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[転載]転載:内部監査基準(1)

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内部監査基準

平成16(2004)年改訂

まえがき

 この内部監査基準は、内部監査が、組織体においてどのような性格を持つ機能であるのか、そして、その担い手である内部監査人は、いかなる資質と独立性とを有し、かつ、組織体内の各部門等に対してどのようなあり方をとるのか、また、内部監査部門は、自らの業務の質をどのように高めていくのか、さらに、組織体に対する他の監査とどのような関係にあるのかを明らかにし、内部監査人が監査の実施にあたって遵守すべき事項、および実施することが望ましい事項を示したものである。

 この基準の目的は、次のとおりである。
・内部監査の実務において範となるべき基本原則を明らかにすること
・組織体の目標達成のために内部監査を実施し、これを推進するためのフレームワークを提供すること
・内部監査の実施とその成果を評価する規準を確立すること
・組織体の運営プロセスや諸業務の改善の促進に役立つこと
・内部監査の実施内容の開示に関する要件の基礎を提供すること

 しかしながら、各組織体における内部監査は、設置の目的、適用される法令、業種とその競争状況、規模、その他組織体の環境や組織体特有の条件により、その実施の方法を異にしている。
 したがって、この基準を適用するにあたっては、個々の組織体に特有の条件を理解してこれを勘案し、この基準を前提にしながら、個々の組織体に真に適合する内部監査の実施方法をとっていくことが必要である。

 各組織体においては、それぞれに特有の内部監査の実施方法がとられるにしても、内部監査人がその責任を果たすにあたっては、この基準が尊重されなければならない。 この基準の説明ないしは適用にあたっての参考として、別に『内部監査基準実践要綱』および『内部監査実務全書』が作成されている。

〔1〕内部監査の意義

内部監査の本質

 内部監査とは、組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、合法性と合理性の観点から公正かつ独立の立場で、経営諸活動の遂行状況を検討・評価し、これに基づいて意見を述べ、助言・勧告を行う監査業務、および特定の経営諸活動の支援を行う診断業務である。
 これらの業務では、リスク・マネジメント、コントロールおよび組織体のガバナンス・プロセスの有効性について検討・評価し、この結果としての意見を述べ、その改善のための助言・勧告を行い、または支援を行うことが重視される。

内部監査の必要性

 組織体がその経営目標を効果的に達成するためには、経営管理体制を確立し、事業活動の効率的推進を図るとともに、組織体に所属する人々の規律保持と士気の高揚を促し、あわせて社会的な信頼性を確保していくことが必要である。内部監査は、これらの状況を検討・評価し、必要に応じて、組織体の発展にとって最も有効な改善策を助言・勧告するとともに、その実現を支援する機能として、その重要性を認識することができる。
 また一方、組織体はその大規模化や活動範囲の分散化等の程度が大きくなるにしたがい、権限委譲に基づく分権管理の度合いが高くなる。この分権管理が組織体の目標達成に向けて効果的に行われるようにするためには、内部監査によるその検討・評価が一層必要となってくる。
 個々の組織体の内部監査機能は、それに対する期待やその内容の整備・充実の程度によって必ずしも一様とはいえない。この内部監査機能が効果的に遂行されることによって、例えば、次のような要請に応えることができる。

(1) 経営目標が組織体の末端にまで浸透し、目標に沿った施策が効果的に実行されているかを検討・評価し、その改善を図ることによって目標の効果的達成を促進すること

(2) 識別されたビジネス・リスクに対応した効果的な内部統制システムの充実を促進すること

(3) 内部統制システムの整備・運用状況を検討・評価し、その改善を図ることによって内部統制の目標(情報の信頼性、法令準拠性の確保、効率性の向上)をより効果的に達成するとともに、法定監査の実施に資するものとすること

(4) 組織体の全体的な業務の実施状況や、部門間の連携状況を検討・評価し、その改善を図ることによって、組織体全体としての円滑な業務運営を図り、経営活動のより一層の合理化を促進すること

(5) 事業活動の地域的分散化、特にグローバル化に対応して、現地での経営が、地域の法制や経営環境に正しく適応しているかを検討・評価し、その改善を図ることによって事業活動の効果的遂行を促進すること

(6) 情報システムの有効性および効率性に関し、組織体の求める水準を達成しているかを検討・評価し、その改善を図ることによって情報システムの効果的運用を促進すること

(7) 地球環境の保全に向けて、その対応状況や管理状況を検討・評価し、その改善を図ることによって効果的な環境管理・審査システムの構築ないし確立を促進すること

〔2〕内部監査の独立性と組織上の位置

内部監査の独立性と客観性

 内部監査が効果的にその目的を達成するためには、検討・評価の結果としての助言・勧告が、公正不偏かつ客観的なものでなければならない。また内部監査活動そのものについても、他からの制約を受けることなく自由に、かつ、公正不偏な態度で客観的に遂行し得る環境になければならない。このため内部監査機能は、その対象となる諸活動についていかなる是正権限や責任も負うことなく、組織的に独立し、また、精神的にも客観的である必要がある。
 内部監査機能を独立した部門として組織化することは、内部監査人が内部監査の遂行にあたって不可欠な公正不偏な判断を堅持し、自律的な内部監査活動を行うための前提要件である。
 独立性または客観性が損なわれていると認められる場合には、内部監査部門長は、その詳細を、喪失の程度に応じて、最高経営者その他適切な関係者に報告しなければならない。内部監査人は、以前に責任を負った業務について、特別のやむを得ない事情がある場合を除き、監査業務を行ってはならない。
 また、内部監査部門長が責任を負っている他の業務については、内部監査部門以外の者によって調査されることが必要である。
 内部監査人が、以前に責任を負っていた業務について診断業務を実施することはできるが、この場合であっても、客観性が保持されないと認められるときは、事前に依頼部門に対してその旨を明らかにしなければならない。

内部監査部門の組織上の位置

 内部監査は、全般的な経営目標の効果的達成に役立つことを目的として行われるものであるから、内部監査部門は、組織上、原則として、最高経営者に直属し、同時に、取締役会または監査役会もしくは監査委員会への報告経路を確保する。
 組織体の事情により最高経営者以外に所属する場合には、内部監査の独立性が十分に保持され、監査の結果としての指摘事項・助言・勧告に対し、適切な措置を講じ得る経営者層に属することが肝要である。

内部監査人の責任と権限

 内部監査を効果的に実施していくためには、その目的や活動範囲等とともに、内部監査人の責任および権限についての基本的事項、その他本基準で求められている事項が、最高経営者および取締役会、またはそれらのいずれかによって承認された組織体の基本規程として明らかにされなければならない。
=〔3〕内部監査人の能力および正当な注意 =
 内部監査は、その責任を果たすために、熟達した専門的能力と専門職としての正当な注意をもって遂行されなければならない。

専門的能力

 内部監査人が、個々の職責を果たすに十分な知識、技能および能力を有していなければならないのみでなく、内部監査部門全体として、その職責を果たすために十分な知識、技能および能力を有していなければならない。これを欠く場合には、内部監査部門長は適切な措置を講じなければならない。
 内部監査部門は、情報システムについての監査の職責を果たすに十分な知識、技能および能力を有していなければならない。

専門職としての正当な注意

 内部監査人は、内部監査の実施にあたって、内部監査人としての正当な注意を払わなければならない。正当な注意とは、内部監査の実施過程で専門職として当然払うべき注意であり、特に留意しなければならないものに、例えば、次の諸事項がある。

(1) 監査証拠の収集と評価に際し必要とされる監査手続の適用

(2) リスク・マネジメントおよびコントロールの妥当性と有効性

(3) ガバナンス・プロセスの有効性

(4) 重大な誤謬、不当事項および法令違反の兆候

(5) 監査能力の限界についての認識とその補完対策(他の専門家の助力の利用など)

(6) 監査意見の形成および監査報告書の作成にあたっての適切な処理

(7) 費用対効果

 なお、正当な注意は、全く過失のないことを意味するものではない。また、専門職としての正当な注意を払って内部監査が実施された場合においても、重大なリスクのすべてが識別されることを意味するものではない。
 また、内部監査人は、職務上知り得た事実を慎重に取り扱い、正当な理由なく他に漏洩してはならない。

専門的知識・技能の継続的な維持・向上

 内部監査人は、内部監査の遂行に必要な知識・技能を継続的に研鑽し、その資質の一層の向上を図ることにより、内部監査の質的維持・向上、ひいては内部監査に対する信頼性の確保に努めることが必要である。
つづく
http://www.iiajapan.com/guide/kijun-j.htm

転載元: 災害復興・放射能土壌汚染を学び、行動しましょう


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