日向市の黒木睦子さんを悩ます原因と異なるスラグの検査方法
(株)日向製錬所のHPには一般廃棄物ではないので、グリーンサンドの品質特製として、JIS K0058-1により試験を行った事は当然掲載されていません。
でも、日本鉱業協会のパンフレットには、JIS K0058-1と環境省告示第18号の2つが掲載されています。
宮崎県日向市の黒木睦子さんが訴えられた裁判で、その原因となる(株)日向製錬所のグリーンサンドの土壌溶出量試験は、同社のHPによると、環境省告示第18号に沿って行われ基準値超過はないと書かれています。
鉄鋼スラグと非鉄金属スラグの環境品質の規格化
リサイクルの観点から鉄鋼スラグと非鉄スラグの環境安全品質のJIS化に向けて、色々協議がされていたようで、その中で
一般廃棄物由来の溶融スラグを対象とする環境安全品質として
「一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材」(JIS A5031)
「同、道路用溶融スラグ」(JIS A5032)が制定され
その前段階で、利用方法が異なる環境なのに、これまでの環境省告示第18号を一律に援用しているのはおかしく、利用環境にあったガイドラインを作る必要があるとされ、
JIS K0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-溶出量試験方法」
JIS K0058-2「スラグ類の化学物質試験方法-含有量試験方法」
が制定された様です。
ここで、上記JIS A5031とA5032は一般廃棄物(主に清掃工場で発生するスラグ)に限定され、産業廃棄物としての環境安全品質ではないので、今回の黒木さんの問題には適用されませんが、同じ廃棄物という観点から考えると中々興味深いので、そう言った視点で読んで下さい。
一般廃棄物由来の溶融スラグを対象とする環境安全品質として
「一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材」(JIS A5031)
「同、道路用溶融スラグ」(JIS A5032)が制定され
その前段階で、利用方法が異なる環境なのに、これまでの環境省告示第18号を一律に援用しているのはおかしく、利用環境にあったガイドラインを作る必要があるとされ、
JIS K0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-溶出量試験方法」
JIS K0058-2「スラグ類の化学物質試験方法-含有量試験方法」
が制定された様です。
ここで、上記JIS A5031とA5032は一般廃棄物(主に清掃工場で発生するスラグ)に限定され、産業廃棄物としての環境安全品質ではないので、今回の黒木さんの問題には適用されませんが、同じ廃棄物という観点から考えると中々興味深いので、そう言った視点で読んで下さい。
二種類のスラグ検査方法
これらのJIS規格で注目したいのは、物質の含有量と溶出量の基準値に変わりはない様ですが、利用用途によって検査方法が変わるという所です。
そこで、その検査方法を見てみると今回の施工方法と同じ「埋戻材」と言う項目があり表面が露出する場合以外はこれまでの環境省告示第18号ではなく、JIS K0058-1により、溶出量試験を行いなさいと書いてあります。
まさに、利用環境に応じた対応です。
そこで、その検査方法を見てみると今回の施工方法と同じ「埋戻材」と言う項目があり表面が露出する場合以外はこれまでの環境省告示第18号ではなく、JIS K0058-1により、溶出量試験を行いなさいと書いてあります。
まさに、利用環境に応じた対応です。
(株)日向製錬所のHPには一般廃棄物ではないので、グリーンサンドの品質特製として、JIS K0058-1により試験を行った事は当然掲載されていません。
でも、日本鉱業協会のパンフレットには、JIS K0058-1と環境省告示第18号の2つが掲載されています。
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一般廃棄物の基準に置換えてみる
(株)日向製錬所のHPで掲載されている情報が間違いではありませんが、仮に一般廃棄物由来のスラグの環境品質基準、JIS K0058-1で考えて見ると
◎再利用が想定されない
1.地盤改良工の浅層混合処理固化材
2.土工の覆土材、盛土材、埋戻材の表面が露出する場合
の試験結果でしか使う事が出来ないと言う事が出来ると思います。
今回の埋立の場合は、ネットの情報を見ると埋戻材の表面は露出されていない様ですね。
そこで、もう一度上の図の日本鉱業協会パンフレットの測定値を見て下さい。
ふっ素およびその化合物の測定値が、JIS K0058-1だと0.1で
環境省告示第18号だと0.01と
試験方法が変わるだけで、10倍の差が出ています。
では、JIS K0058-1だと平均的に10倍多く検出される物質があるんだと仮定して、ページ冒頭のグリーンサンドの測定値を見ると、弗化物:0.1ですから10倍すると1で、JIS K0058-1で測定すれば、測定値は1となり、基準値の≦0.8を超過します。
同様に、宮崎県が問題ないと発表した水質調査結果を見ると
◎再利用が想定されない
1.地盤改良工の浅層混合処理固化材
2.土工の覆土材、盛土材、埋戻材の表面が露出する場合
の試験結果でしか使う事が出来ないと言う事が出来ると思います。
今回の埋立の場合は、ネットの情報を見ると埋戻材の表面は露出されていない様ですね。
そこで、もう一度上の図の日本鉱業協会パンフレットの測定値を見て下さい。
ふっ素およびその化合物の測定値が、JIS K0058-1だと0.1で
環境省告示第18号だと0.01と
試験方法が変わるだけで、10倍の差が出ています。
では、JIS K0058-1だと平均的に10倍多く検出される物質があるんだと仮定して、ページ冒頭のグリーンサンドの測定値を見ると、弗化物:0.1ですから10倍すると1で、JIS K0058-1で測定すれば、測定値は1となり、基準値の≦0.8を超過します。
同様に、宮崎県が問題ないと発表した水質調査結果を見ると
ふっ素(F)が共に0.08で10倍すると0.8ですから、基準値≦0.8で駄目です。
⇒宮崎県の水質調査結果
(*測定値の見方を勘違いしているとご指摘があったので、確認しました。日本鉱業協会の測定値は0.1より小さい。日向製錬所の測定値は0.1より小さい。宮崎県の測定値は、0.08より小さい。が正しいので必ずしも基準値を超過するとは限りません。すみません。)
ただし、宮崎県の調査結果は試験方法が記載されていないので、どの方法で試験したかはわかりませんが、現在の基準は環境省告示第18号で良いので、おそらくそうでしょう。
でも試験方法は記載するようにとどっかで見たので、この調査結果の公開方法には不備があるように思います。県と一緒に調査を行った日向市は前科の疑惑もあるようですから。
⇒日向市の給食センター、毒の上に35年も 造成工事に「鉱さい(産廃)」使用?
将来悪影響の恐れあり
⇒宮崎県の水質調査結果
(*測定値の見方を勘違いしているとご指摘があったので、確認しました。日本鉱業協会の測定値は0.1より小さい。日向製錬所の測定値は0.1より小さい。宮崎県の測定値は、0.08より小さい。が正しいので必ずしも基準値を超過するとは限りません。すみません。)
ただし、宮崎県の調査結果は試験方法が記載されていないので、どの方法で試験したかはわかりませんが、現在の基準は環境省告示第18号で良いので、おそらくそうでしょう。
でも試験方法は記載するようにとどっかで見たので、この調査結果の公開方法には不備があるように思います。県と一緒に調査を行った日向市は前科の疑惑もあるようですから。
⇒日向市の給食センター、毒の上に35年も 造成工事に「鉱さい(産廃)」使用?
将来悪影響の恐れあり
産廃由来スラグの環境品質規格化へ向けた動き
しかし、それはあくまで一般廃棄物での話だろ?
と思われるでしょうけど、実はその一般廃棄物に関するJIS A5031、5032が制定された後
続いて産業廃棄物由来の物もJISで規格化すると言う動きだった様ですが、見送られてしまい
その理由を「産廃由来スラグの安全性、安定性の品質データが不十分であり、データをもって産廃由来スラグの品質が一般廃棄物由来スラグに劣らない事がしめせなかったことが考えられる」と、全国産業廃棄物連合会が発表し
JIS化を目指すため、独自のマニュアルを作成していて
と思われるでしょうけど、実はその一般廃棄物に関するJIS A5031、5032が制定された後
続いて産業廃棄物由来の物もJISで規格化すると言う動きだった様ですが、見送られてしまい
その理由を「産廃由来スラグの安全性、安定性の品質データが不十分であり、データをもって産廃由来スラグの品質が一般廃棄物由来スラグに劣らない事がしめせなかったことが考えられる」と、全国産業廃棄物連合会が発表し
JIS化を目指すため、独自のマニュアルを作成していて
⇒産業廃棄物を含む溶融スラグに関する品質管理マニュアル
このマニュアルに法的効力は無いでしょうけど、産業廃棄物由来スラグは、現在制定されている一般廃棄物由来スラグの基準をクリア出来る物は少ないと言う事がわかり
この産業廃棄物由来スラグのJIS化に失敗した理由として、下のブログではある業界誌の編集長から「産廃関連のスラグ製造者は、JIS化されることでやぶ蚊になる」と不賛成だったと聞き、スラグの品質に責任が持てないからでしょう。と書かれています。
⇒溶融スラグのJIS化について(私見)
更に、一般廃棄物由来のスラグとしてJIS化された後に、環境省が通達を出していて、これには「地中空間の充てん剤」として使う場合を指針に追加するという事が書かれています。
まさに、今回の埋戻しに適合する様な気もしますが、そこには中々詳しく書かれていて
◎浸透液が地下水に影響しないよう、二箇所以上の場所から水を取り検査・記録し、水質検査は基準に沿った頻度で行う事。
◎住人を含む利害関係者に説明会を開き、工事内容を周知する事。
◎工事終了後2年が経過するまでは工事書類や記録の公衆の閲覧を可能にする事。
◎周辺環境に支障が出たら原因究明の上、掘り返しや遮断工を行う事。
◎施工業者との間で、役割及び責任について明確にする事。
◎充てんする深度は掘り返しを想定し地表から5m以内を参考値とする。
公共工事に限った話かも知れませんが、黒木さんの要求している事に近いし、環境省はスラグに関し、結構気にしている様にも見え、逆を言えばそれだけ取り扱いと施工後の浸透水の流出に注意が必要だと行っている様にも見えます。
⇒(環境省)通知の一部改正について
一般廃棄物と産業廃棄物の違いはありますが、違いは一般家庭から出たゴミか、会社から出たゴミかの違いだけで、スラグによる環境への影響は同じだろ?と思いますが、こう言った事も今回の問題の裏に隠された問題の一つに関係するのではないでしょうか?
このマニュアルに法的効力は無いでしょうけど、産業廃棄物由来スラグは、現在制定されている一般廃棄物由来スラグの基準をクリア出来る物は少ないと言う事がわかり
この産業廃棄物由来スラグのJIS化に失敗した理由として、下のブログではある業界誌の編集長から「産廃関連のスラグ製造者は、JIS化されることでやぶ蚊になる」と不賛成だったと聞き、スラグの品質に責任が持てないからでしょう。と書かれています。
⇒溶融スラグのJIS化について(私見)
更に、一般廃棄物由来のスラグとしてJIS化された後に、環境省が通達を出していて、これには「地中空間の充てん剤」として使う場合を指針に追加するという事が書かれています。
まさに、今回の埋戻しに適合する様な気もしますが、そこには中々詳しく書かれていて
◎浸透液が地下水に影響しないよう、二箇所以上の場所から水を取り検査・記録し、水質検査は基準に沿った頻度で行う事。
◎住人を含む利害関係者に説明会を開き、工事内容を周知する事。
◎工事終了後2年が経過するまでは工事書類や記録の公衆の閲覧を可能にする事。
◎周辺環境に支障が出たら原因究明の上、掘り返しや遮断工を行う事。
◎施工業者との間で、役割及び責任について明確にする事。
◎充てんする深度は掘り返しを想定し地表から5m以内を参考値とする。
公共工事に限った話かも知れませんが、黒木さんの要求している事に近いし、環境省はスラグに関し、結構気にしている様にも見え、逆を言えばそれだけ取り扱いと施工後の浸透水の流出に注意が必要だと行っている様にも見えます。
⇒(環境省)通知の一部改正について
一般廃棄物と産業廃棄物の違いはありますが、違いは一般家庭から出たゴミか、会社から出たゴミかの違いだけで、スラグによる環境への影響は同じだろ?と思いますが、こう言った事も今回の問題の裏に隠された問題の一つに関係するのではないでしょうか?
グリーンサンドがJIS規格外の用途に使われたのはほぼ確実で、環境品質の基準が無い訳ですから、答弁で「例えば一般廃棄物由来の溶融スラグでは、こうなってますよ」と言うのも一つかもしれません。