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Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
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水俣病の失敗に学ぶ原発事故対策とは? 水俣病資料室

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「福島原発事故風評被害―水俣の経験を伝えたい」企画展

 「福島の車は帰れ」、「除染証明が必要」、「買ってくれない」
 悲しいことに、水俣も50年前から経験してきました。
 最初に正しい情報が伝わっていないことなどが原因です。
 でも、水俣は「人様は変えられないから自分が変わる」と話してくれた水俣病受難者に学び、世間は変えられないから水俣が変わると動いてきました。水俣病の犠牲を無駄にしない環境都市を目指し、今では環境首都の称号を得、モノも売れるようになりました。
 原発事故で世界のフクシマとなった福島に水俣の経験を伝えます。国の対応を求めながらも、自分たちで覚悟し、本物のモノ、マチをつくる大事さを。

案内

場所/水俣市立水俣病資料館 企画展示室

展示紹介

 水俣、そして福島で水俣の成果 起きたこと風評被害に思う福島の風評被害-水俣から言えること
展示の模様展示の模様
11
趣旨
22
水俣病事件と福島原発事故には似通っていることがある
33
水俣の風評被害 そして福島
16被災地の風景17被災地の風景
44
環境首都
55
水俣市からのメッセージ
66 語り部
緒方正実さん
77 元市長
吉井正澄さん
88 語り部
吉永理巳子さん
99 語り部
杉本雄さん
1010 語り部
川本愛一郎さん
1111 語り部
杉本肇さん
1212
吉永利夫さん
1313
遠藤邦夫さん
1414
風評被害に思う
1515
福島原発風評被害 水俣から

応援企画

心配しています!応援しています!水俣の経験を生かしてください!
 水俣病資料館では福島への応援の意を込めた写真とメッセージを募り、パネルにして展示しています。
 胸の内の重たさや複雑さから、応援を簡単に言葉にはできなくても、表情やポーズには表れる。
 誤解や思いこみを乗り越えて応援の意志を届けるために、まず形にしてみることが始まりです。
 企画展の準備期間中、近隣の事業者さん、市役所の皆さん、資料館に見えられた一般の方々、さらに山口や岩手、北海道といった遠方の有志の方々からもご協力頂き、200点を超える写真が集まりました。日本中が福島と震災の被災地を心配しているのだと、実感しました。
 企画展は始まりましたが、もっと応援の意を伝えるために、写真の募集と撮影のお願いは続けております。
 ご協力頂ける方、資料館にお寄りの際は、ぜひご協力お願いします。
応援写真の募集のお知らせ
 
 
 
 
 
 
 
 
原田正純さん 水俣病の失敗に学ぶ原発事故対策とは?
 <KEY PERSON INTERVIEW>
 福島原発事故は、環境や人の健康に与える影響や、国が推進する経済政策のひずみが根底にあることから、水俣病との共通性が指摘されている。水俣病の教訓をどう生かすのか。一貫して患者の立場で研究を続ける原田正純医師に聞いた。

 ◇健康調査、救済とセットで--熊本学園大水俣学研究センター顧問で医師・原田正純さん(77)

 --福島原発事故と水俣病の共通点をどうみていますか。
 ◆ 広範囲に汚染され、何万という一般市民が被害を受けたという点では共通している。だが、福島原発事故は水俣病とは比べものにならないくらい複雑で深刻だ。医学的に水俣病の病像ははっきりしていて、半世紀たっても水俣病が解決しないのは、行政が救済を怠ってきたからだ。原発事故では、放射線の影響が出るのは10年、20年も先のことで、将来どうなるかはっきりしていない。そこが違う。水俣で何をやったかではなく、何を失敗したかを学ぶことだ。
 
 --水俣病の教訓とは?
 ◆ 福島県で放射線の影響について健康調査が始まった。10年、20年と追跡すべきだ。水俣病はこの追跡調査が実施されなかったため、後にさまざまな問題が起きた。原発事故では「みなさんの不安を取り除くために調査をやりました。異常はありませんでした」と、調査が幕引きに利用されないよう用心すべきだ。
 
 --どんな対策が必要ですか。
 ◆ 科学的に危険だ、あるいは分からない、というだけでは問題は解決しない。将来を見越した対策が必要だ。健康調査は、きちんとしたデータを基礎に、将来にわたって影響が出た場合、行政が救済する条件とセットでなければならない。そうでないと、かえって住民の不安をあおることになる。水俣病は汚染された魚を食べたことが原因で、母親の胎盤を通して水銀が赤ちゃんに影響したと分かっているのに、(「伝染病」などと言われ)差別が起きた。放射線は次世代に影響があるかよく分かっていない。子孫に対する影響調査は必要だが、新しい差別につながりかねない。差別があると住民は隠す。そうなると、ますます実態が分からなくなる。
 
 --難しいですね。
 ◆ 実は行政の方が、問題が起こらないようにどうすればいいか教訓をよく研究している。例えば1970年代に土呂久鉱山(宮崎県)一帯でヒ素中毒事件が問題になった途端、医師会を動員して調査し、問題はなかったと結論づけた。栃木、群馬県の渡良瀬川流域などで明治に起きた足尾鉱毒事件は、見舞金と引き換えに被害者は「子々孫々まで文句は言いません」という契約内容で、水俣病はまるでそのコピーだった。
 
 --「ただちに健康に影響がない」を連発した政府の対応で信頼が失われました。
 ◆ 放射線の「安全基準」という言い方は間違い。人間にプラスでないのだから、どこまで我慢するかという「我慢基準」だ。50年も前に物理学者の武谷三男さんが、原子力の安全性を考える上でそう訴えた。水俣の第1次訴訟で(原因企業の)チッソは「前例がないから有機水銀が人体に及ぼす影響は不明で予防のしようがなかった」と主張した。だが未知イコール安全ではない。原発事故も同じだ。
 
 --「想定外」という言い方ですね。
 ◆ インドのボパールで起きた世界最悪の化学工場の爆発事件(84年)では、五つの安全装置が同時に動かなくなった。福島でも原発にあると言われた5重の壁が崩れた。絶対安全ということはありえない。常に最悪の事態を想定するのが専門家。「想定外」と言うことは科学者が自らの無能を認めることで、責任逃れだ。

 ◇政治は異論葬り去るな

 --原発事故や震災で戦後積み上げた日本のシステムが総崩れしました。
 ◆ 水俣病患者は病気のせいで差別されると思っていた。ところが、世界の公害現場を歩くうちに、弱者に対する差別のあるところに公害というしわ寄せが来ると分かった。原発も都会で使う電気が地方でつくられ、廃棄物まで押しつけられる。事故を機に研究や教育のあり方を問い直すべきだ。大学や学会は何なのか。さらに言えば、学会や専門家を容認してきた国民は何なのかということにもつながる。技術にはプラス面もあるが、廃棄物が出るといったマイナス面も必ずある。それを札束を使って安全性を振りまいてきた。政治と科学が一体化して反対派を抹殺してはならない。
 
 --専門の壁を越える「水俣学」が生まれた背景ですね。
 ◆ 水俣病は、社会的、経済的、政治的側面があり、極めて複合的な事件だが、「病気だから」と医学者に丸投げされた。カナダの水俣病の補償委員会は医者がいて、被害者代表、法律家、行政が入っている。日本の審査会は医者だけだ。足尾鉱毒事件以降、専門家の委員会が行政にうまく利用されてきた。原発でも反対していた研究者は教授になれなかった。私は水俣病患者を一番多く診ているが、水銀問題に関する委員会には一切入れてもらえなかった。学問にいくつ異論があってもいいはずなのに、国の政策に沿った人だけを採用するのはおかしい。原子力行政は、賛成派の専門家だけでなく批判的な学者や場合によっては放射線以外の専門家の意見も取り入れるべきだろう。
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 ■ことば

 ◇水俣病

 有機水銀による慢性中毒。チッソ水俣工場(熊本県水俣市)の排水が原因で、汚染された魚介類を多く食べて発症した。水俣学は、水俣病の教訓を生かすため、学問の枠を取り払い、被害の現場や当事者から学ぶ総合的な学問。02年に原田氏が開講した。
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 ■人物略歴

 ◇はらだ・まさずみ

 熊本大大学院医学研究科修了。水俣病患者の診療に尽力する一方、世界各地の水銀汚染の現場を調査。94年国連環境計画グローバル500受賞。昨年熊本学園大水俣学研究センター長(教授)を退職。
 
 

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