水俣の地形と地質の概要
傾斜が急変する箇所で山地を区分する。 |
山地をつくる岩石は 主に肥薩火山区の鮮新世~更新世の火山活動により形成された安山岩溶岩と凝灰角礫岩、 及び基盤の四万十累層群の砂岩と頁岩からなる。 |
肥薩火山区の火山活動は永尾ら(1999)によると、 ステージ1(760万年~250万年前)、 ステージ2(250万年~200万年前)、 ( 水俣における 肥薩火山区の 層序表へ ) ステージ3(200万年~40万年前)に区分される。 さらに安山岩類はK20の含有量により 低カリ安山岩(K20=0.5~1.5%)と 高カリ安山岩(K20=1.5~3.5%)とに分けられる。 層序的にも同様に区分され、 下位から低カリ安山岩質の凝灰角礫岩と熔岩(ステージ1)、 高カリ安山岩質の熔岩(ステージ2)、 そして低カリ安山岩質の熔岩と凝灰角礫岩(ステージ3)の活動へと移行する。
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基盤は三宝山帯の石灰岩、砂岩、及び頁岩と四万十累層群の砂岩と頁岩で、 前者は水俣市北西部の初野付近、 後者は水俣川中流域や湯出川中流から上流域の鬼岳直下に分布している。 |
八幡残渣プールの構造
「八幡残渣プール」は昭和二十二年、アセチレン発生残渣を利用して海面埋立を行うため海中に石垣練りコンクリート積みの築堤を造り、カーバイトの残渣をプールに投入した。排水や残渣は、石垣の間から海中に流れ出し、上澄み液は直接海に放出される構造になっていた。(右図参照)
したがって、八幡残渣プールは沈殿地として設計されたものでなく、海面埋立のためのプールであった。
昭和三十年に拡張した残渣プールは、直ぐにいっぱいになり、昭和三十三年には新たなプールが必要となった。そこでチッソは、工事費を安く上げるため、それまで埋め立てた残渣プールの上にカーバイト残渣で築堤を造り、「嵩上げ」を行なった。昭和三十三年十二月十日の『水俣工場新聞』は、「・・・そこで、一米ずつ四回かさ上げし、今後四、五年は、この方法で残渣処理をしてゆくこととなった・・・」と述べている。
▼水俣湾水銀へドロ埋立地の問題点
- 護岸の老朽化(鋼矢板セルの腐食を含む)
- 地震時の護岸及び埋立地の強度、並びに埋立地の液状化の可能性
- 護岸及び埋立地からの水銀など汚染物質の漏洩の可能性
- 八幡残渣プールに排出された有害物質の種類と量が不明
- 水銀など有害物質を含むカーバイト残渣による土地造成
- 八幡残渣プールや造成地からカーバイト残渣の石灰質や有害物質が流出
- 八幡残渣プールの石垣やコンクリート築堤の老朽化
- 地震時の護岸及び埋立地の強度及び埋立地の液状化の可能性
- その他の汚染サイトの特定(場所、由来、汚染物質)
- 汚染サイト毎に問題点の把握、汚染物質の濃度、周囲への影響などの調査