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加工食品中アクリルアミドに関するQ&A

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加工食品中アクリルアミドに関するQ&A

Q1:アクリルアミドとはどのような物質ですか。
A1:
アクリルアミドは主に紙力増強剤、合成樹脂、合成繊維、排水中等の沈殿物凝集剤、土壌改良剤、接着剤、塗料、土壌安定剤らの原料として用いられています。
 作業者等がアクリルアミドにさらされた場合にでてくる影響は以下のとおりです。
 
  ○
短期暴露影響
 眼、皮膚、気道を刺激する。
 中枢神経系に影響を与えることがある。
 
  ○長期又は反復暴露影響
 神経系に影響を与え、末梢神経を損傷することがある。
 人でおそらく発がん性を示す。
 人で遺伝性の遺伝子損傷を引き起こすことがある。
 

 
Q2:2002年4月スウェーデン政府の発表内容はどのようなものですか。
A2:スウェーデン政府より、ストックホルム大学と共同で行った研究の結果、炭水化物を多く含むイモ等を焼く、または揚げることにより、アクリルアミドが生成されるという発表がありました。その内容はスウェーデン食品庁(NFA)のホームページで公開されており、加工食品におけるアクリルアミドの測定結果や、スウェーデン食品庁(NFA)としての食品業界、消費者に対するアドバイス等も示されています。
 
Q3:アクリルアミドの発がん性はどの程度ですか。
A3:国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)による発がん性分類において、アクリルアミドは2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類されています。しかしながら人における発がんについては、現時点で確認されていません。

(参考)国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類

分類評価内容
人に対して発がん性があるコールタール、アスベスト、噛みタバコ、カドミウム等
2A人に対しておそらく発がん性があるアクリルアミド、ベンツピレン(魚の焦げ)、クレオソト(木材の防腐剤)、ディーゼルエンジンの排気ガス等
2B人に対して発がん性を示す可能性があるクロロホルム、わらび、コーヒー等
人に対する発がん性については分類できないカフェイン、お茶、コレステロール等
人に対しておそらく発がん性がないカプロラクタム(ナイロンの原料)等
 
 

Q4:厚生労働省はどのように対応しているのですか。
A4:2002年4月のスウェーデン政府による発表後、直ちにわが国に流通する加工食品にアクリルアミドが含まれるかどうかを確認するため、国立医薬品食品衛生研究所に対して加工食品中のアクリルアミドの調査を依頼し、その後未だ詳細が解明されていないアクリルアミドの毒性評価等や生成機序の検討等に必要なデータ収集も行うため、緊急の研究班(厚生労働科学特別研究)を組織しました。また、6月25日から27日までジュネーブで開催されたWHO/FAO専門家会合(「食品中アクリルアミドについて」)に派遣し、国際的な評価にも参画することとしました。
 10月31日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会において、本件に関連して、WHO及び各国政府の状況や国立医薬品食品衛生研究所での調査結果等について報告し、部会での意見を踏まえ、今後、以下のとおり対応することとしました。

 1消費者に対して、
(1)アクリルアミドについての情報を提供するとともに、十分な果実、野菜を含む様々な食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪食の過度な摂取を控え、
(2)炭水化物の多い食品を焼いたり、揚げたりする場合にはあまり長時間、高温で調理しないよう、
厚生労働省ホームページ等を用いて、Q&Aなどわかりやすい内容で情報提供する。

 2厚生労働科学研究班にて、
(1)加工食品中のアクリルアミドに関する健康影響等の検討に必要なデータを引き続き収集し、そのデータを基に毒性部会にて検討する。
(2)また、アクリルアミド生成抑制及び毒性抑制についての研究を早急に実施する。

 3産業界に対して、アクリルアミド生成を抑制する製造条件等の研究を早急に実施するよう要請する。

 なお、これらの研究結果等については、本件について取り上げられる次回のコーデックス委員会食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)やFAO/WHO合同添加物専門家会議(JECFA)に提出し、国際的な検討に協力する。
 
 

Q5:わが国でのアクリルアミド濃度測定結果は諸外国と比較してどうですか。
A5:FAO/WHO専門家会合報告書にある海外5カ国(ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国、米国)の結果と比べると、わが国で測定した結果はほぼその値の範囲内です。

(参考)最大値と最小値(単位はμg/kg)

 国立衛研海外5カ国
ポテトチップス467~3,544170~2,287
フレンチフライ512~ 784<50~3,500
ビスケット、クラッカー53~ 302<30~3,200
朝食用シリアル113~ 122<30~1,346
とうもろこしチップス類117~ 53534~ 416
食パン、ロールパン<9~ <30<30~ 162
チョコレートパウダー104~ 141<50~ 100
コーヒーパウダー151~ 231170~ 230
ビール<3<30
 
 

Q6:国際的には、アクリルアミドについてどのような議論がなされていますか。
A6:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、2005年及び2010年にアクリルアミドの評価が行われており、次のような報告がなされています。
ヒトのアクリルアミドの摂取量
 
平均的な摂取量は、体重1kgあたり一日1μgであり、高摂取群では、体重1kgあたり一日4μgと推定される。(2005年、2010年)
 
 
アクリルアミドのヒトへの影響
 推定摂取量と動物における毒性用量から算出した暴露マージンをリスク評価に用いることとした。(2005年)
 平均的な摂取量では生殖毒性、発生毒性および他の毒性影響(発がん性は除く)は想定されない。(2005年)
 平均的な摂取量では神経学的な影響はないと考えられるが、高摂取群では、動物を用いた毒性試験でみられた神経の形態学的変化がヒトでも生じる可能性を排除できない。(2005年、2010年)
 
遺伝毒性及び発がん性を有する化合物の暴露マージンとしては低く、健康への懸念を示唆するものである。(2005年、2010年)
 
 

食品中のアクリルアミドに関する情報

 食品を加熱調理する過程において、食品中では様々な化学物質が生成されたり、分解されたりしています。このとき生成する化学物質の中には、食品を食べやすくする、好ましい風味を醸し出す、保存性を高めるなど有用な効果をもたらすものがある一方で、私たちの健康に悪影響をもたらす可能性のあるものが副産物としてできることがあります。そのような加熱食品に含まれる有害化学物質のひとつが「アクリルアミド」です。
 
 

基礎編

アクリルアミドとは何か

 アクリルアミドは、工業用途において紙力増強剤や水処理剤、土壌凝固剤、漏水防止剤、化粧品(シェービングジェルや整髪剤)などに用いられるポリアクリルアミドの原料として1950年代から製造されている化学物質です。 
 
 
 
 
アクリルアミド構造式 

関連情報

食品に含まれているアクリルアミド

食品にどのくらい含まれているのか

  • 食品中に含まれているアクリルアミドの濃度は、食品の製造方法や原材料の成分によって影響を受けます。そのため、食品の種類によって含まれているアクリルアミド濃度は異なりますし、同じ種類の食品でも製造者によって製品に含まれるアクリルアミド濃度が異なります。さらには、同じ製造者の同じ製品でも、製造日によって含まれているアクリルアミド濃度が異なることもあります。
 
食品 最小値(mg/kg) 最大値(mg/kg) 平均値(mg/kg)
フライドポテト0.120.910.38
ポテトスナック0.034.71.2
ビスケット類0.0220.460.18
乳幼児用ビスケット類0.0220.800.12
 
 
食品群 食品 アクリルアミド濃度(μg/kg)最小値 最大値
表:食品中のアクリルアミド含有量(要約)
じゃがいも加工品ポテトチップス1173770
フライドポテト595200
ポテトフリッター422779
じゃがいも(生)10未満50未満
穀類加工品コーンスナック120220
ケーキ・パイ類183324
パン類20未満130
トースト10未満1430
朝食用シリアル(乳幼児用を除く)111057
クリスプブレッド30未満2838
糖尿病患者用ケーキ・ビスケット類203044
ポップコーン57300
ごま菓子55160
米、麺類インスタント麺3581
チャーハ3未満67
インスタント麺のスープ3未満152
米菓17500
果物、野菜類缶瓶詰め黒オリーブ1231925
 プルーンジュース53267
揚げた野菜(天ぷらを含む)3434
ナッツ類ナッツ(ピーナッツバターを含む)28339
揚げ物衣をつけて揚げた魚介類2未満39
衣をつけて揚げた畜肉、鶏肉10未満64
素揚げの畜肉、家禽肉、魚肉5未満52
ココア製品チョコレート製品2未満826
ココアパウダー10未満909
飲料コーヒー豆(焙煎)45975
代用コーヒー1165399
インスタントコーヒー1954948
ほうじ茶、ウーロン茶9未満567
煎り大麦(麦茶用)140578
ビール6未満30未満
乳幼児用食品乳幼児用ビスケット・ラスク20未満910
缶瓶詰めベビーフード10未満121
 
 

アクリルアミドの健康影響

食品からアクリルアミドを摂取すると、どのような健康影響の可能性があるのかを解説します。

食品中のアクリルアミド低減に向けた取組み

食品から摂取するアクリルアミドによる健康被害を、未然に防止するために必要な取組みを解説します。

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