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Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
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山村が活力を維持していくためには、地域固有の自然や資源を守るとともにこれらを活用して、若者やUJIターン者の定住を可能とするような多様で魅力ある就業の場を確保し、創出することが必要である。

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山村の活性化

(地域の林業・木材産業の振興と新たな事業の創出)

山村が活力を維持していくためには、地域固有の自然や資源を守るとともにこれらを活用して、若者やUJIターン(*81)者の定住を可能とするような多様で魅力ある就業の場を確保し、創出することが必要である。
平成26(2014)年9月には、我が国が直面する人口急減・超高齢化という大きな課題に対して取り組むため、政府に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、同12月には「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定された。この中で林業については、森林資源の循環利用を図りつつ、成長産業化を実現することが必要であるなどとされている。
このため、林野庁では、地域の基幹産業である林業・木材産業を振興するとともに、きのこや山菜、木炭等の特用林産物の生産振興を図っている。今後は、山村固有の未利用資源を木質バイオマス燃料等に活用するなど、新たな事業の創出も期待される。
また、農林水産省では、地域の第1次産業と第2次・第3次産業(加工や販売等)に係る事業の融合等により、地域ビジネスの展開と新たな業態の創出を行う「6次産業化」の取組を進めており、林産物関係で89件(*82)の計画が認定されている(平成27(2015)年2月末時点)。さらに、「農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)(*83)」は、農林漁業・食品産業に関心のある地方金融機関等との共同出資によってサブファンド(支援対象事業活動支援団体)を設立し、地域に根ざした6次産業化の取組を支援している(事例III-8)。
このほか、農林水産省及び経済産業省では、農林漁業者と中小企業者が有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して新商品開発や販路開拓等を行う「農商工等連携」の取組を推進しており、林産物関係では37件の計画(*84)が認定されている(平成27(2015)年2月時点)。
平成27(2015)年3月には、「山村振興法」の有効期限を10年間(平成37(2025)年3月31日まで)延長するとともに、基本理念に関する規定を設けることなどにより山村振興の方向性をより明確化し、山村振興対策の充実を図るための改正が行われた。今後、農林水産省では、同法に基づく振興山村における地域資源を活用した産業振興の取組等に対して支援していくこととしている。

事例III−8 6次産業化を支援するファンドが林業分野に初出資

生産された製品
生産された製品
岡山県英田郡(あいだぐん)西粟倉村(にしあわくらそん)のN社は、平成26(2014)年5月に、林業分野で初めて農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)による出資支援が決定し、サブファンドである「農林水産業投資事業有限責任組合」による出資を受けている。
N社では、地域の森林から間伐材の供給を行うとともに、地域の工務店向けの製材品の開発・供給や、個人向けの木製品の販売等を行っている。サブファンドによる出資を受けて、工務店等の実需者のニーズに合わせた製材品を供給するための木材加工設備の改良・増設を行うほか、新商品の開発や需要の開拓を行うこととしている。


(*81)「UJIターン」とは、大都市圏の居住者が地方に移住する動きの総称。「Uターン」は出身地に戻る形態、「Jターン」は出身地の近くの地方都市に移住する形態、「Iターン」は出身地以外の地方へ移住する形態を指す。
(*82)「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」に基づき、農林漁業者等が作成する「総合化事業計画」。
(*83)「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法」に基づき、平成25(2013)年2月に設立されたもの。
(*84)「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律」に基づき、農林漁業者と中小企業者が作成する「農商工等連携事業計画」。


(里山林等の保全と管理)

山村の過疎化及び高齢化等が進む中で、里山林の保全及び再生を進めるためには、地域住民が森林資源を活用しながら持続的に里山林と関わる仕組みをつくることが必要である。このため林野庁では、平成25(2013)年度から、「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」により、里山林の景観維持、侵入竹の伐採及び除去等の保全管理、広葉樹の薪への利用等、自伐林家を含む地域の住民が協力して行う取組に対して支援している(資料 III -55、事例III-9)。また、森林整備事業により、間伐等の森林施業を支援するとともに、除伐等の一部として行う侵入竹の伐採及び除去に対しても支援している。
森林・山村多面的機能発揮対策交付金の概要

事例III−9 竹林整備と竹資源の有効利用を通じて地域を活性化

伐採した竹を活用した竹炭
伐採した竹を活用した竹炭
竹チップの土壌改良材への利用
竹チップの土壌改良材への利用
放置竹林の増加や里山林への竹の侵入等の問題が生じている地域では、林野庁の「森林・山村多面的機能発揮対策交付金」を活用して、竹林の整備と竹資源の有効利用を図る取組が行われている。
栃木県那須塩原市(なすしおばらし)の「那須野が原生きものネットワーク」では、同交付金を活用し、これまで行ってきた里山林整備等の活動に加えて、放置竹林の整備と搬出した竹のチップ化等を行っている。生産した竹チップは、農業用の土壌改良材として利用し、無施肥・無農薬栽培の実践にも取り組んでいる。今後は、土壌改良材としての活用方法・効果について周知を図りながら販売を進めていくことで、継続的に竹林整備を行いながら収益を得られるビジネスモデルの構築を目指すこととしている。
また、長崎県長崎市の「環境保全教育研究所」では、竹林整備に伴い伐採した竹を活かして、竹炭焼きを行い、消臭剤等の原料としての利用を進めている。竹林整備には、地域の子どもから高齢者まで様々な世代の人が参加し、自然の素材を活かした細工教室も開催するなど、竹資源の利用を通じて、地域の交流の場、体験学習の場が広がっている。

(都市との交流により山村を活性化)

近年、都市住民が休暇等を利用して山村に滞在し、農林漁業や木工体験、森林浴、山村地域の伝統文化の体験等を行う「山村と都市との交流」が各地で進められている。
都市住民のニーズに応えて、都市と山村が交流を図ることは、都市住民にとっては、健康でゆとりある生活の実現や、山村や森林・林業に対する理解の深化に役立っている。また、山村住民にとっては、特用林産物や農産物の販売による収入機会の増大や、宿泊施設や販売施設等への雇用による就業機会の増大につながるのみならず、自らが生活する地域を再認識する機会ともなり得る。
このため、各市町村では、地域住民と都市住民が参画して、森林環境教育、アウトドアスポーツ、地元の特産品を使った商品開発や販売等を通じた体験・交流活動が進められている。
また、農林水産省では「子ども農山漁村交流プロジェクト」によって、小学生を中心とした農山漁村での宿泊による自然体験や農林漁業体験等を推進できるよう、山村側の宿泊体験施設や教育農園等の整備に対して支援している。林野庁でも、都市住民を対象とした森林環境教育の活動等に対して支援している。
平成26(2014)年1月には、農林水産省と観光庁が「農山漁村の活性化と観光立国実現のための連携推進協定(農観連携の推進協定)」を締結し、農林漁業体験等のグリーン・ツーリズムと他の観光の組合せによる新たな観光需要の開拓、森林浴やアウトドアスポーツ等、森林を活用した観光の振興等の取組を推進している。また、平成26(2014)年6月に開催された「観光立国推進閣僚会議(*85)」において「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」が決定され、世界に通用する魅力ある観光地域づくりに向けて、我が国の豊富な森林資源を観光資源として活用するため、森林環境教育や森林レクリエーション活動等を支援することとされている。

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