土壌環境の現状
農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和45年法律第139号)に定める特定有害物質による農用地の土壌汚染の実態を把握するため、汚染のおそれのある地域を対象に細密調査が実施されており、平成23年度は7地域2319.46haにおいて調査が実施されました。これまで基準値以上検出等地域面積の累計は134地域7,575haとなっています。
市街地等の土壌汚染については、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づく調査や対策が進められているとともに、工場跡地などの再開発・売却の際や環境管理等の一環として自主的な汚染調査を行う事業者の増加、地方公共団体における地下水の常時監視の体制整備や土壌汚染対策に係る条例の整備等に伴い、近年、土壌汚染事例の判明件数が増加しています。都道府県や土壌汚染対策法の政令市が把握している調査の結果では、平成23年度に土壌の汚染に係る環境基準又は土壌汚染対策法の指定基準を超える汚染が判明した事例は942件となっています(図4-1-27)。事例を有害物質の項目別でみると、鉛、ふっ素、砒素などが多くみられます。
5 地盤環境の現状
地盤沈下は、地下水の過剰な採取により地下水位が低下し、主として、粘土層が収縮するために生じますが、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震の発生後においては、東北地方から関東地方にかけて広範囲にわたり、地震の影響と考えられる大規模な沈下が観測されました。代表的な地域における地盤沈下の経年変化は、図4-1-28に示すとおりであり、平成23年度までに、地盤沈下が認められている主な地域は39都道府県64地域となっています。
平成23年度において年間2cm以上沈下した地域は14地域で、2cm以上沈下した面積(年間2cm以上沈下した面積が1.0km2以上の地域の面積の合計)は5,920km2であり、このうち年間4cm以上沈下した地域は11地域で、4cm以上沈下した面積(年間4cm以上沈下した面積が1.0km2以上の地域の面積の合計)は4,061km2でした(図4-1-29)。
かつて著しい地盤沈下を示した東京都区部、大阪市、名古屋市などでは、地下水採取規制等の対策の結果、長期的には地盤沈下は沈静化の傾向をたどっています。しかし、消融雪地下水採取地、水溶性天然ガス溶存地下水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が発生しています。
長年継続した地盤沈下により、多くの地域で建造物、治水施設、港湾施設、農地及び農業用施設等に被害が生じており、海抜ゼロメートル地域などでは洪水、高潮、津波などによる甚大な災害の危険性のある地域も少なくありません。