中国で地下水汚染の危機「約6割はより深刻」…急がれる法整備
サーチナ 9月8日(水)13時48分配信
中国ではこのほど、水の使用量の全土的な増加にともない、地下水のくみ上げ量も年々増加する現状が伝えられている。一方、中国における地下水の約6割には深刻な水質汚染が指摘されるなど、管理体制などが問題視されている。騰訊新聞などが伝えた。
中国国家自然科学基金委員会と中国地質調査局はこのほど、『中国地下水科学のチャンスと挑戦』において、中国の地下水のくみ上げ量が過去数十年間において、毎年25億立方メートルの速度で増加していると発表。一方、北京市で今年7月に開催された「2010年国際地下水フォーラム」では、中国地質調査局の関係者が「中国全土における地下水の90%が汚染されており、うち60%は深刻な汚染に悩まされている」と言及し、中国の地下水の使用量の激増や汚染被害の深刻さを指摘したほか、多くの外国の専門家らから「中国の地下水汚染は、世界のどの地域よりも深刻」と、中国の水質汚染への“警鐘”が鳴らされた。
実際、中国では水質汚染が止まらない。古いデータではあるが、中国の環境保護局の2005年の調査によると、中国全土56都市206カ所の飲用水の水源では、約132種類の有機物質による汚染が進んでいるという。また、北京大学の専門家らが行った、中国118都市における2-7年間の連続調査でも、都市部の地下水の約64%に「深刻な汚染」、残りの約33%にも「軽度の汚染」が認められ、地下水の汚染を受けていない都市はわずか3%だった、との結果が残されている。
加えて、2006年における中国163都市の地下水の水質観測データによると、表層部の地下水の水質検査を行った125都市のうち、前年より水質が悪化した都市は、主に東北部、西北部、華東部、中南部などの地域を中心に21カ所あり、水質が安定している都市は95カ所、水質の好転が認められた都市は9カ所だった。このほか、深層部の地下水の水質検査を行った75都市では、水質が悪化した都市は、沿海部をはじめとする12都市で、水質が安定している都市は58カ所、水質の好転が認められた都市は5カ所だった。
中国地質環境観測院は「中国の地下水の汚染状況は現在、点から面、表層から深層、都市から農村へと拡大しており、汚染の程度も日に日に深刻化している」と、水質汚染の拡大に懸念を示す。
また、公衆環境研究センターの馬軍主任も、「地表水の汚染は常態化しており、現在では表層部の地下水にまで汚染が拡大、今後は深層部の地下水への影響も危惧(きぐ)される」と語る。特に、中国北部では、規定量を超える地下水のくみ上げによって地表が変形し、汚染された地表水が表層部の地下水に流れ込む事態が起こっているほか、現地企業による未処理の汚水が地下に直接流し込まれている場合もあるとして、早急な対策が求められているという。
しかし同氏は、中国には地表水の管理を規定する法律はあるが、地下水に対する法規は未整備だと指摘。「深層部の地下水が汚染された場合、浄化など回復に1000年を費やす」と事態の深刻さを強調し、国内の法整備を急ぎ、「地下水汚染」を食い止めるべき、との考えを示した。(編集担当:金田知子)
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実際、中国では水質汚染が止まらない。古いデータではあるが、中国の環境保護局の2005年の調査によると、中国全土56都市206カ所の飲用水の水源では、約132種類の有機物質による汚染が進んでいるという。また、北京大学の専門家らが行った、中国118都市における2-7年間の連続調査でも、都市部の地下水の約64%に「深刻な汚染」、残りの約33%にも「軽度の汚染」が認められ、地下水の汚染を受けていない都市はわずか3%だった、との結果が残されている。
加えて、2006年における中国163都市の地下水の水質観測データによると、表層部の地下水の水質検査を行った125都市のうち、前年より水質が悪化した都市は、主に東北部、西北部、華東部、中南部などの地域を中心に21カ所あり、水質が安定している都市は95カ所、水質の好転が認められた都市は9カ所だった。このほか、深層部の地下水の水質検査を行った75都市では、水質が悪化した都市は、沿海部をはじめとする12都市で、水質が安定している都市は58カ所、水質の好転が認められた都市は5カ所だった。
中国地質環境観測院は「中国の地下水の汚染状況は現在、点から面、表層から深層、都市から農村へと拡大しており、汚染の程度も日に日に深刻化している」と、水質汚染の拡大に懸念を示す。
また、公衆環境研究センターの馬軍主任も、「地表水の汚染は常態化しており、現在では表層部の地下水にまで汚染が拡大、今後は深層部の地下水への影響も危惧(きぐ)される」と語る。特に、中国北部では、規定量を超える地下水のくみ上げによって地表が変形し、汚染された地表水が表層部の地下水に流れ込む事態が起こっているほか、現地企業による未処理の汚水が地下に直接流し込まれている場合もあるとして、早急な対策が求められているという。
しかし同氏は、中国には地表水の管理を規定する法律はあるが、地下水に対する法規は未整備だと指摘。「深層部の地下水が汚染された場合、浄化など回復に1000年を費やす」と事態の深刻さを強調し、国内の法整備を急ぎ、「地下水汚染」を食い止めるべき、との考えを示した。(編集担当:金田知子)
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水質汚染で飲料水も危険、黄河に匹敵する量の工業廃水が長江に流れ込む―中国
Record China 8月7日(土)16時18分配信
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7日、華西都市報は記事「専門家が語る:長江流域の化学工場、毎日の汚染物質排水量は黄河の水量に匹敵する」を掲載した。写真は7月28日、洪水により化学物質が入ったドラム缶が吉林省の松花江に流れ出した。 |
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江蘇省鎮江市の化学工場園区は、その長江下流にあたる丹陽市の取水口付近にある。2002年から丹陽市の浄水場は22回もの汚染危機にさらされてきた。最も危険だったのは2005年3月、1週間もの間、都市は断水となった。原因は化学工場の汚水が取水口を取り囲んだことだった。2006年、国家環境保護局(現在の中国環境保護部)は建設中の化学工場石油化学プラントのうち、81%が長江及び黄河沿岸の人口密集地域に建設され、45%が深刻なリスクになると警告している。
中国安全生産科学研究院の魏利軍(ウェイ・リージュン)副総エンジニアは、「非合理的な工業計画と配置は事故の危険性を拡大させる」と警告している。以前、長江フォーラム事務局長、長江水資源保護局前局長の翁立達(ウォン・リーダー)氏は、「全国の化学工場の過半数は長江流域に集中している。毎日の工業汚水は黄河に匹敵する量だ」と明かした。(翻訳・編集/KT)
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