ため池の底覆い汚染物質を除去…農業用水の除染、基本方針判明
2014.3.22 09:00(1/2ページ)
政府が東京電力福島第1原発事故の復興策として導入する安全な農業用水の確保に向けた支援の基本方針が21日、判明した。避難指示区域の解除に合わせた営農再開や被災地域の定住を促進するため、自治体による農業用水の除染を進めて福島県の復興を加速させる。根本匠復興相が22日に同県飯舘村を視察し、発表する。
農水・環境省、役割を分担
基本方針は、縦割り行政で除染が進まなかったダムや池への対応で役割分担を明確化する内容だ。農業用水向けのダムやため池に関しては農林水産省と市町村が連携して国が開発した技術で対応、公園や住宅周辺の池は環境省が除染する。
農業用水向けでは、取水位置を上に移し、ダムやため池の底を覆って放射性物質を固定化したり汚染物質そのものを除去したりする。事業主体となる市町村が対策を円滑に実施できるよう技術マニュアルを策定し、政府から専門家も派遣する。財政面では福島再生加速化交付金で対応。政府は飯舘村などで平成26年度の実証事業として実施、応用技術の確立とともに各市町村が早期に取り組めるよう支援する。
「安全な水」確保、帰還を支援
国や福島県の調査では、避難指示区域を中心にダムや池の底から濃度の高い放射性物質が検出されており、水の安全性への不安がある。
避難指示解除準備区域となっている同県田村市都路地区は4月1日に避難指示が解除される。ただ、避難している農家が農業を再開しようとしても、安全な水が確保できなければ、帰還そのものに慎重になることも予想される。このため復興庁が中心となり農業再開に向けた新たな支援策を策定した。
環境省はこれまで、「住居周りなどの生活空間の除染が優先」として、池については除染対象外としてきたが、健康被害に影響の恐れがあるものは除染を行うとの方針に転換した。