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Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
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[転載]水俣湾公害防止工事の実施

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▼工事の実施
 水俣湾内に流入・堆積した水銀量は約70~150トンともそれ以上とも言われ、海底に堆積した25ppm以上の水銀を含む汚泥の厚さは4mに達するところもあり、これらの面積は209.2haもの広がりを見せていた。
 昭和52年(1977)10月1日、底質の除去基準を総水銀25ppm以上と定め、水俣湾等公害防止事業に着手した。


 同事業は、水銀値の高い湾奥部(約58万m2)を仕切って埋立地とし、比較的水銀値の低い区域(約151万m2)の汚泥(約151万m3)を浚渫して埋立地に投入し、その上を表面処理した後、良質の山土で覆い、水銀を含む汚泥を封じ込めるもので、高度な技術を要する海上工事は運輸省第四港湾建設局が、陸上工事、監視調査等は県がそれぞれ分担して行った。
 その結果、浚渫前の昭和60年(1985)に調査した湾内610地点の底質中の総水銀値は0.04ppm~553ppmであったが、浚渫完了後の昭和62年(1987)に湾内84地点で行った確認調査結果では、最高12ppm 最低0.06ppm 平均4.65ppmまで低下したことが確認されている。
 この水俣湾の公害防止事業は、事業期間約14年と総事業費約485億円を投じて平成2年(1990)3月に終了した。

▼工事の内容
 工事は、湾内の潮流を弱め、工事による濁りの拡散を少なくする仮締切提を昭和56年(1981)3月明神崎と恋路島の間に設置し、次いで同年6月各種工法の試験工区としての役割と既存の港湾施設の移設先となる一工区(緑地区)に着手した。一工区は、図4-3のとおり、護岸部分の地盤改良のため、ヘドロの撒き上がり防止用の砂を厚さ1mに散布後、サンドコンパクションとサンドドレーンにより砂層を形成して地盤改良を行った。その後、地盤改良を行った部分に、鋼矢板セル、鋼管矢板工法により護岸を作り埋立地を構築した。

 浚渫海域の汚泥は、汚泥のまき上げを極力防止するため、カッターレスポンプ船で海水と共に浚渫して埋立地に入れて汚泥を沈降させ、多量の海水は余水処理を行って工事水域に再び放流した。
 汚泥を入れ終わった埋立地は、汚泥とシラスとを区別するための布製のシートを張り、網状のロープで押さえ、シラスを水と共に厚さ80cmに撒きだす表面処理を行った後、山土で厚さ1m以上覆土して、汚泥は封じ込められた。二工区も、同様の工法で工事が行われた。

▼護岸
 護岸は、①水銀の流出・浸出が防止できること。②施工中の汚泥の撹乱が極力少ないこと。③軟弱な地盤に耐えうること。④土庄・波浪及び地震等の外圧に十分耐えうること。⑤急速施工に適していること。等から既存の護岸との接点部分は鋼管矢板式、二重鋼管矢板式などの構造形式が採用されたほかは、概ね鋼矢板セル式で築造された。

▼綱矢板セル式護岸
 この工法は、軟弱地盤に採用され、かつ水密性の高い構造であるため、埋め立てられた汚泥は将来とも漏出することがないような目的で採用された。地盤改良を行った後、鋼矢板セルが打設され、セルとセル間を接続するため、鋼矢板でアーク部が打設された。一工区に直径29.5mのセルが13基、二工区に12基、また、二工区には、直径22.9mのセルが25基設置された。セル打設後、中詰材として砂及び雑石が投入された。

▼鋼管矢板式及び重力式護岸
 既存の護岸と鋼矢板セルとの間は、鋼管矢板又は二重鋼管矢板により施工された。また、フェリー埠頭等の良質の地盤を有するところでは、重力式と言われるコンクリート製のL型ブロック及びコンクリート方塊積の構造で施工されている。

▼表面処理
 埋立地に投入された汚泥は、細粒分が多く超軟弱であり、直接土木機械による施工が困難であるため、汚泥の上に合成繊維性の布を張り、その上にロープを格子状にかけて押さえ、厚さ80 cmにシラスを水搬で撒きだし、汚泥の表面に覆土工事に先立った表面処理工事が行われた。

▼覆土
 表面処理を行った後、良質の山土を1m以上盛土し整地して、排水路、港湾付属施設、臨港道路、埠頭用地の造成工事が行われた。
 
 

転載元: 環境保全だけでなく親日教育に各業界や企業は取組んで欲しい


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