中国版「土壌汚染対策法」
[2012年9月1日]
中国において土壌汚染対策法に相当する法律の制定時期は、以前より2015年を目途とするとの方針が出されていました。2011年より開始された第十二次五ヶ年計画においても、「土壌汚染対策の強化」が明記されていますので、その終了までに法律を制定するという流れは確実なものとなりそうです。
中国の土壌汚染対策法に相当する「汚染場地環境保護監督管理弁法」は、2009年に「征求意見稿」(パブリックコメント募集)が出されていましたが、その後、数度に渡る改訂が加えられ、2011年3月に政府内において内容を基本的に承認し、今後さらに改訂した上で時期を見て公布するとの方針が決定されました。
これまで具体的な内容は明らかにされて来ませんでしたが、先ごろ政府関係者から入手した情報によれば、法の大枠は、土地の用途または利用権者を変更する際に土壌調査・修復を実施するという、ごく常識的な内容となっています。また、潜在的な汚染サイトに対しても、政府が調査を要求できることとなっています。
注目すべき内容としては、汚染サイトの情報を、土地所有者等が自らホームページやメディア、あるいは文書を閲覧に供するなどの方法で公表すべきであるとの条項があり、中国における一般市民の環境権利意識の高まりに配慮していることが窺われます。
その一方で、調査・修復の基準値となる「土壌質量標準」の改訂は、2009年の修訂第四版草稿の進展が見られず、関係者から「全国一律の基準制定は難しいのではないか」との話もあります。中国における土壌調査・修復は、リスクベースのアセスメントが実施される流れとなっていて、その方法についても2009年にガイドラインの草案が出されています。ただし、これも関係者の話としては完成版ではなく、アメリカの方法なども参考にしながら改良している段階とのことです。
このように、法制化の道筋が見えても、調査の手法や修復基準といった具体的な内容はまだ明らかになりません。そんな中でも、中国における日系企業としては、汚染を「つかまされない」「見逃さない」「放置しない」といった取り組みによって、事前にリスクを回避するのが賢明な対応です。
この記事は、蘇州同和環保工程有限公司 西山 が担当しました
中国の重金属汚染土壌の現状と今後の対策に向けて*
―日本の歴史的射程から得られた教訓と最新の技術開発の展望を踏まえて―
2011 年4 月15 日
姉崎正治 三好恵真子
―日本の歴史的射程から得られた教訓と最新の技術開発の展望を踏まえて―
2011 年4 月15 日
姉崎正治 三好恵真子
馬( 2008: 19- 43) によれば、広東省北部韶関地区の大宝山鉱山( 鉄鉱石のほか
銅、亜鉛、鉛など多金属硫化物鉱山、1958 年に創業し66 年から本格採掘) からの
廃水や汚泥の垂れ流しによる汚染によって、河川周辺の水界生態系が全滅した他、
涼橋村や上埧村では1984 年頃から癌死亡者が急増し、1997 年から2004 年にかけて
ピークに達し、前述したように“癌の村”といわれるようになった( 田倉2008)。
銅、亜鉛、鉛など多金属硫化物鉱山、1958 年に創業し66 年から本格採掘) からの
廃水や汚泥の垂れ流しによる汚染によって、河川周辺の水界生態系が全滅した他、
涼橋村や上埧村では1984 年頃から癌死亡者が急増し、1997 年から2004 年にかけて
ピークに達し、前述したように“癌の村”といわれるようになった( 田倉2008)。
合わせてイタイイタイ病も発生しており、この鉱山の廃水路が珠江デルタに繋がって
いるため巨大な潜在的汚染源になっている可能性が指摘された。また、熊( 2008:
81- 104)の報告によれば、湖南省は非鉄金属資源の豊富な産出地として知られ、中
でも最大級の水口鉱山( 亜鉛、鉛の鉱山で、1896 年から本格的採掘)や株州製錬所
から、カドミウム、鉛、水銀、ヒ素、六価クロムの排出量が最も多く、土壌汚染の
深刻な省になっている。このような汚染事故の内、実際に公表された事件が図4( 渡
辺2010) に示されているが、これが全容を示しているわけではない。
いるため巨大な潜在的汚染源になっている可能性が指摘された。また、熊( 2008:
81- 104)の報告によれば、湖南省は非鉄金属資源の豊富な産出地として知られ、中
でも最大級の水口鉱山( 亜鉛、鉛の鉱山で、1896 年から本格的採掘)や株州製錬所
から、カドミウム、鉛、水銀、ヒ素、六価クロムの排出量が最も多く、土壌汚染の
深刻な省になっている。このような汚染事故の内、実際に公表された事件が図4( 渡
辺2010) に示されているが、これが全容を示しているわけではない。
現代の中国における最大の汚染発生源は、鉱山業( 製錬業を含む) である。それ
が汚染原因に繋がる要因は、主としてカットオフグレードとエコリュックサック
にあるが、加えて、鉱山、鉱床、鉱脈によって成分構成が異なることによる汚染源
の多様性にも関わっている。これらの要因は全て廃棄物の量と質( 汚染元素) を左
右する条件である。( 谷口2008: 177- 180)。
の多様性にも関わっている。これらの要因は全て廃棄物の量と質( 汚染元素) を左
右する条件である。( 谷口2008: 177- 180)。
汚染元素は、地球化学的に区分すると、大きくは「親銅元素群」と「親鉄元素群」
とになる。したがってそれぞれの群の共存鉱物( 元素) は製錬工程で分離されて、
回収また廃棄される。主な共存元素には、親銅群では銅以外に、銀、亜鉛、カドミ
ウム、水銀、ガリウム、インジウム、テリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ヒ素、
テルル、セリウム、硫黄等が、また、親鉄群には鉄以外に、コバルト、ニッケル、
イリジウム、白金、金、錫、タングステン、炭素等が含まれる( 坂ら208:122- 123)。
とになる。したがってそれぞれの群の共存鉱物( 元素) は製錬工程で分離されて、
回収また廃棄される。主な共存元素には、親銅群では銅以外に、銀、亜鉛、カドミ
ウム、水銀、ガリウム、インジウム、テリウム、鉛、ビスマス、アンチモン、ヒ素、
テルル、セリウム、硫黄等が、また、親鉄群には鉄以外に、コバルト、ニッケル、
イリジウム、白金、金、錫、タングステン、炭素等が含まれる( 坂ら208:122- 123)。
鉱山では、主目的元素の富鉱を精選していく過程で廃鉱石が発生し、さらに精鉱に
する段階で尾鉱が発生する。精鉱の段階で高付加価値の共存元素の評価を含めてカ
ットオフ限界が決まり、それ以下の品位の鉱石は山元に残留することになる。この
結果、
① 廃鉱石や尾鉱の堆積場からの浸出水、
② 廃坑からの浸出水、
③ 豪雨、洪水等による廃鉱石や尾鉱堆積場の崩壊やダムの決壊等でそれらが大量に流出するとい
う主として三つの問題が発生する。
う主として三つの問題が発生する。
いずれも微量の共存元素が汚染を拡大すること
となるし、ダムの決壊や洪水の場合には大量汚染に至るのでその保全は容易ではな
となるし、ダムの決壊や洪水の場合には大量汚染に至るのでその保全は容易ではな
「母なる大地が病んでいる」、中国経済誌が土壌汚染をレポート
【大紀元日本2月27日】中国の大気汚染問題が世界で注目される中、「土壌汚染はそれ以上に深刻だ」と専門家は国民への健康被害を憂慮している。有力経済誌「新世紀週刊」1月号の記事は、甘粛省、内モンゴル自治区、貴州省などの各地を取材し、土壌汚染の深刻さを詳しく伝えた。 母に例えられている大地。同記事は「母は今、病んでいる」と切り出した。 中国環境保護省が2006年に発表した調査結果によると、全国農地総面積の10%強に当たる1.85億ムー(約1232万ヘクタール)の農地が汚染されている。同省は、「中国は世界で土壌汚染が最も深刻な国である」と指摘した。 しかし、この数字は1990年代末に行われた調査の結果である。大半の専門家は、今の汚染状況は当時よりずっと進んでいるとみている。 2006年7月、環境保護省と国土省は共同で「全国土壌汚染状況調査」をスタートさせた。初めての全国範囲の調査だが、6年が経った今、結果はいまだに公表されていない。 土地資源省は今月、年間1200万トンの食糧が汚染されており、経済損失は約200億元(約3千億円)に上っていると発表した。市販されている米の30%は、鉛の含有量が安全基準を超えている。 土壌の汚染は主に重金属、農薬、有機化合物によるものである。今の中国では、最も深刻なのはカドミウム、ヒ素、クロム、鉛などによる重金属汚染であり、その半数以上は工業廃棄物質として排出されている。 21日、中国当局は初めて国民への健康被害を認め、環境汚染が原因でのがん発症率が高い「がん村」は、全国で247カ所あると発表した。専門家は、実際の数はこれよりもっと多いと指摘。 英紙デイリー・テレグラフの記者は甘粛省白銀市近郊の村を現地取材した。この周辺地区は重金属に汚染されている地域だ。 「長い間、足の痛みに悩まされている。いつ襲ってくるかまったく前兆がない。歩けないほど痛いのです」、60歳の村民・雷徳利さんは記者にこう語った。周辺には十数カ所の村があり、半数以上の村では、村民がこの謎の痛みに苦しんでいる。 村の土壌と農作物からは高濃度の鉛、銅とカドミウムが検出されている。専門家は、住民の足の痛みは重金属中毒によるものだとの見解を示した。 周辺地区では銅の貯蔵量が豊富で、1960年代から、採掘業者は有毒な廃水を農地かんがい用の川に大量に流していたという。 「この川の水をかんがい用水として使用したら、植物はすぐに枯れてしまった」、60歳の村民・呉諄君さんは当時の状況を振り返った。 もう一人の村民は、川周辺の草を食べた羊が、歯がポロポロと抜けたと話した。 http://www.epochtimes.jp/jp/2013/02/html/d24410.html |