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1 | 昭和47年版 | 宮崎県西臼杵郡高千穂町土呂久地区において、過去の無水亜ヒ酸採取の影響によると思われる地域住民の健康被害が指摘されたが
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2 | 昭和47年版 | 水銀、カドミウムによる汚染問題のほかに、宮崎県土呂久休止鉱山におけるヒ素問題、新潟県直江津地区等の工場から排出される弗化物問題など近年各地区等の工場から排出される弗化物問題など近年各地で環境汚染物質による健康被害を複える事件が多発している。
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3 | 昭和47年版 |
最近、宮崎県土呂久地区のヒ素問題など各地で有害物質による健康被害の問題が発生し、地域住民の不安を助長している。このような事態に対処して、国は、関係地方公共団体と協力し、健康調査や環境汚染調査を実施し、実態の解明につとめるとともに、その未然防止を図ることとしている。
とくに健康被害の問題は緊急を要する問題であると同時にその対策は長期的観点からみて納得のいくものでなければならない。 |
4 | 昭和48年版 | またひ素については、宮崎県土呂久地域におけるひ素による環境汚染が発端となつて、全国各地に散在する休廃止鉱山周辺地域が問題となり、このため47年度からこれらの休廃止鉱山周辺地域の環境汚染調査が実施されることとなり、これら環境汚染調査の一環としてひ素に係る土壌汚染の調査も実施されている。なお、この調査の結果、汚染のおそれのある地域については、さらに細密な調査が実施されることとなつている。
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5 | 昭和48年版 | 休廃止鉱山周辺の健康被害 (1) 概要
宮崎県土呂久鉱山周辺の砒素による住民の健康被害の問題については昭和47年1月に開かれた日教組教育研究会全国集会報告会において、岩戸小学校斉藤教諭からその事情が発表され土呂久鉱害として世間の耳目をひく問題となった。これが発端となり国会においても、全国に散在する多数の休廃止鉱山についての鉱害問題としてとり上げられることとなった。
現在、全国に散在する休廃止鉱山は5,000から6,000と推定され、通商産業省においてはそのうち1,050鉱山に重点をおいて実態を把握するための調査を進めており、さらにこのうち113鉱山については、環境庁で水質などの環境汚染調査を行っているところである。
また、周辺住民の健康調査については、この環境汚染調査の結果に基づき、住民の健康に影響があると予想される場合には、健康調査を実施することとしているが、島根県笹ヶ谷鉱山など、現に住民の健康影響上のおそれが予想されている一部の鉱山については、現在、関係県において健康調査を実施中である。
(2) 宮崎県土呂久鉱山の健康調査
休廃止鉱山問題の発端となった土呂久鉱山は、貞亨年間(1684―1687年)に銀山として鉱石の採掘が行なわれて以来、37年まで断続的に錫精鋼や三酸化砒素の生産が行なわれた。すなわち明治初期当時から大正9年までおよび昭和8年から14年までの間に三酸化砒素の生産が行なわれ、また昭和30年から37年までは中島鉱山株式会社において砒素鉱の山元製錬が行なわれ、年間50〜100トンの三酸化砒素を産出していた。その後、同社は37年操業を中止し、鉱区は住友金属鉱山(株)の所有となった。
宮崎県においては、44年から公害の未然防止の観点から県下における休廃止鉱山の一斉点検を実施した。この中で土呂久鉱山は要監視鉱山とされ、通商産業省福岡鉱山保安監督局と協議しつつ、調査および環境汚染源対策を講じてきたが、この問題による住民不安に対処するため、46年11月から所要の環境調査を行なうとともに、九州大学倉恒匡徳教授を委員長とする調査専門委員会を発足させ、土呂久地区の社会医学的調査を実施した。
この調査においては、土呂久地区住民269人を対象として第1次検診を行ない、このうち18人について第2次検診を、さらにこのうち8人について精密検診を行なった結果、土呂久鉱山の操業に伴って発生した三酸化砒素に暴露したことによる慢性砒素中毒と思われる皮膚所見が地元住民7名に認められた。
(3) 救済
環境庁においては、土呂久鉱山その他において砒素による健康被害が疑われたため、島根等関係県に助成し、休廃止鉱山周辺住民の健康調査を行なうとともに、「砒素による健康被害検討委員会」(委員長久保田重孝)を発足させ、砒素の健康被害に関する疫学的健康調査方法、臨床的診断方法および救済のための公害病認定条件について検討を行なった。検討委員会は47年9月から6回の会合を重ね、48年1月には中間報告として「砒素の環境汚染による健康被害者の認定条件等について」を発表した。環境庁はこの報告を受けて、「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」に基づき、48年2月慢性砒素中毒症の救済地域として宮崎県西臼杵郡高千穂町土呂久地区を指定した。また、宮崎県は、同時に同法に基づいて公害被害者認定審査会を設置し、公害病認定のための準備をととのえた。
なお、宮崎県知事は土呂久地区社会医学的調査により砒素中毒症とされた健康被害者7人について、会社との補償あっせんを行なっていたが、47年12月28日双方とも知事あっせん案を受諾した。
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6 | 昭和48年版 | 健康被害救済制度 |
7 | 昭和48年版 | 公害保健に関する調査、指導の推進 |
8 | 昭和48年版 |
46年11月に宮崎県土呂久地区住民の砒素による健康影響が問題となり宮崎県をはじめとして7県において休廃止鉱山周辺住民の健康調査を行なっており、その結果、宮崎県土呂久地域については7人の健康被害者が確認された。 |
9 | 昭和49年版 | 砒素等については、宮崎県土呂久地域における砒素による環境汚染が発端となって、全国各地に散在する休廃止鉱山周辺の環境汚染が問題となり、47年度から休廃止鉱山周辺環境汚染調査を実施しており、この環境調査の一環として砒素等による土壌汚染の調査を実施している。47年度には、83の休廃止鉱山について調査したが、その結果は 第4-6-3表のとおりであり、休廃止鉱山周辺地域の農用地の重金属類による汚染の概況が明らかになった。なお、この結果、汚染のおそれがある地域については、更に細密な調査を実施する。この調査は48年度においても119の休廃止鉱山周辺地域について実施した。 |
10 | 昭和49年版 |
宮崎県は、44年から公害の未然防止の観点から県下における休廃止鉱山の一せい点検を実施した。このなかで、土呂久鉱山は、要監視鉱山とされ、通商産業省福岡鉱山保安監督局と協議しつつ、調査及び環境汚染源の対策が講じられてきたが、住民の不安に対処するため、46年11月から所要の環境調査を行うとともに調査専門委員会を発足させ、土呂久地区の社会医学的調査を実施した。
この調査の結果、土呂久鉱山の操業に伴って発生した三酸化砒素に暴露したことによる慢性砒素中毒と思われる皮膚所見が地元住民7人に認められた。
(2) 救済
環境庁においては、土呂久鉱山その他において砒素による健康被害が疑われたため島根県等関係県に助成し、休廃止鉱山周辺住民の健康調査を行うとともに「砒素による健康被害検討委員会」を発足させ、砒素の健康被害に関する疫学的健康調査方法、臨床的診断方法及び救済のための公害病認定条件について検討を行った。48年1月「砒素の環境汚染による健康被害者の認定条件等について」同委員会から中間報告があり、これを受けて、48年2月救済法に基づき、慢性砒素中毒症の救済地域として宮崎県西臼杵郡高千穂町土呂久地区を指定した。
宮崎県では、土呂久地区の社会医学的調査により砒素中毒症と診断された患者7人につき47年8月から県の救済要綱による救済を行っていたが、同年12月28日知事のあっせんのもとに会社との間に補償協定が成立した。
また、48年2月の地域指定に伴う公害被害者認定審査会の設置以降認定された患者は、49年2月現在5人であるが、この5人についても同年2月2日会社との間に補償協定が成立した。
宮崎県においては、48年3月から247人を対象に再度の健康調査を行い、万全を期すこととしていたが、二次検診の段階で認定申請を指導した者13人について49年2月28日付けで救済法に基づく認定を行った。 |
11 | 昭和49年版 |
宮崎県土呂久鉱山周辺の砒素による住民の健康被害の問題が発端となり、全国に散在する多数の休廃止鉱山の鉱害問題が大きな問題となった。
現在、全国に散在する休廃止鉱山は5千から6千と推定され、通商産業省においては、そのうち1,050鉱山に重点をおいて実態をは握するための調査を行い、更にこのうち106鉱山については、環境庁で水質等の環境汚染調査を行った。また、通商産業省は、48年度からその他の休廃止鉱山についても県に委託して調査を行っているところである。
周辺住民の健康調査については、現に住民の健康影響上のおそれがある22鉱山周辺について実施したが、島根県笹ヶ谷鉱山の周辺において砒素中毒症と思われる者がみられたほかは、既に救済法の地域指定を受けている土呂久地区以外は健康障害が認められなかった。 |
12 | 昭和50年版 |
1) 土呂久における慢性砒素中毒症
ア 沿革
宮崎県土呂久地区に発生した慢性砒素中毒症に関する経緯は次のとおりである。
44年 宮崎県による県下休廃止鉱山の一斉点検
46年11月 土呂久鉱山周辺についての環境調査及び社会医学的調査の実施
47年7月 慢性砒素中毒症と思われる者7人が認められた旨の報告
8月 宮崎県による医療救済措置の実施
12月 県知事のあっせんにより、医療救済措置を受けた7人と、住友金属鉱山株式会社との間に補償問題の解決
48年2月 救済法による地域指定
イ 認定基準
環境庁においては、砒素による健康被害検討委員会を設けて、砒素の健康被害に関する疫学的健康調査方法、臨床的診断方法及び救済のための公害病認定条件について検討を行ったが、同委員会の中間報告に基づく認定基準は、次のようなものである。
(認定に必要な要件)
次の?と?の要件が必要である。ただし、?の要件がない場合であっても?の要件があればよい。
? 過去の鉱山稼動時に批鉱焙焼炉及びズリ堆積場の周辺等の砒素濃厚汚染地に居住し、三酸化砒素に対する長期にわたる暴露歴を有したこと。
? 皮膚に砒素中毒に特徴的な色素異常及び角化の多発が認められること。
? 鼻粘膜瘢痕又は鼻中隔穿孔が認められること。
ウ 現状
48年2月の地域指定以降、救済法及び補償法によって認定された患者は、50年3月末現在40人(ほか死亡者1人)であるが、このうち15人(死亡者1人を含む。)については、49年2月と12月に知事のあっせんにより補償問題が解決している。 |
13 | 昭和50年版 | 宮崎県土呂久鉱山周辺の砒素による健康被害問題が発端となり、全国に散在する多数の休廃止鉱山に係る鉱害問題が提起された。
これら鉱山周辺における環境汚染の実態をは握するため、48年度に環境庁では106鉱山について水質等の環境調査を行った。
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14 | 昭和51年版 | 慢性砒素中毒症 |
15 | 昭和52年版 | 慢性砒素中毒症 |
16 | 昭和53年版 | 慢性砒素中毒症 |
17 | 昭和54年版 | 慢性ひ素中毒症 |
18 | 昭和55年版 | 土呂久における慢性ひ素中毒症
? 沿革
宮崎県土呂久地区における慢性ひ素中毒症に関する経緯は、次のとおりである。
46年11月 土呂久鉱山周辺についての環境調査および社会医学的調査の実施
47年7月 慢性ひ素中毒症と思われる者7人が認められた旨の報告
8月 宮崎県による医療救助措置の実施
10月 医療救済措置を受けた7人と住友金属鉱山株式会社との間で県知事の補償あっせん(第1次補償あっせん)成立
48年2月 救済法による地域指定
49年2月 救済法による被認定者5人につき県知事の補償あっせん(第2次補償あっせん)成立
12月 救済法による被認定者10人につき県知事の補償あっせん(第3次補償あっせん)成立
50年5月 補償法による被認定者23人につき県知事の補償あっせん(第4次補償あっせん)成立
51年3月・5月 補償法により48人を認定
10月 被認定者のうち37人につき県知事の補償あっせん(第5次補償あっせん)成立
? 現状
48年2月の地域指定以降救済法及び補償法によって認定された者は、55年3月末現在128人(うち死亡者15人)となっている。
これまでの被認定者累計128人のうち、77人については住友金属鉱山株式会社との間に県知事の補償あっせんが成立しており、その他の被認定者(55年3月末現在51人)については補償法による補償給付の支給が行われている。 |
19 | 昭和56年版 | 慢性ひ素中毒症 |
20 | 昭和57年版 | 慢性砒(ひ)素中毒症 |
21 | 昭和58年版 | 慢性砒(ひ)素中毒症 |
22 | 昭和59年版 | 慢性砒(ひ)素中毒症 |
23 | 昭和60年版 |
土呂久における慢性砒素中毒症
ア 沿革
宮崎県土呂久地区における慢性砒素中毒症に関する経緯は、次のとおりである。
46年11月 土呂久鉱山周辺についての環境調査及び社会医学的調査の実施
47年 7月 慢性砒素中毒症と思われる者7人が認められた旨の報告
8月 宮崎県による医療救済措置の実施
10月 医療救済措置を受けた7人と住友金属鉱山株式会社との間で県知事の補償あっせん(第1次補償あっせん)成立(以後51年10月(第5次あっせん)まで延べ82人につきあっせん成立)
48年 2月 救済法による地域指定
49年 9月 補償法による地域指定(救済法から引継ぎ)
イ 現状
48年2月の地域指定以降救済法及び補償法によって認定された者は、59年12月末現在140人(うち死亡者36人)となっている。 |
24 | 昭和61年版 | 慢性砒素中毒症 |
25 | 昭和62年版 | 慢性砒素中毒症 |
26 | 昭和63年版 | 慢性砒素中毒症 |
27 | 平成元年版 | 慢性砒素中毒症 |
28 | 平成2年版 | 宮崎県土呂久地区における慢性砒素中毒症は、昭利47年7月に宮崎県の調査に基づき慢性砒素中毒症患者と思われる者が認められた旨の報告がなされ、48年2月に救済法による地域指定がなされた。 |
29 | 平成3年版 | 慢性砒素中毒症 |
30 | 平成4年版 | 慢性砒素中毒症 |
31 | 平成5年版 | 慢性砒素中毒症 |
32 | 平成6年版 | 慢性砒素中毒症 |
33 | 平成7年版 | 人間活動と土の関わり |
34 | 平成7年版 |
宮崎県土呂久地区における慢性砒素中毒症は、昭和47年7月に宮崎県の調査に基づき慢性砒素中毒症患者と思われる者が認められた旨の報告がなされ、48年2月に「救済法」による地域指定がなされた。 |
35 | 平成8年版 | 健康被害の救済及び予防 |
36 | 平成9年版 | 健康被害の救済及び予防 |
37 | 平成10年版 | 宮崎県土呂久地区における慢性砒素中毒症は、昭和47年7月に宮崎県の調査に基づき慢性砒素中毒症患者と思われる者が認められた旨の報告がなされ、昭和48年2月に「救済法」による地域指定がなされた。 |
38 | 平成11年版 | 健康被害の救済及び予防 |
39 | 平成12年版 | 健康被害の救済及び予防 |
40 | 平成13年版 | 公害健康被害の救済及び予防 |
41 | 平成14年版 |
宮崎県土呂久地区における慢性砒素中毒症は、昭和47年7月に宮崎県の調査に基づき慢性砒素中毒症患者と思われる者が認められた旨の報告がなされ、昭和48年2月に「救済法」による地域指定がなされました。
島根県笹ヶ谷地区における慢性砒素中毒症は、昭和48年8月に島根県の調査に基づき慢性砒素中毒症患者と思われる者が認められた旨の報告がなされ、昭和49年7月に救済法による地域指定がなされました。
その後、両地区とも昭和49年9月に救済法を引き継いだ公健法により第二種地域に指定されました。
(イ)現状
平成13年12月末現在の被認定者数は、土呂久地区で66人(認定された者の総数163人)、笹ヶ谷地区で5人(認定された者の総数21人)です。
また、「公健法」に係る処分につき公害健康被害補償不服審査会に対し審査請求を行った者は、平成13年12月末現在67件あり、これまで取消し7件、棄却48件の裁決を行ったほか、取下げが12件ありました。 |
42 | 平成15年版 | 健康被害の救済及び予防 |
43 | 平成16年版 | 健康被害の救済及び予防 |
44 | 平成17年版 | 健康被害の救済及び予防 |
45 | 平成18年版 | 健康被害の救済及び予防 |
46 | 平成19年版 | 地域における環境保全の現状 |
47 | 平成20年版 | 健康被害の救済及び予防 |
48 | 平成21年版 | 健康被害の救済及び予防 |
49 | 平成22年版 | 健康被害の救済及び予防 |
50 | 平成23年版 | 宮崎県土呂久地区及び島根県笹ヶ谷地区における 慢性砒素中毒症については、平成23年3月末現在の公健法の被認定者数は、土呂久地区で53人(認定された者の総数186人)、笹ヶ谷地区で3人(認定された者の総数21人)となっています。
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