中国、環境保護関連業界が発展の好期に突入
2014年06月06日
中国環境保護部の李干烋副部長によると、環境保護部門は「環境汚染に宣戦する」という具体的な政策と措置を実施に移し、着実に大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策を強化する。それに「水質汚染防止行動計画」と「土壌汚染防止行動計画」を制定、発表する。業界関係者は、上記の3つの対策をこれまでの低炭素行動と結びつけ、これからの環境保護事業の展開にささやかながら貢献するとしている。
中投顧問の郭凡礼氏によると、中国の環境保護関連業界の市場規模はこれから、少なくとも倍以上に拡大する。環境保護関連業界への投資も向こう5~10年で、毎年10%以上伸びる。同時に環境保護サービスと環境保護関連製品が工業分野に応用される可能性も大きい。中国の環境保護プロジェクトのサービス市場も発展の好期に入っているという。
大気汚染対策で相次ぎ国家基準を公布 ゴミ、ディーゼルなど―中国環境保護部
大気汚染対策に関する国家基準が、中国で相次ぎ公布されている。環境保護部の担当者は「大気汚染防止行動計画(大気十条)」で制定を求めていた大気汚染物特別排出上限の25項目も年内に出そろう見通しを明かした。6月2日、法制日報が伝えた。
環 境保護部と国家質量監督検験検疫総局は先月16日、「非道路移動機械用ディーゼル機排気汚染物排出上限と測量方法」を公布した。このほか、「ボイラー大気 汚染物排出基準」「生活ごみ焼却汚染抑制基準」「スズ、アンチモン、水銀工業汚染物排出基準」を7月1日から実施する。
この4つの国家基準は、顆粒物(PM)、窒素酸化物、二酸化硫黄汚染を大幅に削減するのが目標だ。
・ボイラー
大 気汚染の最大の原因は煤煙とみられている。環境保護部の担当者によると、石炭燃焼量は毎年増え続けている。また、10トン以下の小型ボイラーが全国の 70%を占め、その多くが人口密集地区に集中しているため、大気環境を悪化させている。7月に実施されるボイラー大気汚染物排出基準は、この小型ボイラー を大型化するか、環境負荷がより低いものに交換するよう求めている。環境保護部は同基準の実施でPM2.5を含む顆粒物を66万トン、二酸化硫黄を314 万トン減らせると試算している。
環 境保護部と国家質量監督検験検疫総局は先月16日、「非道路移動機械用ディーゼル機排気汚染物排出上限と測量方法」を公布した。このほか、「ボイラー大気 汚染物排出基準」「生活ごみ焼却汚染抑制基準」「スズ、アンチモン、水銀工業汚染物排出基準」を7月1日から実施する。
この4つの国家基準は、顆粒物(PM)、窒素酸化物、二酸化硫黄汚染を大幅に削減するのが目標だ。
・ボイラー
大 気汚染の最大の原因は煤煙とみられている。環境保護部の担当者によると、石炭燃焼量は毎年増え続けている。また、10トン以下の小型ボイラーが全国の 70%を占め、その多くが人口密集地区に集中しているため、大気環境を悪化させている。7月に実施されるボイラー大気汚染物排出基準は、この小型ボイラー を大型化するか、環境負荷がより低いものに交換するよう求めている。環境保護部は同基準の実施でPM2.5を含む顆粒物を66万トン、二酸化硫黄を314 万トン減らせると試算している。
国際協力銀行、中国の省エネ・環境保護向け投資ファンドに27億円出資
2014年5月29日
国際協力銀行(JBIC)は、中国における省エネ・環境保護分野を投資対象とするファンド「中日節能環保創業投資」及び同ファンドの管理・運営等を担う管理会社・中日節能環保創業投資管理に関する、最大158,600千中国人民元(JBIC分は約27億円相当)の出資契約書を締結した。同ファンド及び同管理会社は、JBICの他、みずほ銀行、日揮、月島機械、中国輸出入銀行、その他中国側出資者により組成され、その規模は最大1,000,000千中国人民元となる見込み。
同ファンド等の設立により、省エネ・環境保護分野における日中両国企業の共同プロジェクト等を実施し、日本企業の有する高い環境技術の投資先事業への導入等が促進されることにより、中国での同分野における日本企業のビジネス機会の拡大が期待される。
中国政府は、最優先の政策課題として省エネ・環境保護分野の拡大を挙げており、第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)においても、重点的に育成していくべき産業分野の一つとして位置づけている。この分野では多くの新興成長企業が興隆しつつあり、今後も関連市場の急速な拡大が見込まれていることから、日本企業にとってもビジネス機会創出の可能性が高い市場と見られている。
今回の案件は、2011年12月の日中首脳会談の折に調印された「日中省エネ環境ファンド設立に係る覚書」に基づいて協議が進められた結果、契約調印に至ったもの。
JBICは、日本の公的金融機関として、今後も出資機能を含む様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、中国市場における日本企業の事業機会創出に貢献することにより、日本の産業の国際競争力の維持・向上を図るとともに、日中両国間の緊密な経済関係の一層の深化・発展に貢献していきたい考えだ。
【参考】
JBIC - 中国における省エネ・環境保護関連事業を投資対象とするファンドに出資
JBIC - 中国における省エネ・環境保護関連事業を投資対象とするファンドに出資
中国、「2013年環境状況公報」を発表
2014-06-04
今月5日の「世界環境デー」を前に、中国環境保護省が4日、最新の「中国環境状況公報」を発表しました。中国の環境状況は、ある程度改善されているものの、生態環境保護の情勢は依然として厳しいということです。公報によりますと、新しい大気環境の観測基準を実施している74都市において、大気質の合格率は僅か4.1%しかないということです。
現在、酸性雨は主に長江沿線や中、下流地域の南に集中しており、国土面積の10.6%に及んでいます。そのほか、全国の水環境も楽観視できないとされています。地表水の1割前後は深刻な汚染で、劣V類水質です。さらに、4割の海と川の流域で劣V類水質になったということです。一方、土壌汚染も悪化し、全国耕地の、1.5%は中度汚染、1.1%は重度汚染ということです。
これを受け、今年の中国での「世界環境デー」のテーマは、「汚染に宣戦」です。政府は貧困撲滅と同様に、汚染撲滅を決意したということです。(
特集日中関係の現場で本当は何が起きているのか
2014年4月に世界貿易機関(WTO)が発表した2013年貿易統計によると、中国の貿易総額が米国を抜いて世界第1位になった。経済成長を続ける中国にとって、なかなか有効な手立てが見えていない問題のひとつがPM2.5(微小粒子状物質)に象徴される深刻な大気汚染などの環境問題だ。PM2.5に限らず、気候温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量に関しては、既に以前から世界第1位で、国別の割合でみれば24%、つまり世界の4分の1を中国が占めている。排出量第2位の米国と中国の二国で世界の3分の1強の二酸化炭素を排出している。
一方、大気汚染、水質汚染、あるいは食の安全性といった側面からも、さまざまな環境問題に中国は直面している(例えば、参考文献・井村2007、相川2008)。本論では、こうした中国の環境問題の実態を改めて掘り下げることで、一般的な環境先進国・日本による技術協力という枠組みを超えた日中、あるいは東アジアでの環境問題を中心とした協力について、その限界と可能性を議論する。
最初の衝撃、黄河断流と長江大洪水
改革開放政策以降の中国の経済成長は特に1992年以降に顕著であり、環境問題もこの20年余りに集約されている。ただしその過程で環境問題の質が大きく変わっている。
まず中国にとって大きな衝撃だったのは、1997年にかつてないほど広い範囲で生じた黄河断流と、1998年に発生した長江大洪水である。
黄河断流は、増大する農業や工業、都市の水需要の増加が引き起こしたともいわれた。しかし、問題はそれほど単純ではない。筆者の所属する総合地球環境学研究所(以下、地球研)が中国と共同で黄河断流を調査した研究プロジェクト(黄河プロジェクト、代表:福嶌義宏名誉教授)によれば、黄河断流の原因のひとつとして、砂漠化対策として実施された植林によって水消費が増えたことが指摘されている(福嶌2007)。黄河において、水利用の大半、約7割は農業用水であるが、その利用量は1980年代に最大となっていて、断流が起きた1990年代後半には大きな変化は起きていない。
一方で、いわゆる黄土高原といわれる地域での水消費量が、1980年代を境として前後で大きく異なることが明らかになった。これは、中国が国家事業として進めてきた黄土高原における砂漠化防止のための植林事業がある程度成功したことによって、回復した森林が消費する水の量(蒸発散量)が増加し、結果的に黄河下流の水量が減少した。砂漠化防止のための植林という環境対策が、黄河断流という別の環境問題を引き起こしたのである。
1998年長江大洪水の直接的な原因は異常降雨であったと思われるが、被害を拡大した要因として、特に山地で森林を伐採して農地を無制限に増やしたことが挙げられた。このため中国政府は、長江大洪水の後、人口の増大とともに農地を拡大し続けてきた中国の歴史の中では極めて異例な試みともいえる、「退耕還林」(農地を制限して森林に戻す)政策を実施することになった。
急速な都市開発が新たな環境問題を生む
これらの事例に見るように、2000年代初頭まで、中国では食糧自給、食糧増産を目指す農業開発が砂漠化や山地の荒廃、その結果としての黄砂の増加、さらには水不足や洪水といったさまざまな問題を引き起こしてきた。しかし、都市化や工業化が深化する2000年代後半からは、大きく状況は変化した。
農業開発による草原の喪失や砂漠化の進行していた内モンゴル自治区では、現在石炭やレアアースなど鉱山開発が非常な勢いで進行しており、平行して急速な都市開発が行われている。この地域の石炭鉱山は、かつては日本と同様に坑道を張り巡らした危険なものが多かったようであるが、現在では大規模な露天掘りに変わり、周囲の田舎町では、まるで中東のような都市開発が進む。農業へのインセンティブは低下し、もはや農地開発の圧力はない。中国研究者の中からは、砂漠化はもう起きないとの発言も聞かれた。