放射性廃棄物の処理・処分
2011年2月改訂
原子力発電や使い終わった燃料のリサイクルに伴って発生する放射性廃棄物は、放射線を出すため、安全に処分する必要があります。また運転を終了した原子力発電所を解体することで、廃棄物が発生します。これら放射性廃棄物についてQ&Aをまとめました。放射性廃棄物に対する皆さまの疑問に少しでもお答えしたいと思っています。
オンラインでご覧いただけます
原子力発電所などから出る廃棄物のうち、放射性物質を扱っている区域から出るさまざまな廃棄物を「放射性廃棄物」として管理しています。これらの放射性廃棄物は、人間の生活環境に影響がないように、廃棄物の種類と放射性物質の濃度に応じて適切な処分を行います。
放射性廃棄物とは
放射性廃棄物は、原子力発電所の運転などにともない発生する放射能レベルの低い「低レベル放射性廃棄物」と、使用済燃料の再処理にともない再利用できないものとして残る放射能レベルが高い「高レベル放射性廃棄物」とに大別されます。処分にあたっては、廃棄物の放射能レベル、性状、放射性物質の種類などに応じて適切に区分し、厳重に管理し、それに応じて合理的な処理・処分を行います。
放射性廃棄物とは
放射性廃棄物とは
また、原子力発電所の解体にともなう廃棄物の中には、放射性廃棄物として扱う必要のないものもあり、これらは再利用するか、産業廃棄物として処分されます。
放射性廃棄物は、一般の廃棄物に比べて圧倒的に発生量が少なく、発生から処分まで、すべての過程で厳重な管理が行われています。
処理・処分の流れ
放射性廃棄物は発生から処理処分に至るまで、放射性物質の種類や濃度により区別し、それぞれ厳重に管理され、適切に処理・処分されます。
低レベル放射性廃棄物の処理・処分
原子力発電所の運転にともなって発生する液体廃棄物、雑固体廃棄物(布・紙)などは、凝縮・焼却により容積を減らしたあと、セメントなどで固めドラム缶に固定する処理をします。
固定された低レベル放射性廃棄物は、発電所など施設の敷地内貯蔵庫に安全に保管した後、青森県六ヶ所村にある低レベル放射性廃棄物埋設センターで埋設処分されます。
低レベル放射性廃棄物の処理・処分
低レベル放射性廃棄物の処理・処分
気体状の廃棄物
気体状のものは、放射性物質を減衰させ、フィルターにかけて粒子状物質を除いたあと、放射性物質の濃度を測定し、安全を確認し排気筒から放出されます。その後は排気筒モニターで排気中の放射線量を測定します。測定値はリアルタイム情報として各電力会社のホームページ上で公開されています。
液体状の廃棄物
液体状のものは、ろ過し、脱塩され、あるいは蒸発濃縮されます。濃縮液はセメント、アスファルトなどで固化し、ドラム缶(200リットル)に詰められ発電所内の放射性固体廃棄物貯蔵庫に安全に保管されます。
また、蒸留水は再利用するか、放射性物質の濃度を測定し安全を確認したうえで海へ放出しています。
また、蒸留水は再利用するか、放射性物質の濃度を測定し安全を確認したうえで海へ放出しています。
固体状の廃棄物
使用済みのペーパータオルや作業衣など放射能濃度の低い雑固体廃棄物は、焼却、圧縮などによって容積を減らしてからドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の固体廃棄物貯蔵庫に安全に保管されます。
フィルター・スラッジ、使用済みイオン交換樹脂は貯蔵タンクに貯蔵し、放射性物質の濃度を減衰させてから、ドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の貯蔵庫に保管します。
ドラム缶に詰められた廃棄物は、その後、青森県六ヶ所村にある日本原燃の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」に運ばれ、コンクリートピットに埋設処分されます。
使用済みの制御棒などの比較的放射能レベルの濃度が高いものは、発電所の貯蔵プールに貯蔵保管したあと、容器に固化し、施設内に安全に保管。その後、地下50〜100メートルに埋設します。
高レベル放射性廃棄物の処理・処分
使用済燃料を再処理し再び使えるウラン・プルトニウムを回収すると、放射能レベルの高い廃液が残ります。
この廃液は濃縮して容積を減らしガラスと混ぜ合わせ、ステンレス製の容器に固化します。その後、専用の貯蔵庫に30〜50年程度、冷却のため管理・保管し、最終的には人間環境と隔離するため地下深い地層の中に埋設処分します。
高レベル放射性廃棄物の処理・処分
高レベル放射性廃棄物の処理・処分
2011年2月改訂
原子力発電や使い終わった燃料のリサイクルに伴って発生する放射性廃棄物は、放射線を出すため、安全に処分する必要があります。また運転を終了した原子力発電所を解体することで、廃棄物が発生します。これら放射性廃棄物についてQ&Aをまとめました。放射性廃棄物に対する皆さまの疑問に少しでもお答えしたいと思っています。
オンラインでご覧いただけます
埋設処分の考え方と方法
埋設処分の方法
原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物のうち、濃縮廃液や紙・布などはセメントやアスファルトと混ぜて固化し、ドラム缶に詰めて、原子力発電所内の貯蔵庫に保管します。その後、青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)の低レベル放射性廃棄物埋設センターに運ばれ、コンクリートピットに埋設処分されています。
埋設施設や廃棄物を納めるドラム缶の健全性については、原子炉等規制法等に基づいて、事前に国による確認を受けています。
埋設処分の考え方
低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルによって4区分されていますが、現在埋設処分が進められているのは、「放射能レベルの比較的低い廃棄物」に分類されているものです。制御棒などの「放射能レベルの比較的高い廃棄物」は現在、原子力発電所内に保管されています。
これについては、原子力安全委員会によって、地下50〜100メートルの深さにコンクリートピットと同等以上の施設を設置して埋設処分することによって安全性を確保するとの基本的な考え方が示されています。
放射性物質は、時間の経過につれて放射能が減衰していく性質があります。低レベル放射性廃棄物は、数十年間保管することによって、その放射能は、天然にある放射能と区別できないほどに減衰します。
約300年後には、この土地に建物を建設したり、農耕地として利用することが可能になります。