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[転載]兵庫県におきまして、四十八年の六月にPCBの汚染状況をまとめまして、兵庫県に関係がございます姫路、高砂西、神戸沖の三水域につきまして、魚獲の自主規制に入ったわけでございます。そのために非常に魚価が暴落



第082回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第2号
昭和五十二年十月二十六日


粕谷照美君 
 一番最初に、カネミの問題に入ります。どちらが主かといえば、環境庁よりは厚生省の方が主体的な質問になるというふうに思いますけれども。十月五日の福岡地裁におけるカネミ油症事件の判決は、ほぼ原告の主張を認めた形で出されていると私は考えています。世界で初めてのPCBの経口摂取による人体被害で、発生後八年有余、患者の方々にとっては実に苦しい年月であったと思います。

しかし、これから長い先も、治療方法さえも解明されていない油症と闘わなければなりませんし、また生活を守っていかなければならないわけですが、この判決の中にこう書いてあるわけですね。「本件のような大量かつ重篤な被害を惹起しながら、これまでの公害訴訟におけると同様、加害者である被告らは今日までその実質的救済に立ち上がっていないし、その気配すらない。このことは原告らを含む油症患者の心に大きな痛手として刻まれており、その無念さは看過さるべきでない。」、「看過さるべきでない。」ということは、看過している人たちがいるからこのような判決があったんだというふうに思うわけですけれども、政府としてはこの判決そのものを一体どのように見られているのかお伺いいたします。

○説明員(七野護君) この福岡の判決につきましては、国が被告になっておりませんので、この判決についての厚生省としての感想を申し述べるのは差し控えたいと、かように考えております。

○粕谷照美君 国が被告になっていれば、判決が出ればもう文句も言えないではいはいと言わなきゃならないわけでしょう。これは国は関係ないけれども、行政の中で全然責任を認めてないようないまのあなたの答弁というのは、非常におかしいというふうに思いますよ。現に国民が大変な状況の中に陥ってどうにもならないから、ないお金を出し合って裁判をやって、ずいぶん長いことかかってようやく裁判の判決が出たわけでしょう。物も言わないなんていうような、そんな政府なんて必要ないじゃないですか。

○説明員(七野護君) 言葉が足りずに失礼いたしました。
 国の責任につきましては、現在小倉支部で係属中でございます。これは先ほど申し述べましたように、先ほど出しました判決は国が被告になっておらず、カネミ倉庫、それからカネミ倉庫の社長、それから鐘淵化学が被告になった判決でございます。それに引き続きまして、現在国が被告として民事訴訟が提訴されておりまして、これが先ほど述べましたような小倉裁判、これは小倉裁判と言われておる裁判でございますので、国の責任の問題につきましては司法機関にゆだねられておると、かように私たちは考えております。

 しかし、本事件の特殊性と言いましょうか、重大性にかんがみまして、現在国では事件発生後直ちに油症研究班を設置いたしたわけでございます。現班長は九大の第三内科の教授でございますが、井林博教授のもとに油症治療研究班を設けまして、油症に関する疫学的研究、診断、治療に関する研究、さらに患者の追跡調査等を実施しておりまして、昭和四十三年度から五十一年度まで、総額約三億円の研究費を支出してきております。さらに、生活に困窮しておりますカネミ油症患者の援助をするために世帯更生資金の特例措置を講じておりますし、主要県におきましても、県単独で生活資金等を貸し付けているというのが現在の現状でございます。

○粕谷照美君 国がそのような対策をした、県がそのような対策をしたということは、国や県にやっぱり責任があったからだというふうに理解をしてよろしいですか。

○説明員(七野護君) 先ほども申し上げましたように、本件につきましてはいわゆる食中毒ということで私たちは対処してきたわけでございます。ところが通常起こります食中毒との違いは、PCBによる中毒ということで、非常に特異的な中毒事件ということもございますので、普通の中毒事件では実施してございませんが、本中毒事件につきましては、先ほど申し述べましたような患者に対する疫学的研究であるとか診断、治療に関する研究であるとか、そういうことを現在まで実施してきたというふうに考えております。

○粕谷照美君 あなたのおっしゃっていることは何を言っているのかわかりませんよ。まあいずれ次々と質問をし、最終的にはこれは環境庁にも関連がありますから、御意見をいただきたいと思いますけれども。
 それでは、この八年間にわたる被害者の実態というものをどのようにあなたの方では把握をしていますか。数の問題もあるでしょう。病状の問題もあるでしょう。それから遺伝の問題もあるでしょうし、さらに生活実態もあるというふうに思いますが。

○説明員(七野護君) 患者の実態につきましては、厚生省といたしましては、これまで患者代表と過去七回の話し合いをしてきております。まあ四十九年の二月からでございますが、最後の話し合いは、この判決後の五十二年の去る十月二十日かと思いますが、十月二十日に行っております。
 そこで、まあ患者代表から患者の実態等の事情はいろいろ聞いているわけでございます。現在の患者さんの総数、これは油症研究班で診定し認定されている患者さんでございますが、総数は千六百二十九名という、これは昨年の十二月三十一日現在の集計でございます。千六百二十九名ということになっております。

○粕谷照美君 私が質問をしたのは、数だけ教えてくださいと言ったわけじゃないですよ。病気の状況はどうか、生活の状況はどうかということも含めて言ってくださいと言ったんです。

○説明員(七野護君) 生活の状況につきましては、先ほど申し上げましたように、生活に困窮している患者さんがおみえになることも事実でございます。それにつきましては、先ほど申し上げましたように世帯更生資金の特例措置を講じて対処してきておりますし、また生活保護家庭につきましては、福祉資金という形で対処してきておるわけでございます。現在まで世帯更生資金として貸付状況の総枠は約八千万円に上っているというふうになっております。

○粕谷照美君 それでは、健康状態というのはよくなってきているんでしょうか、どうですか。

○説明員(七野護君) このカネミ油症研究班の研究その他から見ますと、現在はすでに事件発生後約八年の年月がたっているわけでございます。発生当時、いわゆる急性症状を呈した場合は非常に重篤な皮膚症状その他を呈したわけでございますが、現在は大半がいわゆるこの皮膚症状は軽快に向かっていると、さように伺っております。

○粕谷照美君 表から見ると軽快になっているということは言えるかと思いますけれども、私は、あなたはそういう意味では大変実情を知らないんじゃないかなという気持ちがします。本当に患者の方々と会っているんですか、七回も。

○説明員(七野護君) 私が食品衛生課長に着任して以来――七月に着任したわけでございますが、先ほども申し上げましたように、去る十月に患者の代表――これはカネミ油症事件全国連絡会議の代表でございますが、そこにカネミの患者さんも二名患者代表としてお見えになりました。そこで患者さんの口からいろいろの話を伺っております。

○粕谷照美君 ですから、この委員会の中でそのことを明確にあなたから発言をしていただきたかったわけですよね。
 私もその方につい先日お会いしましたけれども、その方々がおっしゃるには、小中学生の歯がもうぼろぼろ折れている。お金のある人は入れ歯をするけれども、お金のない子供はだめだというようなことで、非常に親が心を痛めているわけですね。いまの子供たちが大体歯質が弱いというのは全国的にも言われておりますけれども、しかし、そんなに入れ歯をしなきゃならないように子供たちの歯が悪くなっていくというのは、カネミと全然関係がないというふうには思えないので、一体そのような点についての研究はどのようになっているかわからない。

 それから、おいでになった方は、自分は働いていても職場で倒れると言うんです。倒れるから危なくて、周りの人たちがその人に仕事をさせることができなくて休ませておく。すると、人が働いているのに自分が休んでいるから、非常に心が痛んで――労働者というのはそういうものなんですよね、平気で休んでなんかいられないわけです。だんだんだんだん心が痛んで、そして職場をついに去ってしまった。

こういう報告もされておりましたし、そこに来られた婦人の代表は、お嬢さんが二人おらるわけですが、あのころ子供だった子供がいまちょうど適齢期を迎えた。上の子供は就職をしたんですけれども、やっぱり働くことができないという。体がどうしても仕事についていけなくてついにやめたんだけれども、これじゃ結婚もできないだろう。いま妹は高校生だけれども、高校を卒業したってやっぱり姉と同じような運命をたどるだろうかと思うと、親としてもいても立ってもいたたまれない気持ちだ、眠れない毎日だと、こういうことを言っていらっしゃるわけですから、外から見て何でもなくても、ちょうどあの原爆被爆者と同じような状況というものがやっぱりいまここに出ているというふうに私は判断をいたします。

 そして、栄養剤中毒というのがあるというお話ですから、栄養剤中毒って何だって聞きましたら、もう極度の疲労感からいままでにいろんな栄養剤を飲んでいて、その栄養剤を飲まないと落ちついて仕事ができないんだと、こういうことを言っておりました。これなんかも非常に大変な問題だというふうに思いますし、偏頭痛がもう大変で狂い死にしそうだと、こういうことを言っておられますね。

特に油の中にそういうものが出てきて、こぶが体のあちこちに吹き出してくるんだ。特におしりの部分に吹き出してくると座っていることもできないし、腰をかけていることもできない。それがいつの間にかこぶがすうっと引っ込んでいったなと思って、やれよかったと思うと、またそれが別な場所に出てくるという、こういう状況が出ておりまして、もうとてもじゃないけれども、この先どうなるんだろうかという不安感を持っていらっしゃる。

 そういうのがあなたのおっしゃる快方に向かったということでよろしいのか。その患者の言うことが、それは何もカネミのせいじゃない、ほかの病気のせいだというふうにあなたはおっしゃるのかということもお伺いしたいし、さらに膵臓だの肝臓だの糖尿だのがもううんと出ているわけでしょう。よそと比べてそういうようなものが本当によけいではないんだということが言い切れますか、いかがですか。

○説明員(七野護君) この患者さんの現在の症状につきましては、油症研究班の方で追跡調査その他でいろいろ研究をしていただいておるわけでございますが、当初このカネミ油症の事件が起こったときの患者さんの症状は、いわゆる皮膚症状が主な症状であったというふうに私聞いておりますが、その後年月がたつに従って、いわゆる皮膚症状についてはかなり軽快の徴が見られるということもまた事実であると、考えております。
ただし、カネミ油症の非常な大きな特徴は、PCBが人体に摂取されまして、いわゆる脂肪と非常に親和性があるわけで、まあ、全身の脂肪に沈着をしていると、それがなかなか排せつされないということに大きな問題があると、かように考えております。

 そこで、先ほど言いましたこの油症治療研究班の方でも、現在いわゆるこのPCBを外へ出す抜本的な治療法と申しましょうか、この根治療法の開発ということを主翼に研究を続けておるわけでございます。ただ、このPCBという物質は非常に安定性がある物質であるがために、なかなか外へ出ないということもまた事実であろうと思っております。ただ、最近のこの研究班の追跡その他によりますと、いわゆる血中PCBの濃度も以前に比べましてはかなりの低下が見られるというような報告もございますが、まだ完全に、何と言いましょうか、全治していくというその治療法が開発されているわけではございません。

 そこで、現在考えられます治療法といたしましては、この全身に分布しておる脂肪に親和性のあるPCBを外へ出すために、いわゆるこの脂肪を移動させる方法が考えられるわけであります。その方法として一つ断食療法があるわけです。断食療法――絶食療法を行うことによりまして、もちろん体の中の皮下脂肪が消費され、皮下脂肪が移動するわけでございますが、それに伴いまして全身の脂肪の移動が行われる。言葉をかえますと、代謝排せつが行われるわけで、その際にPCBの排せつを促進しようという理屈でございますが、この断食療法が非常に効果があるというふうに、治療研究班の方でもそういうふうな評価がなされておるというふうに聞いております。

 次に、いま現在研究班の方で、これは治療指針の中にも示されてございますが、いわゆる酵素誘導法という方法がございます。この酵素誘導法と申しますのは、いわゆる薬物その他が人体の中に入った場合に肝臓がそれを処理するわけでございますが、肝臓中にこの薬物を処理するための酵素が発生するわけです。そこで、それをさらにこの酵素を誘発いたしましてこの吸収、排せつを促進しようという内面からのことでございます。

そこで、これにはいま現在肝臓の酵素を誘発する薬物としてはフェノバルビタールがございます。フェノバルビタールは、何といいましょうか、普通に使われるいわゆる睡眠剤でございますが、このフェノバルビタールがいま申しました酵素の誘発に非常にいいということでございますが、ただし問題がございまして、PCBそのものがこの酵素を誘発する作用があるわけで、そもそもこの酵素がすでに誘発されているところにさらに強力に酵素の誘発をいたしますと、また慎重にこの治療をしなければいけないという問題が一つあるようで、これも非常に医学的な管理のもとにやらないとなかなかうまくいかないという点もあるようでございます。

さらにもう一つは、このPCBの吸着剤が開発されれば一番よろしいわけでございますが、現在のところ非常に有効なPCBの吸着剤の発見ということについてはまだ報告がないというふうに理解しております。

 まあいま申し上げましたように、いかにして脂肪に沈着をしておりますPCBを体外に排出するかということで、治療研究班の方でも鋭意治療研究を進めているわけでございますが、治療法についての現在の知見はいま私が申し上げましたとおりと理解しております。

○粕谷照美君 油症研究班の方々が非常に努力をされていろいろな研究をされているということについては私は心から感謝をしたいと思いますが、それであるだけにまた全然暗たんたる状況だということがいま判明してわかったわけですね、御説明をいただいて。そうすると、そういう状況であるだけに、私はなおさらこの被害者の救済というものは大事にしなければならないというふうに考えるときに、この判決の持つ意味というのは非常に大きいと思うわけです。

その実質的救済に立ち上がっていない、このことは原告らを含む油症患者の心に大きな痛手として刻まれておるという、これは何とも言いようのない重い言葉として受け取らざるを得ないわけですけれども、この判決が出て、カネミは控訴をあきらめているわけですね。カネミの社長というか、カネミ倉庫がとっているこの被害者に対する措置というものはどのようなことをやっておられるわけでしょうか。

○説明員(七野護君) いま御指摘のようにカネミ倉庫はこの判決を、判決のとおり、控訴をしないということでこの判決が決定したというふうにわれわれは理解しております。

○粕谷照美君 聞いているだけというふうなお言葉ですからね、何かこう客観的にだけしか見ておられないような気持ちがいたします。
 それでは、鐘化は控訴をするわけですね。控訴をするということは、一体被害者にとってどのようなことになるんでしょうか。

○説明員(七野護君) 鐘化は、いま御指摘のようにさらに上級審の判断を仰ぎたいというわけで控訴をいたしたわけでございますが、この鐘化が控訴したことにつきましては、この控訴するか否かは、これは原告並びに被告の持つ裁判上の基本的な権利であるというふうにわれわれ考えておりまして、厚生省はこれに対し意見を述べるのは適当でないというふうに考えております。
 ただし、控訴はいたしましたが、福岡高等裁判所は鐘化の執行停止の申し入れに対しまして、原告一人につきまして三百万円を超える部分の停止を認める決定を下しております。それによりまして原告側は被告に対しまして総額一億三千二百万円の強制執行をすでにしております。さらにカネミ倉庫からは、総額千五百万円の賠償金の一時支払いを受けたというふうに聞いております。

○粕谷照美君 私どもは、この判決は、化学物質の製造、販売、使用業に携わる者の責任を明確にしたと、そして利潤追求を第一とした技術開発の中で、命と健康が何よりもとうといことを示したものとして評価をしているわけです。その意味では厚生省の判断とは全然違う解釈をしているわけですが、たとえばカネミにしても、食品は絶対安全でなければならない、PCBの毒性は金属腐食性の情報はある程度されていた、しかし、調査研究、装置の保守管理不十分であると、こう言って過失責任を厳しく問うておられるわけですから、カネミが控訴しないというのもこれは当然のことだというふうに判断をいたします。

 さて、そこで鐘化の責任に今度は入りますけれども、鐘化の責任をこういうふうに言っているわけですね。「被告鐘化はその販売にあたり食品製造業者に対し、カネクロールの毒性についてその有する情報を正確に提供し、食品の安全確保に必要な注意を十分警告したかが問題とされねばならないが、さきに述べたとおりその情報提供は甚だ不十分であった」、こういうふうに言っておりますし、さらにまた、「被告カネミの過失は、やはり被告鐘化がカネクロールの毒性・金属腐食性につき不当に安心感をそそるような表現をして積極的に推奨販売」していたと、これが判決の理由になるわけですけれども、したがって鐘化は損害賠償の責を免れないというふうに私どもは考えているわけです。政府は鐘化自身の考え方だと、こういうふうに言っておりますけれども、私たちはやっぱり鐘化が早くこの損害賠償をするという態度に立たない限り、いますぐでも分配できる現金だとかあるいは有価証券以外の差し押さえは無意味になるわけです。これから被害者の方々は年金支給や治療費負担などの闘争に進むということは当然だというふうに思いますけれども、これはずいぶん長い闘いになるわけですね。本当に大変なことだというふうに思います。

 さて、その鐘化の問題なんですけれども、あなたの方では基本的に鐘化は控訴する権利があるというふうに言われますけれども、では一体その鐘化の責任はなかったかという点について質問をします。
 鐘化が、水産庁がPCB汚染魚の実態を公表した昭和四十八年以降、兵庫県の漁連に対して十九億六千万円の補償金のうち十七億円をこっそりと支払っていたということが新聞に載っております。これは一体なぜ漁連に十七億円ものお金を補償したんでしょうか。

○政府委員(二瓶博君) 兵庫県におきまして、四十八年の六月にPCBの汚染状況をまとめまして、兵庫県に関係がございます姫路、高砂西、神戸沖の三水域につきまして、獲の自主規制に入ったわけでございます。そのために非常に魚価が暴落をいたしまして混乱が生じたわけでございます。そのために兵庫県におきましては兵庫県水産公害救済対策協議会というものをつくりまして、これは会長が県知事でございますけれども、製造業者であります鐘淵化学とそれから使用会社、これは七十数社ございますけれども、そういうもので構成をいたしております協議会を設けまして、漁獲規制あるいは魚価暴落に伴います補償なり見舞い金の措置が講ぜられたわけでございます。その際に、ただいま先生からお話ございましたように、総額十九億六千万円、これが漁業補償なりあるいは見舞い金というようなことで関係企業から支払われたわけでございます。このうちで鐘化の方が支出をいたしましたものは約十七億円ということでございます。

 ただ、この支払い関係につきましては、鐘化の支払いのこの十七億円のうち九億六千万円、これは立てかえ支払いということで、一応協議会の会長の方からの要請もございまして、いわゆる立てかえ払いということで払ったと、したがって、いずれ精算の時点でその辺の負担関係がはっきりするのだと、こういうことでございます。この九億六千万以外の部分につきましてはどういう支払いの名目になっておるかということは、これは県にも聞いておりますが、不明でございます。
 以上でございます。

○粕谷照美君 鐘化は二回にわたってお金を払ったわけでしょう。最初は十億円のうちの七億五千万円ですよね。そして、二回目が九億六千万円全額鐘化が出した。とすると、最初の分についてはこれは立てかえ払いじゃなくて、鐘化が責任を認めて出した、あとの分についてはよくわからないけれども立てかえておきますと、こういうふうに理解してよろしいわけですか。

○政府委員(二瓶博君) 四十八年の六月、十億円支払いがあったわけでございますが、その際に、七億五千万円が鐘化、それから一億五千万円を他の七十数社が払いました。なお残る一億円、これは鐘化と三菱製紙が前に入金をしておったものから出したということで合計十億、これが四十八年六月の分。それから、四十八年の七月から四十九年の三月、これにつきまして九億六千万円鐘化が支払ったわけでございますが、これが先ほど私が申し上げました協議会の会長からの要請で鐘化が立てかえて払ったと、こういうことになっておるものでございます。

○粕谷照美君 ですから、私はその事実経過を聞くと同時に、なぜ鐘化がお金を払ったんですか、そのことを環境庁としてはどのように見ているのですかという質問をしているわけです。

○政府委員(二瓶博君) 事実関係はただいま申し上げたとおりでございます。
 ただ、鐘化がこのような金額を支払ったということが、PCBを製造いたしました同社の法律的責任ということとどういうような関係があるかということにつきましては、これは本来民事的な問題でもございますし、さらに現在カネミ油症問題に関連いたしまして訴訟が行われているということでもございますので、現段階のところ、環境庁として特にこの面の法律的な責任というような関係につきまして意見を申し上げる立場には現在はないと、かように考えております。

○粕谷照美君 裁判にかかっているから意見申し上げるべきでないなんということ自体おかしいじゃないですか、それ。このお金は公表するなということで――何か新聞見ますとね、公表するなというのがちゃんと判を押して出ていますからね。こっそりやられたんだというふうに思いますけれども。そのこっそりやったということ自体にもやっぱり意味があるわけですよね。しかし、いまの環境庁の説明はどうしても私納得がいかないわけです。海を汚しました、そしてそのことによって魚の中にもPCBが見られて、魚を買う人たちがいなくなって、そして魚価がうんと下がって漁民が大変困りますと、だから漁連に対して補償金を出しますということは、それは自分のところでつくったPCBが原因だからお金を出しましょうといってこう補償しているわけでしょう。自分の製造責任を認めたわけでしょう。そういうふうに理解しませんか。

○政府委員(二瓶博君) 先ほども申し上げましたように、これ、漁獲規制をやっておりますのとそれから魚価の暴落ということですが、この魚価の暴落は、県の方のお話を聞きますと、風評によりましての暴落ということでございます。したがいまして、まあそういう意味で若干漁業補償的な面も、漁獲規制に伴う補償の面もございますし、風評によります魚価暴落ということに対する見舞い金的な要素もあると、こういうようなことで、そこは厳密に詰めたわけではなしに、そういう問題がございますので、協議会の場でいろいろ相談をした上で一応支払いをしたと、こういうことを聞いておるわけでございます。したがいまして、PCBの製造責任という角度での問題につきましては、この段階でどうということは申しかねます。
 なお、極秘でどうというお話がございますけれども、この支払いの関係につきましては漁協関係者等も十分知っておることであると、かように県からは聞いています。

○粕谷照美君 「公表等行わないこと。」というのが極秘でないなんということ自体もおかしいわけですね。ちゃんと書いてあるわけですから、判押して。公表するなということは極秘だということでしょう。違うんですか。
 それと、いまあなたがおっしゃった、風評によって魚の値段が下がったと、こう言うけれども、そうすると、どうでしょうね、今後鐘化は、デマでもいいけれども、そういううわさがわっとこう出ていくと、鐘化はしょっちゅうお金を出すというふうに理解をしていいわけですね。

○政府委員(二瓶博君) まあずっと出すかどうかは別にいたしまして、そういうことで……(「顔を見てしゃべりなさいよ」「声が低くて聞こえないんですよ」と呼ぶ者あり)まあ、あのPCB汚染の問題が四十八年に出まして、それでいろいろ漁獲の自主規制なりがございましたし、またそのことに関連いたしまして魚価の低落という事態が現実に出たわけでございます。そこで、この問題をどう処理するかということで鐘淵化学以下使用会社七十数社で協議会というものをつくり、県の知事さんがその会長ということになりまして、ここでこれの対策を考えた。その際に、ただいま申し上げました自主規制に対する補償なりあるいは魚価暴落に対する見舞い金等々の考え方で、先ほど来お話のございます総額十九億六千万円の金が払われたと、こういうことでございます。そういうことでございまして、現在のところでは自主規制はそのまま全魚種について継続はされております。したがいまして、魚価の暴落というような問題は、いまのところないわけでございます。

○粕谷照美君 幾らあなたが丁寧懇切に説明をされても、私にはよく納得ができないんですよね。話は聞きました。聞いて、そのおっしゃっていることはわかるんですけれども、本質がやっぱりわからないわけですよ。鐘淵がPCBつくって、そしてそれを使った企業がいろいろな排水でどんどんどんどん海へ流していったと、そういうことが原因で魚価が下がったから補償したということになるわけですから、やっぱり製造責任を鐘化が認めてお金を出しましたということ以外には考えられないんですけれども、おたくでそういう理解をしているということは非常に不思議なことだというふうに思っています。

 では、先ほどあなたが触れました次の点について質問しますと、カネミ油症の訴訟の中で、なるほど確かに三菱製紙がことしの二月に大阪簡易裁判所に調停を申し立てておりますね。その理由はやっぱり四十七年から四十八年のPCBによる環境汚染で漁業補償やヘドロの除去費など約十億円を支払ったけれども、それは鐘化の責任なんだから、鐘化が、おれのところで払った十億円を払ってもらいたい、つまり返してもらいたいと、こういうことだろうというふうに思いますが、これ間違いないでしょうか。

○政府委員(二瓶博君) 三菱製紙と鐘化との民事調停の関連でございますが、この民事調停の関係は、いわゆる高砂西港、これがPCBによって汚染をされたと、その汚染をされましたヘドロ、汚泥、これを除去するということに相なりまして、除去はすでに完了をいたしておるわけでございます。ただ、この除去をいたしまして事業が完了したんですが、この事業費の負担の問題、これにつきまして企業間におきまして、いわゆる三菱製紙と鐘化との面でこの負担割合をめぐる争いが前からあったわけでございます。この点につきましては、この話し合いがつくようにということで、県等も通じまして大分両社の間の打開を図ったわけですけれども、両社がどうしてもお互いに主張を譲りませんで、それで、ただいま先生からお話がございましたように、ことしの二月十五日に大阪簡易裁判所に三菱製紙の方が調停申し込みをいたしまして、現在調停が係続中でございます。
 その際の三菱製紙の言い分は、いわゆるメーカー責任論といいますかそういう角度に立ちまして、PCBというそういう化学物質、この有害な化学物質をつくった鐘化に責任ありという物の言い方で、鐘淵化学の不法行為に対する損害賠償ということで約十億円、これを要求をいたしておるわけでございます。で、この面につきましてはただいま申し上げましたように、現在も大阪簡易裁判所で両社の調停に努力をいたしておるところでございますので、環境庁といたしましてはこの辺の推移を見守っていきたいということでございます。

○粕谷照美君 そうしますと、この三菱製紙の問題は、十二月の小倉判決と非常に深い関係があるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

○政府委員(二瓶博君) 小倉判決がいずれ出るという話は耳にはいたしておりますが、これは簡易裁判所における調停でもございますし、この案件と必ずしも直につながるといいますか、そういう話ではないと、かように思います。

○粕谷照美君 それでは、たとえば三菱はメーカー責任論でやっていると、こういうふうに言われますけれども、大体公害防止事業費事業者負担法で言えば、直接出した人がお金を払うということになっておりますね。汚染者負担でしょう。直接その汚染物を出したところがやるということになっているわけでしょう。ところが、そういうふうになるということであれば、たとえば三菱製紙だとか三菱重工だとかあるいは武田薬品だとか、その他いろいろな企業が出せばいいんであって、直接出したわけでもない鐘化がやっぱり費用負担委員会において一〇・二%から一五・四%ぐらいですか、それを了解をして出したということは、製造責任を認めたというふうに私は理解しますけれども、あなたの方では理解できませんか。

○政府委員(二瓶博君) この高砂西港の汚染ヘドロの除去工事につきましては、これはPPPの原則ということに基づきまして企業者が、ただいま先生のお話のあった法律の適用を受けることなく、企業者同士で金を出し合ってヘドロを除去しようということで、県の要請もあって、そういうことで除去をいたしたわけでございます。
 で、その際の企業の負担をどうするかということにつきましては、県の方でその負担割合をどうしたらいいか、いろんな公正な学者の方々とかいう人々の意見等も聞いた上で、大体大ざっぱな負担割合というようなものを協議会といいますか、そういう話し合いの段階で一応この辺が妥当であろうという線は出したわけでございます。たとえば、その話では、三菱製紙の負担割合は八〇・一から八五・九ということ、それから鐘化の方は大体一〇・二から一五・四、この辺が鐘化の負担ではないかということでございます。そのほかもちろん三菱重工、武田薬品もございます。しかし、大どころは三菱製紙のただいま申しました八〇・一から八五・九、鐘化が一〇・二から一五・四と、この辺だろうと、こういうことでございますが、三菱製紙はこの八〇・一から八五・九という負担割合につきまして非常に不満を持ったわけでございます。そこで、話し合いをいろいろ県が入ってやったんですが、つかなくて調停に持ち込んでおる、こういうことでございまして、鐘化の方が軽過ぎると、こういうような主張を大分メーカー責任論的な物の言い方で三菱は主張をしておったということを私は聞いております。

○粕谷照美君 大変客観点な物の見方をしておられますけれども、何と言うんですか、その争いの中で三菱製紙がいろいろ調べているわけですね。そうしたら、その調べた中で、PCBの生産量が一万トン食い違っているではないか、通産省報告と鐘化の帳簿の間に。こういうことが発見されて問題になっている。しかも、ドラムかんにしたならば四万本だというわけですからこれは大変なことになるわけですね。特にPCBをつくらないという点から考えても、その事後処理なんかはどんなふうになっているのだろうか、心配になるわけですね。通産省の方でこれは調べますというふうなことが新聞記事には載っておりますけれども、通産省が調べるということと同時に、やっぱり環境庁としてもそのことをきちっと確かめて、事後処理がどのようになっているのかというふうなことも確認をしておく必要があるというふうに思いますがいかがでしょうか。

○政府委員(二瓶博君) 鐘化におきましてのPCBの生産量の面につきまして、鐘化が発表している面と現実の面で相当の食い違いがあるというようなお話でございますが、この面につきましては生産所管の通産省の方におきまして、この食い違いがどうかということを現在詰めておるところでございます。
 それから、その後どうなっているのかという問題でございますが、PCBの原液、これが埋め立てもできませんし投棄もできない、こういうことに現在しておりますので、鐘化におきましては工場の敷地内にこれを保管をいたしております。それから、この鐘化以外にもう一つは三菱モンサントが生産をしておりますが、こちらも同様な状況で保管をしておるということでございます。

 なお、この保管いたしておりますものにつきまして、現在通産省の方におきましては、このままほっておけば地震の場合困るとかあるいは保管しておる容器が腐食をして漏れ出しても困るというようなこともございまして、いずれ洋上焼却と、海の上で焼却するという手だてはどうであろうかというようなことを具体的に現在検討をしておるということを聞き及んでおります。

○粕谷照美君 こういう廃棄物の考え方というのは通産省が考えるんですか。環境庁はこういうことを考えないものなんですか。
 それとあわせましてね、そういう努力をしていらっしゃるということはわかりましたけれども、要はドラムかんで四万本も食い違いが出ているということになりますと、それが一体どこへ捨てられているのか。廃棄物処理の問題があるわけでしょう。その辺の指導というものを環境庁としてはどのようにされるかということをさっき聞いたわけなんです。

○政府委員(二瓶博君) この生産量の食い違いが相当量あるという面につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、現在所管省の通産省の方におきまして、この食い違いが現実に物量としてあるのか、あるいは概念の見方によって違うのか、その辺ですね。たとえばカネクロールという商品だけで見るのか、もっと広い意味でのPCBというのはまだよそにあるのか、その辺の、要するに概念の基底をどう見るかによっての差異が相当あるのか、そういう面につきましてもあわせていま詰めておるところでございます。その辺の結果を見て、ただいま先生も御心配のように、そればどこに捨てられておるか。これは環境を破壊するという話になりますと確かに大きな問題でございますので、私の方も通産の方にその面の調査結果を早く知らしてほしいということで要請をしている段階でございます。

○粕谷照美君 もう何年も何年もそうやっているわけですからね。地震が来る、地震が来るといって大騒ぎしているときに、本当にいつまでもそういうふうにしておくわけにいきませんから、早くその辺の点については対策をとるように、環境庁としても通産省にきちんとお話をしていただきたいというふうに思うわけです。

 それとあわせて、大変しつこいようですけれども、さっきからお話を聞きますと、出した金は立てかえ金だと。九億六千万円は立てかえでいずれ後で精算するんだということを言っていらっしゃるようですけれども、カネミ油症の患者の方たがおいでになって、やっぱりその点非常に心配しているわけですよね。本当に立てかえなんだろうかどうなんだろうか、おれのところではだまされているんじゃないだろうか。それで会計上の処理は一体どうなっているんだと、こう聞いているわけですね、鐘化の九億六千万円は。年度年度に決算するでしょう。そのときに会計上の処理は、九億六千万円は立てかえとして決算されているのか、欠損金として入れられているのかということを非常に心配をしているわけですが、その辺は御調査されましたでしょうか。――質問通告をしていたんですが、環境庁の担当というわけでもなさそうですけれども、わかればそれでよろしいですが。

○政府委員(二瓶博君) 鐘化がこの立てかえ払いの面を帳簿上といいますか、決算とか、その面でどういう扱いにしておるか、この面につきましては、環境庁としては実は調査をいたしておりません。
○粕谷照美君 この立てかえ払い――後で私も調査をしてみますけれども、立てかえ払いだということであればきちんと報告がされているわけですね。欠損金だということであればこれは返金を求めていないわけですから。そういうことでしょう。欠損金として支払われているとすれば、ほかの企業の分をおれのところで立てかえたんですよということではないわけですからね。やっぱり私たちはこれをみずから責任を認めたものだというふうに考えておりますので、一つの論拠としていきたいというふうに思っております。
 さて、私どもは、この鐘化というのは、そういう判決が出ているわけですから、責任を認めて控訴をやめて被害者の救済に即刻立ち上がるべきだというふうに考えているわけです。鐘化にしてみれば、予想もしなかったと、こう言って控訴をしておりますけれども、予想していなかったんじゃなくて、もともとそういうふうに予想していたわけですね。だから、あらかじめ控訴並びに強制執行停止申し立ての意向を表明しているということからもそのことは言えるのではないかというふうに思いますが、いたずらにこの被害者賠償義務の履行を引き延ばすと、そのことは被害者を見殺しにするんだというふうに考えます。だから、そういう行為というものはやっぱり企業としても考えてもらいたいという意味であなたの方では鐘化と話し合う気持ちはありませんですか。環境庁としてはどうですか。
○政府委員(二瓶博君) このカネミの油症事件、これに伴います問題、これにつきましては、先ほど来厚生省の担当課長さんが答弁を申し上げておりますように、厚生省がこの問題を担当をいたしておるわけでございます。したがいまして、この件についての面で環境庁がどうこうという感じは持っておりません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、高砂西港の汚泥のしゅんせつとかいうような問題、これはまさに環境庁の所管といいますか守備分野で指導をいたしたことは事実でございますので、こちらの面につきましては、かねてからも極力その辺の費用負担分担関係もはっきりするようにということで、いろいろ指導をやってきた経緯がございます。

○粕谷照美君 いずれ小倉判決が出たときには、私は、国だとかあるいは北九州市、自治体そのものの責任についてもきちんとした結論が出されるというふうに思いますけれども、その予想というのは私どもでもつかないけれども、しかし、これを大幅に下回るということは考えられないわけですね。国の責任だって私は当然あるというふうに思います。それはなぜかと言えば、カネミがつくっていました飼料を食べた鶏二百万羽のうちのしかも七十万羽が死んだと、そのときに農林省から調査に行っているわけですけれども、えさを食べて鶏が死んだということは、当然やがては人類の生命に影響するんだというふうなことに思いも至らなかったという国の責任というものは、私はやっぱり大きいというふうに思いますので、その判決については、一切国なんかも控訴しないできちんと守っていただきたいというふうに思うわけです。

 さて、そういうようないろんな問題点を起こしましたPCBなどを初めとしてたくさんな化学物質があるわけですけれども、その化学物質の点検を環境庁がやるというふうに報告がなされているわけですけれども、これは一体いまどのような日程で行われ、どのような最終的な詰めをしていきたいというふうな考え方に立ってやられるのか、伺いたいと思います。

○政府委員(信澤清君) 現在、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律というものがあることは先生御存じのとおりでございます。これは通産省それから厚生省、環境庁それぞれ分担いたしまして、この種の化学物質についての新しいものについてのいろいろな判定をやるというのがこの法律の主なる中身でございますが、同時に、環境庁といたしましては、従来製造されました化学物質につきましても、その挙動と申しますか、環境の中における挙動状況というものを調べることにいたしておりまして、先般いわゆるケミカルアセスメントと言っておりますが、その結果を公表いたした次第でございます。したがいまして、この法律に基づく措置は今後も続けてまいりまするし、いま申し上げたようなすでに環境中にございますいろいろな化学物質の挙動、こういったものについても絶えず監視を続けていきたいと、このように考えているわけでございます。
○粕谷照美君 法律があるというのもわかるのですよ。法律があるけれどもその法律ではとてももう、何と言うのですか、間に合わないという考え方に立って、その見直しも考えながらやるということになるんですか、どうでしょう。
○政府委員(信澤清君) 基本は法律に即してやるということになると思いますが、いま先生お話しのようにあの法律は新しい事態を想定いたしておりますので、やはり問題は過去に使われたこの種の物質が環境上どうなっているかと、こういうことに当面は重点があろうかと思います。で、この点についての調査がきわめて乏しいということでございますので、先ほど申し上げたような調査をいたしたわけでございます。
 なお、この点につきましては、わが国のみならずたとえばOECD加盟各国では私どもがやっておりますと同じような方法を使いまして、いま申し上げたケミカルアセスメントをやっておると、こういう状況でございます。
○粕谷照美君 大体の環境庁の姿勢というものがわかりましたけれども、カネミの問題についてはぜひ精力的な取り組みを厚生省としてもやっていただきたいという要望をいたしまして次に移ります。
 昭和五十一年度の公害の状況に関する年次報告及び公害等調整委員会の年次報告書を見せていただきました。なかなか精力的にがんばっているなあというふうに思いますけれども、そのうちで幾つか気になったことがあります。たとえば、福岡市における水質汚濁による健康被害仲裁申請という部分なんですけれども、これ簡単に説明していただけますか。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生から、公害等調整委員会年次報告書に載っております福岡県の案件でございますが、これにつきましてはどうもいろんな経緯があるようでございます。私が一応承知をいたしておる点を申し上げますと、まず発端を申し上げますと、四十六年の五月に、国鉄の竹下客車区に近接いたします松村さんのおたくの井戸水の調査を保健所の方で実施をいたしましたところ、飲用不適というふうになった。松村氏はこの井戸水を昭和四十五年十一月十六日から四十六年の四月四日まで飲用をしておりまして、このため四十六年の二月ごろから健康を害しまして、吐き気、胸やけ、下痢、脱毛などの状症を呈した後に、四十六年の五月の二十七日に、慢性肝炎、慢性胃腸炎の診断を受けたわけでございます。そして四十七年の九月に、この松村氏は、国鉄に対しまして治療費等二百三十八万九千円の支払いを求めて福岡県の公害審査会、これに申請を出したということでございます。
 で、その後の経緯を申し上げますと、この福岡県の公害審査会、これは三年間にわたりまして審査をいたしました結果、申請を棄却をいたしたわけでございます。そこで申請人は、昭和五十年の十二月に公害等調整委員会に今度は仲裁申請をいたしたわけでございます。
 で、その申請の中では、国鉄におきまして使用していた車両の洗浄、清掃、消毒剤、これが井戸水を汚染をいたしまして、その結果結腸がんになったということで、四千二百万円の支払いを求めたわけでございます。これに対しまして、五十一年の四月に仲裁委員会は、当時国鉄で使用していた薬剤等では結腸がんにはならないということで、棄却をしたということでございます。
 で、その後申請人は五十一年の五月に福岡地方裁判所に対して仲裁判断取り消しの訴えを起こしまして、同年十二月に棄却をされた。で、さらに福岡高裁に控訴をやりましたがやはり棄却になったということで.五十二年八月に最高裁に上告といいますか、いたしておるということで、現在最高裁で争っておるという状況であるということを聞いております。
 で、ただいま先生からお話しございましたのは、この公害等調整委員会に五十年の十二月に仲裁申請があったものですから、それに対して公害等調整委員会が審査をしてどうしたというくだりのことが年次報告書に掲載になっておると、こういうふうに理解をいたしております。


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転載元: 有害物質は土壌・底質に蓄積する。高砂西港のカネカ盛立地を学ぶ


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