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[転載]東京医大茨城医療センター・コンプライアンス

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東京医大茨城医療センター・コンプライアンス
 
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今回の東京医科大学茨城医療センターの診療報酬不正請求による保険医取り消し事件は、大変に驚きました。東京医大茨城医療センターは、阿見町にある地域がん診療連携拠点病院などに指定されている病床数500を超える大学付属の総合病院です。平成21年7月に病院は、総額1億1870万円に上る不正請求が繰り返されたと発表し、その後関東信越厚生局が監査を繰り返していました。保険医取り消しの期間は、最長5年と言いますから地域医療や受診に相当の影響があります。町議会でも全員協議会を検討しています。
 
もちろん、阿見町では最大の病院で、隣接の美浦村や稲敷市、龍ヶ崎市や牛久市などからも多くの患者が受診しています。外来患者も多く、最近も知人が入院していました。阿見町にとってはなくてはならない医療機関です。
 
阿見町とは、福祉や健康づくりで連携を強めている矢先の出来事でした。阿見町には、ほかに茨城大学、県立医療大学があり、町内に立地する3大学との連携は阿見町の大きな資源でしたので、残念なことです。
 
昨日のNHKニュースでは、平成23年度の医療費が、高齢化の進展や医療技術の高度化に伴い、前の年度より1兆1500億円多い37兆8000億円となり、9年連続で過去最高を更新したと伝えています。東京医科大学のような診療報酬の不正請求は氷山の一角で、相当の医療機関が不正請求を続けているという見方もあります
 
私は、小規模の医療法人の事務長を10年足らずやっていましたが、こうした不正請求が日常的に行われているというようなことはありません。診療報酬を請求するのは医事課ですが、院長、事務長および担当者のどこかで不正に加担しないという決意があれば防げることです。ISOマネージメントシステムの審査員として、行政組織を含めた多くの企業組織の審査を行った経験からすると、東京医科大学はまったくと言っていいほど、法令順守(コンプライアンス)が欠如していたと言わざるを得ません。日本の知を代表する大学病院のすることかと暗たんたる思いに気持ちが沈んでしまいます。子ども達への影響も大きいでしょう。
 
東京医科大学茨城医療センターでは、平成21年に診療報酬の不正請求事件があったと発表し、その際の東京医大報告書「東京医科大学茨城医療センターにおける診療報酬の不正請求について」という内部報告書の説明によれば、不正請求は以下のように行われていたということです。
 
①不正行為の指示
入院時医学管理加算では、センター長が「治癒傾向」という特異な解釈を医事課長に強要し、その解釈でも基準値に達しないことを知ってもなお、申請を指示。医師事務作業補助管理加算では、センター長は補助者が専従でなければならないことを知りながら、専従でない者を自ら7名選定し、医事課長に申請を指示。画像診断管理加算2でも、センター長は読影率の直近の「実績」でなければならないことを知り、現場から反対されながらも、ダブルチェック方式を導入した場合の「シミュレーション」の数字で申請を指示。上記に示すように、不正な加算申請に至る上で、現場の反対をよそに、センター長が主導的役割を果たしていた。
 
②ワンマン体質
職員らがセンター長の指示に従わざるをえなかった背景には、かねてから逆らえない状態・雰囲気を作り出していたことがあった。職員に意に沿わない行動があった場合には、激しい口調で罵倒したり、執拗に何度もくりえし、休日、深夜に自宅まで電話するなどもあった。また、会議など、他の職員の見ている前で、個人を罵倒しつるし上げにすることもしばしば見られた。こうした激しい態度により、抵抗できない雰囲気、反対しても無駄だという雰囲気を作り出していた。
 
③コンプライアンス意識の不足
センター長の強要があったとしても、医事課長らが不正行為に加担したことは否定できない。理を尽くした説得を続けたり、断固として指示を拒否するなどをせず不正に手を染めてしまったことは、コンプライアンス意識の不足と言わざるを得ない。上司への相談も不十分であり、また、内部通報制度の利用については、その存在が認識されておらず、全く機能していなかった。同制度の周知徹底が不十分だった。
 
④ガバナンスの欠如
センター長が直接課長レベルと協議して実質的に物事を決定していた。副センター長、事務部長、幹部会議など、一部の者による暴走を監視・抑止する組織があったにもかかわらず、これが全く機能していなかった。また、センター長の上位にある大学本部、学長、理事会等についても、茨城医療センター、および同センター長への管理監督が十分に行き届いていなかった。
 
マネージメントシステムの原則はPDCAです。また、不適合の是正措置という概念があります。まず、①状況を把握・理解し、②原因の究明、③原因除去の対策の立案、④同様な不適合の発生の危険性の確認、⑤対策の実施、⑥再発していないことの確認というように進みます。上記の報告書を見ますと、原因らしきものをたくさんあげていますが、③以下はほとんど対策に手が付けられていなかったのではないかと疑われています。こうした不正に手を染めた原因が病院経営の赤字にあったと言われていますが、まったく同情できません。
 
地域になくてはならない医療機関ですので、外部の手を借りながら徹底した再生を期待します。私に何らかのお手伝いができれば幸いです。
 

転載元: 海野隆-ひと・まち・くらし・しぜん通信


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