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クモ

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クモ

   
クモ目分類亜目
Jorougumo-1.jpg
ジョロウグモ
:動物界Animalia
:節足動物門Arthropoda
亜門:鋏角亜門Chelicerata
上綱:クモ上綱Cryptopneustida
:クモ綱(蛛形綱) Arachnida
亜綱:クモ亜綱(書肺類) Pulmonata
:クモ目Araneae
Clerck, 1757
クモ蜘蛛)、クモ類は、節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目に属する動物の総称である。を張り、を捕食することで、一般によく知られている。この類の研究分野はクモ学と言われる。



概説

  クモは糸を出し、上顎に毒腺を持ち、それを用いて小型動物を捕食する、肉食性の陸上節足動物の1群である。糸を使って網を張ることでよく知られるが、実際にはほぼ半数の種が網を張らずに獲物を捕まえる。人間に害をなすほどの毒を持つものはごく少数に限られる。
 日常的に「」と言われる生物群の一つであるが、節足動物門六脚亜門に属する昆虫とは全く別のグループに属する。昆虫との主な区別点は、の数が8本であること、頭部胸部の境界が明確でないこと、触角を欠くことなどがある。

体の構造

クモ類の外部形態
 体は6節の頭胸部(前体)と節が癒合した袋状の腹部(後体)からなり、両者は細い腹柄によってつながる[1]

頭胸部

 前体部は頭部と胸部の合わさった頭胸部となっている。ここには4対の歩脚と1対の触肢、口には鎌状になった鋏角があり、クモ類ではこれを上顎と呼ぶ。
 頭胸部は背甲では完全に一体化しているが、第1歩脚歩脚の基部のあたりでそれより前が頭部、それより後ろが胸部であり、この間には高さや形に差があることが多い。特にその間に裂け目のような溝がある場合、頸溝という。頭部にはが並んでいる。8つの目が2列に並んでいるが、その配列や位置は分類上重要な特徴になっている。網を張らずに生活するクモでは、そのうちのいくつかが大きくなっているものがある。紫外線を見ることができる。
 胸部は多くの場合に頭部より幅広く、背面の中央には小さなくぼみがあることが多く、これを中窪という。また歩脚の隙間に向かって溝が走ることも多く、これを放射溝という。

附属肢

 上顎(鋏角)は鎌状で、先端が鋭く、獲物にこれを突き刺して、を注入する。触肢の基部は鋏角の下面で下唇を形成する。触肢は歩脚状で、普通のクモでは歩脚よりずっと小さく、鋏角の補助のように見えるが、原始的なクモでは見掛けでは歩脚とほとんど差がない。
 歩脚の先端にはがある。造網性のクモでは大きい爪2本と小さい爪1本があるが、徘徊性のクモでは、小さい爪のかわりに吸盤状の毛束がある。歩脚は第一脚が長いものが多いが、それぞれの長さの特徴はそれぞれの群である程度決まっている。
 なお、脚の向きにも特徴がある。よく見かけられるコガネグモ科などでは前二対が前に向き、後ろ二対が後ろ向きになっている。この型を前行性という。それに対してカニグモ科やアシダカグモなどでは前三対が前を向くか、四対とも先端が前向きになっているかのいずれかで、この型を横行性という(といっても横向きに動くわけではない)。

腹部

 腹部にはふつうは外見上の体節がない。外骨格は柔らかく、全体に袋状になっている。腹部の裏面前方には、1対の書肺という呼吸器官があり、その間に生殖腺が開いている。腹部後端には数対の出糸突起(糸疣)がある。その後ろに肛門がある。
 これは普通のクモの場合である。キムラグモ類など下等なクモ類では若干の違いがある。キムラグモ類では腹部に体節が見られ、糸疣は腹部下面中央に位置し、書肺は2対で4つある。触肢は歩脚とほぼ同じで、全体では脚が5対あるように見える。トタテグモ類は、腹部に節がなく、糸疣は腹端にあるが、他はキムラグモ類と同じである。

出糸突起

 出糸突起は、別名を糸疣ともいう。普通のクモ類では腹部後端にあるが、キムラグモ類では腹部の中央にあり、大きい。関節があり、これが付属肢に由来することを示すものである。
 キムラグモなどハラフシグモ類では出糸突起は腹部の第10節と11節の腹面中央にあり、それぞれの節に2対ずつ、外側に大きい外出糸突起、内側に小さい内出糸突起がある。それ以外のクモ類ではこれらが腹部後端に移動し、その一部が退化したものと考えられる。出糸突起の数や形は群によってやや異なる。

 出糸突起の先端近くには、多数の小さな突起があり、それぞれの先端から糸が出る。この突起を出糸管という。これにはクモによって色々な種類があり、それぞれからでる糸にも差があり、クモは用途に応じて使い分けている。
 一部に、通常の糸疣の前に、篩板(しばん)という、楕円形の、糸を出す構造を持つものがある。これを持つクモは、第4脚の末端近くに、毛櫛(もうしつ)という、きっちりと櫛状に並んだ毛を持つ。糸を出すときはこの脚を細かく前後に動かし、篩板から顕微鏡でも見えないほどの細かい糸を引き出し、これがもやもやした綿状に太い糸に絡んだものを作る。



雌雄

 性的二形がはっきりしているものが多く、雌雄の区別は比較的たやすい。模様にはっきりとした差のあるものが多い。雄が雌より小型である種が広く知られており、中でも雌雄による大きさの違いが著しいコガネグモ科のクモが有名であるが、徘徊性のクモ(ユウレイグモハエトリグモ)などには雄が雌よりやや華奢な程度で差が小さい種もよく見られる。

 確実な区別は外性器でおこなう。雌では、腹部の腹面前方、書肺の間の中央に生殖孔があり、開口部はキチン化して、複雑な構造を持つ。雄では、生殖孔は特に目立たないが、触肢の先端にふくらみがあり、複雑な構造になっている。精液をここに蓄え、触肢から雌の生殖孔へ精子を送り込むという、特殊な交接を行うためである。この雌の生殖孔と雄の触肢の構造は、種の区別の際にも重視される。

内部形態

 クモのは基本的に頭胸部にあり、こと小型のクモや幼虫では身体に占める脳の容積は非常に大きい。中枢神経が容積の8割を占めて脚の中にまではみ出しているものや、幼虫の期間は身体の割に巨大な脳で体が膨れ上がっているものもいる。糸で網を張るクモも網を作らないクモもおおむね巨大な脳を持っていて、網を張る・張らないで目だった差はない[2]

消化系

 消化管は大きくは前腸(fore-gut)、中腸(mid-gut)、後腸(hind-gut)からなる。前腸と後腸は外胚葉性で、中腸は内胚葉性である。

前腸部

 頭胸部に収まる部分である。口に続いて咽頭(pharynx)、食道(oesophagus)、吸胃(sacking stomach)からなる。この部分では消化は行われない。
 クモ類はあらかじめ体外消化するため、口からは液体だけが取り込まれる。咽頭や食道は二枚の、吸胃は三枚のキチン板を備え、特殊な筋肉とつながっているそれらを動かして食物を吸い込む働きを持つ。なお、これらのキチン板は脱皮の際には完全に外れる。

中腸部

 これは頭胸部と腹部にまたがる部分である。吸胃から後方に続く部分は、頭胸部の後半部から左右に突出し、それぞれ前に向かって胸部前方に至り、群によってはその先端部で融合する。この部分を前出分腸(thoracenteron)と言い、ここからは付属肢の基部に向かって嚢状に突き出ている。この部分を分腸枝(lateral ceaca)という。この部分では消化が行われていると考えられている。

 腹柄を通り抜けるとそれに続く中腸は大きく膨らんで腹部背面近くを通る。この部分では数対の分枝が出ており、これを腺様中腸(glandular mid-gut)と言い、さらに細かく分枝して腹部の心臓の両側に大きな固まりとなる。ここでは消化と吸収が行われると考えられている。クモが餌を取るとすぐにこの部分に送られ、腹部が膨大する。

後腸部

 中腸末端に左右一対のマルピーギ管がつながっており、さらに膨らんで糞嚢(stercoral pocket)となっている。最後の部分は直腸(rectum)で、そのまま肛門に続く。

呼吸器系

 クモ類の呼吸器としては、気管書肺がある。

気管

 書肺を二対持つ群と、ユウレイグモ科などでは気管(trachea)を欠くが、それ以外のものでは腹部の腹面に気管気門が開き、そこから体内に細長い気管が伸び、分枝して緒器官の間を通る。その先は頭胸部にまで伸びるものもある。気管気門は書肺と糸疣の間にある。

書肺

 書肺(book-lung)、または肺書(lung-book)は、クモ綱独特の呼吸器官であり、肺葉片が偏平で、それが並んでいる様子が書物の頁のようであることから、その名がある。

循環系

 他の節足動物と同様に開放血管系であり、動脈の先端から血液は細胞間(血体腔)へ直接流れ出て血リンパとなり、再び心門から循環系へ取り入れられる。心臓(heart)は腹部背面にあり、腹部と頭胸部へは動脈が走る。

心臓

 心臓は細長く、腹部背面にあって、前の端からは前行動脈(aorta)、両側には側腹動脈(lateral abdominal artery)、後ろへは尾行動脈(caudal artery)が出る。心臓は囲心嚢(pericardium)に包まれており、心臓との間の空間を囲心腔(pericardial cavity)という。側面には心門(cardiac ostia)があり、ここから体腔を流れる血液が取り入れられる。心門の数はハラフシグモ類では五対あり、高等なものでは少なくなる傾向があり、普通のクモの多くは三対である。心臓の周囲には対をなす心靭帯(cardiac ligament)があり、これが心臓の動きに関係していると考えられている。

血管

 前行動脈は腸管の背面にあり、腹柄を通って頭胸部に入り、吸胃の上で左右の小動脈に分かれ、さらに細かく分かれて付属肢などに入り込む。側腹動脈、尾行動脈はそれぞれ枝分かれして腹部の諸器官の間に広がる。
なお、腹部に流れ出た血液のうち、書肺を通ったものはそこから心臓へ向かう血洞を通って囲心腔へ入る。この血洞を肺静脈(pulmonary vein, dorsal lacunae)と言い、クモ類の体内では唯一の静脈である。これは酸素を多く含んだ血液を優先的に心臓へ送り、全身へ送り出す仕組みである。

排出器官

排出器官としては、マルピーギ管と脚基腺がある。

マルピーギ管

 マルピーギ管(Malpighian vessel)は、腹部後半の中腸の背面部に分枝しながら伸び、中腸の後部に口を開く。体腔液中から不純物をくみ出す働きがあるとされるが、詳細は不明である。なお、昆虫に見られる本来のマルピーギ氏管が外胚葉起源であるのに対して、クモ類のそれは内胚葉である中腸より分化したものであるから、生物学的に相似ではあるが相同ではない。

脚基腺

 脚基腺(coxal gland)は、胸部の歩脚の基節の間にあり、腎管の一種と考えられる。原始的な類では、この器官はよく発達しており、排出小嚢となって第一脚、第三脚の後方に口を開き、ここから排出物を出す。しかし多くの普通のクモ類では退化傾向が激しい。

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