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[転載]小鳥が丘土壌汚染アーカイブ(228)第2回「控訴審」!その9

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マイホーム土壌汚染被害・民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯被害住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
 
l  2011年(H23)11月8日、「控訴審」の第2回口頭弁論実施
 
小鳥が丘土壌汚染・第2回「控訴審」!その9
 
[2]平成23年10月24日付け、控訴人(両備)より第1準備書面、の続きです。
 
(第3 控訴人には調査義務も説明義務もないこと)
 
3 調査義務又は説明義務
 
被控訴人らは、「調査義務は販売の段階で初めて問題になるのではなく、本件土地を宅地開発する際に調査すべき義務として捉えることができる」(被控訴人答弁書3頁)と主張し、宅地造成にあたっての注意義務を主張するが、宅地造成にあたっても控訴人には注意義務違反はない。
宅地造成業者の宅地造成業務に関して遵守すべき法令としては、都市計画法と宅地造成等規制法が代表的なものである。宅地造成等規制法では「宅地造成に関する工事については規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができる」(同法第3条第1項)とある。
本件団地は、宅地造成工事規制区域には該当しないから以下に述べる基準は適用されないものの、かかる宅地造成工事規制区域においても適用のある技術的基準(同法第9条第1項)は、現在でも、地盤に関しては、「1 切土又は盛土(第3条第4号の切土又は盛土を除く。)をする場合においては、崖の上端に続く地盤面には、特別の事情がない限り、その崖の反対方向に雨水その他の地表水が流れるように勾配を付すること。」、「2 切土をする場合において、切土をした後の地盤に滑りやすい土質の層があるときは、その地盤に滑りが生じないように、地滑り抑止ぐい又はグラウンドアンカーその他の土留(以下「地滑り抑止ぐい等」という。)の設置、土の置換えその他の措置を講ずること。」、「3 盛土をする場合においては、盛土をした後の地盤に雨水その他の地表水又は地下水(以下「地表水等」という。)の浸透による緩み、沈下、崩壊又は滑りが生じないように、おおむね30センチメートル以下の厚さの層に分けて土を盛り、かつ、その層の土を盛るごとに、これをローラーその他これに類する建設機械を用いて締め固めるとともに、必要に応じて地滑り抑止ぐい等の設置その他の措置を講ずること。」、「4 著しく傾斜している土地において盛土をする場合においては、盛土をする前の地盤と盛土とが接する面が滑り面とならないように段切りその他の措置を講ずること。」とあるのみである(宅地造成等規制法施行令第5条)。
したがって、現在においても、造成業者はこれらの事項については、高度の専門的な知見を求められるものの、これらの事項に該当しない事項、少なくとも類しない事項については、専門的な知識をもつことは期待されていない。
すなわち、分譲地における油分の存在から予見可能な事態がどこまでなのかを判断するにあたって、規制法上、分譲業者に特別な注意義務が加重されることは現在においてもない。
それゆえに、かかる予見可能性は、一般原則にのっとって、「その職業・地位に置かれた通常人」に期待される水準で判断されなければならない。現在は平成14年に制定された土壌汚染対策法の影響で、土地取引において地中の有害物質に対する取引当事者の関心がきわめて高くなっており、土壌の油汚染についても同様である。
したがって、分譲業者に期待される水準もかつてとは比較にならない高度なものがあると考えられる。
しかし、本件分譲時の平成2年は、土壌汚染の環境基準すら存在しなかった時代である(土壌汚染の環境基準が制定されたのは平成3年である。)。
ましてや現在も対策ガイドラインすらない動植物油分による土壌汚染について、悪臭という直接的な不快感を超えて人々が安全性に危惧感を抱くことがあったとは到底いえない。
したがって、悪臭対策を講じ、それが効を奏したことを確認して本件土地を分譲したことに、控訴人の注意義務違反がないことは明らかである。
 
すなわち、油分や廃白土が残存している可能性を控訴人が認識し得たとしても、それを住民らに告げる義務がなかったことは明らかである。
また、被控訴人らは、本件土地の調査をすべきであった等と主張するが、土壌汚染に関して取引関係者が意識などしていなかった社会状況にあって(詳しくは控訴理由書第4御参照のこと。)、しかも、安全性等に疑問を持ちえない状況にあって、かかる調査義務がなかったことは明らかである。
 
なお、被控訴人らは、被控訴人答弁書3頁で東京地判平成1895日を引用しているが、この事案は土壌汚染(ないしその可能性)を売主が、確実に認識していたあるいは認識予期出来た事案であって、本件とは事情が全く異なる。
東京地判は、判決が認定するように土壌汚染に対する認識が社会に形成されつつあった平成11年以降の平成14年の売買の事案である点や、売主自らが長年機械解体用地として機械解体業者に賃貸していたものであって、さらに売買前に報告書によって油分が染み込んでいることの報告を受けていたことからしても土壌汚染の可能性について売主が認識していたといえる点で、本件とは全く事情が異なるもので参考とはならない。
また、被控訴人らが引用する最判は説明義務違反に関する裁判例であるというだけで、本件の説明義務違反を考える上で特段参考になるものではない。
 
被控訴人らは、「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする」という付記があることから、「控訴人は本件団地の土壌の汚染状況を明確に認識していたことが明白である」と主張するが(被控訴人答弁書2頁)、甲第36号証には「廃油工場跡地」としか具体的な記載がなく、具体的に土壌汚染を認識していたといえるものではない。
しかも、甲第36号証からすれば、廃油工場跡地でも化学製品を使用しなければ給水施設を設置できることになり、油分が生活の安全性や快適性に特に影響を及ぼすものではないと認識されていたといえる。
 
なお、実際に水道局との協議や書類の作成・提出を行っていたのは邦洋設備所であり、本件土地の開発全体に関する岡山県・岡山市への開発許可申請に必要な書類の作成・提出を行っていたのは山崎測量であるが、控訴人は当時両者から給水施設について何か注意を受けたなどという報告は一切受けていない。
 
 
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年11月26日
小鳥が丘土壌汚染・第2回「控訴審」!その9
 
【第二審】
控訴人・附帯被控訴人・被告  ; 両備ホールディングス株式会社
附帯控訴人・被控訴人・原告  ; (小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
 
2011年(H23)11月8日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第2回「控訴審」に提出された準備書面を掲載しています。
今回の準備書面内訳
[1]平成23年10月24日付け、附帯被控訴人(両備)より答弁書。
[2]平成23年10月24日付け、控訴人(両備)より第1準備書面。
[3]平成23年10月24日付け、控訴人(両備)より証拠説明書(2)。
[4]平成23年10月31日付け、附帯控訴人(住民)提出、準備書面。
[5]平成23年11月 4日付け、控訴人(両備)より第2準備書面。
[6]平成23年11月 7日付け、附帯控訴人(住民)提出、準備書面。
 
次回に続く
 
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
 
 
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われ、判決言い渡しは2012年6月28日に行われます。
 
 
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!

転載元: 小鳥が丘団地救済協議会(土壌・地下水汚染公害被害)


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