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そりゃ朝日新聞と言えば当ブログで言う三アカ新聞筆頭。アカなんだから、殆ど生まれつきの右翼たる私なんぞとは「宗教が違う」のはハナから明白。だから、私の原発推進論(*1)に対し朝日が脱原発原理主義であるのも、今更異とするには足らない。だが、この社説は…あまりに酷くないか。
<注釈>
転載開始=========================================
【朝日社説】】上関原発―まだつくる気ですか
平成24年10月16日(火)
中国電力による上関(かみのせき)原発(山口県)の建設計画がストップした。山口県知事が、埋め立てに必要な免許の更新をしなかったためだ。
枝野経済産業相も、上関を含め未着工の全国9基の原子炉について、設置を認めない方針を打ち出した。
当然だ。脱原発の具体的な手順を詰め、新しい電源の開発や自由化を進めるうえでも、早く制度改正に着手すべきである。
ところが、中国電力は「安定供給のために原発は必要」と、あくまで建設をあきらめない構えだ。電力業界も推進姿勢を変えていない。
まるで原発事故がなかったかのように、原発をつくり続けようとする電力業界の姿勢に驚いてしまう。
原発を減らすべきだという世論の根っこには、原子力そのものへの警戒感だけでなく、リスクを無視して備えを怠ってきた事業者や原子力行政に対する強い不信がある。
事故を経て何を反省し、どう自らを変えていくのか。地域独占に守られてきた電力業界は、事故から1年7カ月が過ぎたというのに、なんの総括も実践も示していない。
むしろ、必要な情報公開を渋ったり、労使で原発維持を政治に働きかけたりと、従来どおりの姿ばかりが目立つ。
どうやら電力業界には「政権交代で自民党が与党になれば、脱原発は白紙になる」との思惑があるようだ。
だが、自民党も「原発ゼロ」でこそ民主党と意見を異にするが、以前のような原発拡大路線に復帰できるはずがない。
そもそも、上関原発は30年前に計画が浮上したにもかかわらず、住民の反対で進めることができずにいた「不良債権」だ。
原発立地はますます難しくなる。政府の支援は細り、調整すべき「地元」の範囲は広がる。一方、規制は厳しくなり、安全対策の強化や新しい技術の反映にかかる費用が増す。
何より、廃炉のための引当金すら業界全体として十分に積めていない。今後、原子力は確実に重荷になる。電力システム改革をにらみ、他の電力会社との競争激化にも備えなければならない。
幸い、中国電力は関西電力などに比べると原子力依存度が低く、財務状況も悪くない。
着工の見通しすらつかない原発にこだわるより、今ある炉の対策や代替電源の確保、営業力の強化などを急ぐほうがずっと「スマート」な電力会社ではないだろうか。
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当該朝日社説を要約すれば・・・
さて、如何だろうか。
当該社説を要約すると、以下の数行となろう
①上関原発建築が、県知事の埋め立て免許更新停止でストップした。
②原発は減らすべきとする世論に対し、電力業界は原発は必要と主張して居る。
③原発を巡る状況は今後ますます厳しくなろう。
④中部電力も「脱原発」に踏み切るべきだ。
当該社説の主張は、つまるところ上記④を示した最後の一文に尽きよう。
1〉 着工の見通しすらつかない原発にこだわるより、
2〉今ある炉の対策や代替電源の確保、営業力の強化などを急ぐほうがずっと「スマート」な電力会社ではないだろうか。
朝日のしたり顔が目に浮かぶようではあるが、そのしたり顔で言っている事は、実に無責任である。無論、朝日新聞は電力の安定供給に責任を持とうなんて欠片も思っていないだろうから、とにかく「売れる」社説・主張を掲げているのが「営利団体としての新聞社」としては「正しい姿勢」である。「世論は”原発を減らすべき”としている」以上、その「世論」に阿って、電力業界叩きに勤しむのも、「理の当然」とさえ言えよう。
だが、電力会社は違う。
電力会社は、今の地域独占と言う明白な責任体制もあって、電力の安定供給に絶対の責任を負っている(*1)。早い話、どこかが停電すれば、そこを管轄する電力会社の責任で、他の何処にも責任を持っていけないんだから、これ以上にないくらい明白な責任体制だ。
その電力会社が、
3〉 原発立地はますます難しくなる。政府の支援は細り、調整すべき「地元」の範囲は広がる。
4〉一方、規制は厳しくなり、安全対策の強化や新しい技術の反映にかかる費用が増す。
5〉 何より、廃炉のための引当金すら業界全体として十分に積めていない。
と言う当該朝日社説指摘の「原発を巡る厳しい状況」と「”原発は減らすべき”とする世論」にも拘らず、新たな原発を建設しようとする理由は、あまりに明白だろう。
(1)原発は、電力の安定供給に役立つ。
(2)原発は、儲かる。
上記(2)の理由は、「放射能の危険と引き換えに金もうけをしようと言うのか!」なんて脱原発論者(*2)の反発を食らいそうだが、「儲かる」と言う事は「電力を安価に供給できる」と言う事だ。それは電力会社ばかりでなく、電力消費者にとっても大いに利益である。「放射能の恐怖」と言うならば、科学的な部分については対策するだけの話。所謂風評被害は、原発の責任でも電力会社の責任でもなく、国民自身の理性と知性の問題だ。
「原発ムラの復権だ!」と騒ぐ輩も居りそうだが、福島原発事故を契機として「脱原発」に「舵を切った」のは、諸外国ではスイスとドイツのみ。スイスもドイツも電力が不足すれば外国から輸入できる欧州電力網に組み入れられており、足りなければフランスの原発から電力を買えるのだから、少なくとも「お気楽脱原発」であり、「ナンチャッテ脱原発」と私は呼んでいる(*3)。言うまでもないが我が国は島国で外国から電力輸入なんてできない。そもそも日本海の対岸である大陸や半島は電力不足気味で、今後中国も韓国も続々原発建設する計画である。福島原発後の新規原発計画はに中国、韓国に止まらず、我が国からの原発輸出が決まっている(*4)ベトナム、ロシア、スリーマイル事故以来の新規原発計画が動き出したアメリカ、トルコ、など、枚挙に暇がない程だ。これ即ち、「原発ムラの復権」などしなくても原発推進(少なくとも容認)は世界の趨勢である、と言う事。あるいは、「全世界の大半は未だ”国際原発ムラ”の支配下にある」か、いずれかであろう。無論、福島原発事故を経てなお原発推進論者と自認公言する私は、後者の解釈は取らない。
第一、「儲けるのが問題」というるならば、予想稼働率が13%=約1/8しかない上に、短時間で変動するあてにならない発電量を、原子力や火力の4倍以上の値段で強制的に全量電力会社に買い取らせて儲ける、メガソーラーの方が、余程あこぎな商売であろうが。
さらに言えば、そのメガソーラー含む太陽光発電も、風力も、上記2〉で言う「建設予定原発の代替電源」とはなりえない(*5)。少なくとも大容量畜放電技術が開発・普及するまで、原発の代替電源足りうるのは主として火力であり、水力がこれに次ぐ(*6)のみである。水力発電は通常、ダムが必要(*7)であり、我が国ではもはや大幅な増加は望めない(*8)。となれば、「建設予定原発の代替電源」は火力が主にしかなりえない。即ち上記2〉が電力会社に求めるのは「火力発電所の増設」の筈だが・・・上掲巧妙な社説は「太陽光などクリーンな再生エネルギーで原発の代替」と読ませるように見えて仕方がない。
世論に阿り、売るためだけの「営利団体としての新聞社」ならば、そんな誘導も「商売の内」と言いえよう。
だが、社会の木鐸としての、オピニオンリーダーとしての新聞社としては、そんな誤誘導は糾弾されるべきだろう。
尤も、上記2〉「今ある炉の対策」は、「現存する原発の安全対策」であろうから、「現存する原発の再稼働=発電続行」を前提としている、と解釈できる。であるならば、当該社説は(*9)、オピニオンリーダーとしての新聞社の役目を、一定程度果たしている事になるな。
如何に、朝日新聞。
<注釈>
(*1) そいつが将来、「電力自由化」がなってしまったら、その責任は少なくとも、軽くはなろうが。下手すりゃ「連帯責任は無責任」で、「停電を起こしても、ペナルティーさえ払えば良い」と言う電力会社も出て来かねない。(*2) これだけでは、まだ「脱原発原理主義者」とは判定できない。(*3) ドイツ降伏-独シーメンス社 原子力事業から撤退 http://www.afpbb.com/article/economy/2828751/7793213 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36006950.html(*4) 而して、ロシア製原発が先行導入される(*5) 入原発論 http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36713808.html http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36713836.html 入原発論:補足 http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/36827511.html(*6) 私の「自然エネルギー推進論」―フクシマ後も原発推進の立場から― http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778053.html http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778071.html(*7) 水車を利用した小規模水力発電は、この「水力」に含めない。それは、再生可能なエネルギーではあるが、発電量は出来高で、制御ができない。(*8) 「ダムを造らない」とか「ダム建設を中止する」と公約して当選しちまう政治家・首長は無視したとしても。(*9) 多分、図らずも。