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クモの生態

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生態[編集]

基本的に陸上性の動物で、多くの種類が砂漠高山森林草原湿地海岸などあらゆる陸上環境に分布している。これほど多彩な環境に分布があるというのは、現在多くのニッチを昆虫類に取って代わられた鋏角亜門の中でクモとダニだけである。ただし淡水にせよ海水にせよ、水際までは結構種類がいるが、水中生活と言えるものは、ミズグモただ1種だけと言ってよい。その点、ミズダニなど水中生活のものを含むダニ類には負けている。

食性[編集]

大部分が肉食性で、どの種も自分とほぼ同じ大きさの動物まで捕食する。オオヒメグモなど網を張るクモの一部は、自分の数倍もある大きさの獲物を網に捕らえて食べることもある。捕食対象は昆虫類から同じクモ類、軟体動物、小型の脊椎動物まで多岐にわたる。日本国内においても沖縄県石垣島では日本最大のクモであるオオジョロウグモツバメを、同じく沖縄県糸満市ではシジュウカラ[3]捕食していたのが観察されている。また、オオツチグモ類はかつて、鳥を捕食するというのでトリトリグモあるいはトリクイグモ(バードイーター)と呼ばれていた。この話そのものは伝説めいているが、実際にカエルネズミはよく捕食するようである。
オニグモ類の円網・中心部
捕食行動としては、細い糸でや網をつくって捕らえる・徘徊して捕らえるの2つに大別できる。網を張るものを造網性、張らないものを徘徊性という。
原始的な種は、地中にトンネル状の巣を作り、入り口に捕虫のための仕掛けを糸で作る。網はこれを起源として発達したと考えられる。クモの網はさまざまな形があり、簡単なものは数本の糸を引いただけのものから、極めて複雑なものまでさまざまである。約半数のクモが、網を張らずに待ち伏せたり、飛びかかったりして餌を捕らえる。いずれの場合にも、餌に食いつくには直接に噛み付く場合と糸を絡めてから噛み付く場合がある。
「生き血を吸う」という風にもいわれるが、実際には消化液を獲物の体内に注入して、液体にして飲み込む(体外消化)ので、食べ終わると獲物は干からびるのではなく、空っぽになっている。小さいものはかみつぶして粉々にしてしまうこともある。
他にアシブトヒメグモが花粉を食べる例やアリグモアリマキの甘露を食べるなど、非肉食性の習性もいくつか知られている。ハエトリグモ類の仲間であるバギーラ・キプリンギは、アカシアの芽を小動物より多く食べることが知られている。[4][5]

ジェネラリストとスペシャリスト[編集]

かつて動物生態学者のエルトンは『クモの網にゾウはかからない』という言葉を残し、喰う喰われるの関係の大事さを主張したが、これはクモの網は大きささえ合えばどんなものでも捕まえるだろう、つまり獲物の選り好みはしないだろうとの予断がある。実際、多くのクモは特に獲物を選ばないジェネラリストであろうと予想される。だが、明らかに決まった獲物しか選ばないものも知られており、例えば以下のようなものがある。

糸の利用[編集]

クモと言えばを想像するくらい、クモと糸とのつながりは深い。全てのクモは糸を出すことができ、生活の上でそれを役立てている。
造網性でも徘徊性でも、全てのクモは歩くときに必ず「しおり糸」という糸を引いて歩く。敵から逃れるために網から飛び落ちるクモは、必ず糸を引いており、再び糸をたぐって元に戻ることができる。ハエトリグモが獲物に飛びついたとき、間違って落下しても、落ちてしまわず、糸でぶら下がることができる。
代表的なクモの網である円網では、横糸に粘液の着いた糸があって、獲物に粘り着くようになっている。網を歩く時にはこの糸を使わず、粘りのない縦糸を伝って歩くので、自らは網に引っかからない。粘液をつけた糸を全く使わない網もある。
造網性のクモは、網に餌がかかるのを振動で感じ取る。網の隅にクモが位置している場合でも、網の枠糸か、網の中心から引いた1本の糸を脚に触れており、網からの振動を受け取ることができる。餌がかかると、糸を巻き付けて獲物を回転させながら幅広くした糸を巻き付けてゆき、身動きできなくして捕らえる。場合によってはクモが獲物の周りを回りながら糸をかけてゆく。徘徊性のクモでも、餌を糸で巻いて捕らえるものもある。
地中に巣穴を作るものや、テント状の巣を作り、特に網を作らないものでも、巣のまわりの表面にまばらに放射状の糸を張り、虫が触れると飛び出して捕らえるものがある。このような糸を「受信糸」という。これが網の起源ではないかともといわれている。
多くの種では、子グモが糸を出し風にふかせて、タンポポ種子のように空を飛ぶ習性(バルーニング)を持つ。小型の種では、成虫でもそれを行うものがある。この飛行能力により、クモは他の生物よりもいち早く生息地を拡大することができる。一例として、インドネシアクラカタウ火山活動により新たなが誕生したときに、生物の移住について調査したところ、最初にやってきた生物はクモだったと報告されている。
産卵や脱皮のために巣を作るものもあり、その場合も糸を使う。地中生のクモでは巣穴の裏打ちを糸で行い、トタテグモのように扉を作るものは、糸でそれを作る。多くのものは卵塊を糸でくるんで卵のうにする。
糸の組成タンパク質分子連鎖で、体内では液状で存在し、体外へ排出される際に空気と応力によって繊維状の糸となる。これは不可逆反応で、空気上で液状に戻ることはないが、使用した糸を蛋白源として食べ、消化して再び糸などに利用する種もみられる。

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