国と港湾管理者で定期的に確認することとしています。
問8 コンテナの放射線の測定や除染方法は各港で統一した方法となるのか?
(答)
コンテナの測定場所、除染方法、除染の場所及び証明書の様式等については、各港、各ターミナルの事情により異なると想定しています。
問9 荷主は証明書の発行を申請できるのか?
(答)
ガイドラインに基づく証明書の発行は船舶運航事業者等に対してであり、荷主に対し証明書の発行は行っていません。
問10 荷主が証明書の発行を受けたいときは誰に要請すればよいのか?
(答)
荷主が証明書を必要とする場合、船舶運航事業者又は、船舶代理店を通じて船舶運航事業者に証明書発行の要請を行うか、港湾管理者に対し直接証明書発行の要請を行う事となります。その後、船舶運航事業者等と港湾管理者との調整が整い、港湾管理者が証明書発行を決定し、国に要請があれば船舶運航事業者等に証明書が発行されることとなります。
問11 船舶運航事業者等にコンテナの証明書が発行された場合、荷主は証明書の原本をもらえるのか?
(答)
証明書は証明書の申請者たる船舶運航事業者等に発行されることになります。そのため、荷主が証明書の原本を必要とする場合は船舶運航事業者等と調整して頂くこととなります。
問12 貨物に放射線測定の証明書を発行することはできるのか?
(答)
本ガイドラインでは、輸送容器であるコンテナを対象としたものです。
なお、貨物の放射線量に対する証明書は国土交通省としては発行していません。
問13 証明書の発行費用及び放射線の測定に係る費用は誰が負担するのか?
(答)
証明書の発行費用は発生しないと考えていますが、放射線の測定費用については測定が必要な者が負担することになると考えています。
問14 測定費用に対する国の補助制度はあるのか?
(答)
輸出コンテナの測定費用については経済産業省の「平成23年度貿易円滑化事業」の活用ができます。
問15 基準としてγ線の放射線量率を選択した理由は何か?
(答)
放射線の特性(透過力など)からサーベイメーターはα線、β線を計測するものと、γ線を計測するものに大別されます。α線、β線は放射能の強さ(Bq/cm2)で評価し、γ線は放射線量率(Sv/h)で評価されることが通常です。
α線、β線から放射能の強さ(Bq/cm2)を計測するには非常に手間が掛かり、現場で簡易的に計測できず、物流に支障を来す恐れがあることと、諸外国において、放射能の強さ(Bq/cm2)を基準として採用していても、一次スクリーニングは放射線量率(Sv/h)としている国もあることから、基準としてγ線の放射線量率を選択しました。
問16 バックグランド値の3倍及び5μSv/hの根拠は何か?
(答)
ガイドラインの5.基準値に示されているようにコンテナの除染が必要であると判断する基準値(除染基準値)は、IAEAの報告文書IAEA-TECDOC-1162に準拠し、コンテナ測定場所のバックグラウンド放射線量率の値の3倍の値としました。
コンテナの除染を行う前に、関係機関へ通報し対応方法について指示を仰ぐ基準値(通報基準値)は、IMDGコード7.1.14.12に準拠し、5μSv/hとしました。
なお、4月28日から7月2日までの京浜港での測定実績によると、バックグラウンド放射線量の平均値は約0.1μSv/hとなっています。
問17 測定機器の検出範囲の下限値が150KeVに改正された理由は?
(答)
現在、増産体制が取られ市場に普及しつつある放射線計測機器(CsI(Tl)シンチレーター式サーベイメーター)があります。その仕様では検出範囲の下限値が150KeVとなっているため、全国的に放射線計測機器が不足している現状を鑑みて、より多くのサーベイメーターをコンテナの放射線測定に使用できるよう、検出範囲の下限を150KeVに引き上げました。
なお、現時点で福島第一原発から環境中に放出された放射性物質は、主にヨウ素131、セシウム134、セシウム137であるため、下限値を150KeVに引き上げてもコンテナの放射線測定において問題はありません。
●お問い合わせ先
国土交通省港湾局総務課
港湾における輸出コンテナの放射線測定のためのガイドライン
港湾局総務課危機管理室
港湾において輸出コンテナの放射線の線量当量率(以下、「放射線量率」という。)を測定する場合について、以下の通り測定方法等を定めたので、当分の間、港湾において輸出コンテナの放射線量率を測定する際には、本ガイドラインを参考に実施されたい。
1.測定場所
コンテナターミナルのゲート部を基本とし、ゲート部での測定が困難な場合は関係者と調整の上、測定場所を別に定める。
コンテナターミナルのゲート部を基本とし、ゲート部での測定が困難な場合は関係者と調整の上、測定場所を別に定める。
2.測定機器
測定に用いる機器は次の仕様を満たしていること。
方式:GM 式、シンチレーター式、電離箱式及び半導体式サーベイメーター
検出対象:γ(ガンマ)線を計測できること
検出範囲:γ線の検出範囲として、下限60keV 以下、上限1.25MeV 以上
少なくとも0.1μSv/h~10μSv/h の範囲の1cm線量当量率を検出できること
精度:137Cs に対して±20%以内
校正:計量法認定事業者等の校正証明書、メーカー証明書、又は、証明書に代わる所
有者等の自主検査記録により、校正等が適正に行われていることが確認できるこ
と。(1年以内に校正が行われていることが望ましい。)
測定に用いる機器は次の仕様を満たしていること。
方式:GM 式、シンチレーター式、電離箱式及び半導体式サーベイメーター
検出対象:γ(ガンマ)線を計測できること
検出範囲:γ線の検出範囲として、下限60keV 以下、上限1.25MeV 以上
少なくとも0.1μSv/h~10μSv/h の範囲の1cm線量当量率を検出できること
精度:137Cs に対して±20%以内
校正:計量法認定事業者等の校正証明書、メーカー証明書、又は、証明書に代わる所
有者等の自主検査記録により、校正等が適正に行われていることが確認できるこ
と。(1年以内に校正が行われていることが望ましい。)
なお、国によっては判断基準をBq/cm2 で設定している国もあるので、機器選定においては留
意すること。
意すること。
3.測定方法
(1)トラクターヘッドがついているシャーシ上のコンテナについては、標準としてコンテナの左右
側面と後面の計3 面で、地上1.5m 以上の高さで出来る限りコンテナ表面に測定機器を近づけ
て(機器を直接コンテナ表面に当てないように注意すること。)測定値が安定するまで測定(仕
様機器時定数の約3 倍程度)し、各箇所の放射線量率の最大値と最小値をそれぞれ記録する。
(1)トラクターヘッドがついているシャーシ上のコンテナについては、標準としてコンテナの左右
側面と後面の計3 面で、地上1.5m 以上の高さで出来る限りコンテナ表面に測定機器を近づけ
て(機器を直接コンテナ表面に当てないように注意すること。)測定値が安定するまで測定(仕
様機器時定数の約3 倍程度)し、各箇所の放射線量率の最大値と最小値をそれぞれ記録する。
(2)トラクターヘッドがついていないコンテナについては、標準としてコンテナの左右側面と前面
及び後面の計4 面で(1)と同様の測定及び記録を行う。
なお、コンテナの放射線量率を測定する際にはバックグラウンドの放射線量率も同時に測定し
記録する。
及び後面の計4 面で(1)と同様の測定及び記録を行う。
なお、コンテナの放射線量率を測定する際にはバックグラウンドの放射線量率も同時に測定し
記録する。
4.測定結果の証明
(1)港湾管理者が測定する場合
港湾管理者は、船舶運航事業者等から輸出コンテナの放射線量率の実施について要請がある場合には、本ガイドラインに基づいて輸出コンテナの放射線量率の測定を実施し、3.で測定した結果を、別添の様式1を参考に、少なくとも次の項目について記載した証明書を国土交通省と連名で発行する。
項 目:検査日時、検査場所、コンテナ番号、測定機器名(型式)、本ガイドラインに基づ
いた測定方法であること、測定結果
(1)港湾管理者が測定する場合
港湾管理者は、船舶運航事業者等から輸出コンテナの放射線量率の実施について要請がある場合には、本ガイドラインに基づいて輸出コンテナの放射線量率の測定を実施し、3.で測定した結果を、別添の様式1を参考に、少なくとも次の項目について記載した証明書を国土交通省と連名で発行する。
項 目:検査日時、検査場所、コンテナ番号、測定機器名(型式)、本ガイドラインに基づ
いた測定方法であること、測定結果
(2)船舶運航事業者等が測定する場合
港湾管理者は、船舶運航事業者等が自ら輸出コンテナの放射線量率を測定する場合において、船舶運航事業者等から測定結果の確認の申請がある場合には、船舶運送事業者等が行う放射線量率の測定方法が本ガイドラインに基づいたものであることを確認し、3.で測定した結果を、別添の様式2を参考に、少なくとも次の項目について記載した証明書を国土交通省と連名で発行する。
項 目:検査日時、検査場所、コンテナ番号、測定者名、測定機器名(型式)、本ガイドラ
インに基づいた測定方法であること、測定結果
5.基準値
コンテナの除染が必要であると判断する基準値( 除染基準値) は、IAEA の報告文書
IAEA-TECDOC-1162 に準拠し、コンテナ測定場所のバックグラウンド放射線量率の値の3倍の値とする。
コンテナの除染を行う前に、関係機関へ通報し対応方法について指示を仰ぐ基準値(通報基準値)は、IMDG コード7.1.14.12 に準拠し、5μSv/h とする。
コンテナの除染が必要であると判断する基準値( 除染基準値) は、IAEA の報告文書
IAEA-TECDOC-1162 に準拠し、コンテナ測定場所のバックグラウンド放射線量率の値の3倍の値とする。
コンテナの除染を行う前に、関係機関へ通報し対応方法について指示を仰ぐ基準値(通報基準値)は、IMDG コード7.1.14.12 に準拠し、5μSv/h とする。
6.基準値を超えた場合の対応
港湾においてコンテナの放射線量率を測定するにあたっては、国土交通省、港湾管理者及びその他の関係者は、基準値を超えた場合のコンテナの取扱方法をあらかじめ定めておくとともに、関係者で周知を図る。
3.の方法により測定された放射線量率のうち、一つでも「除染基準値」以上の放射線量率が測定された場合には、港湾管理者が指定する場所に当該コンテナを移動させ除染を行う。除染後、改めて当該コンテナの放射線量率を測定し、測定値が「除染基準値」を下回れば正常なコンテナと同様に取り扱う。
港湾においてコンテナの放射線量率を測定するにあたっては、国土交通省、港湾管理者及びその他の関係者は、基準値を超えた場合のコンテナの取扱方法をあらかじめ定めておくとともに、関係者で周知を図る。
3.の方法により測定された放射線量率のうち、一つでも「除染基準値」以上の放射線量率が測定された場合には、港湾管理者が指定する場所に当該コンテナを移動させ除染を行う。除染後、改めて当該コンテナの放射線量率を測定し、測定値が「除染基準値」を下回れば正常なコンテナと同様に取り扱う。