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[転載]各種食品中の放射性核種の種類と濃度

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各種食品中の放射性核種の種類と濃度
 
<概要>
 食品中には、種々の天然および人工放射性核種が含まれている。例えば、食品1kg(湿重量)あたりに含まれている40K(天然放射性核種)は数十~数百ベクレルであり、90Srおよび137Cs(人工放射性核種)は、数ミリベクレル~数ベクレルである。ちなみに、昭和63年度の精米中の90Srおよび137Cs濃度の全国平均は、それぞれ0.01および0.036Bq/kgである。
<更新年月> 2003年03月   
 
<本文>
1.食品中の天然放射性核種
 地球上には多くの天然放射性核種があり、食品中にもそれらは当然含まれている。ここでは、食品中に最も多く含まれている40Kについて述べる。
 カリウム(K)という元素は、我々の回りに多量に存在する元素の一つであるが、その0.0117%は放射性の40Kである。この比は、地球上のすべての物質で同じである。したがって、食品中に含まれるカリウムの量がわかれば、40Kの量もわかることになる。ちなみに、カリウム1グラム中の40Kは、約30ベクレルである。表1-1表1-2および表1-3に食品1キログラム当たりのカリウム(グラム)および40K(ベクレル)の含量を示す。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
精製されたアルコール飲料や豆腐(絹こし)、植物油など若干の食品を除いて、たいていの食品には40Kが1キログラム当たり数十~数百ベクレル含まれていることがわかる。
 

2.食品中の人工放射性核種
 幾つかの研究機関により、食品中の人工放射性核種(主として、フォールアウト90Srおよび137Cs)濃度が測定されている。表2は、最近の日常食、牛乳、野菜(ダイコン、ホウレンソウ)、海産生物などの90Srおよび137Csの分析結果である。
 
 
 
 
 
日常食とは、われわれの日々の食事のことであり、食品摂取に基づく放射性核種の量を知るためには、最も適した試料といえる。これらは、昭和60、61、62および63年度に31~40都道府県の各衛生研究所などで採取された試料を日本分析センターが分析したものであり、全国規模での平均濃度である。
 
 昭和61年度の各種試料中の90Srおよび137Cs濃度を昭和60年度のそれと比較すると、90Srは同程度であるが137Csは多くの試料において高い値を示している。これは、昭和61年4月末に起きたソ連のチェルノブイリ原子発電所の事故によるものである。昭和62年度では、ほとんどの環境試料が昭和60年度と同じレベルに戻っているが、一部の試料(日常食、ドライミルクおよび茶)では137Csの濃度がやや高く、事故の影響がまだ残っているためと思われる。しかし、昭和63年度では、これらの試料についても事故前のレベルに戻っていることがわかる。
 このような調査は、全国規模またはかなり大きな集団の被ばく線量を評価するうえで重要である。
 

 施設ができる前そしてできてからも、施設周辺の土壌・降水・海水等とともに、そこで栽培されている農作物や沿岸の海産生物等の放射能調査すなわちモニタリング調査が必要である。これらは、現在、各都道府県の衛生研究所や公害研究所などが中心となって行われている。また、環境中における人工放射性核種の動向を知るために、種々の環境試料の濃度測定が行われてきた。それらのデータは、科学技術庁(現文部科学省)の環境放射能調査研究成果論文抄録集に発表されている。その一例として、第31回環境放射能調査研究成果論文抄録集の中に収められている幾つかの魚介類および海藻中の137Csと239+240Puの濃度を表3に示す。
 
 
 
 
137Csは、1キログラム当たり(湿重量)40~200ミリベクレル、239+240Puはそれよりも1~2桁程度低く、数~30ミリベクレルである。
 

 環境中に存在する14Cの主な起源は、自然生成、大気圏核実験および核燃料サイクル関連施設などである。14Cは半減期(5730年)が長いために、集団線量預託への寄与が無視できないと考えられている。14Cが集団に及ぼす線量影響を起源ごとに評価するためには、施設の影響のない自然環境と施設周辺環境における14Cレベルの長期間の時間推移と変動および地域分布などに関するデータが不可欠である。独立行政法人放射線医学総合研究所が、自然生成および核実験起源の14Cの環境レベルを把握する目的で、1960年代初頭から主に日本産の植物精油と発酵アルコール(ワイン)を測定試料として14C放射能濃度(比放射能、dpm/gC)を測定している。
 ブドウの生産年が2001年のワインの測定結果を表4に示す。
 
 
 
 
 
日本各地の14C濃度は、14.5±0.1dpm/gC~15.2±0.1dpm/gCの範囲であった。日本の14C濃度は工業地帯を除いてほぼ均一であると考えられる。これまでのデータから1940年代の試料から日本での自然生成レベルは約13.7dpm/gCであった。大気圏核実験の開始に伴い、その影響が1950年代以降の試料に認められ、14C濃度は急激に増大し始め、1963年には最大値25dpm/gCに達した。
 その後1980年代まで、濃度は比較的急速に低下した。この間、特に1970年前後の日本の濃度は、北半球大気対流圏の予測濃度より最大十数%の低下を示した。日本の急速な工業化に伴う化石燃料の大量消費の結果、大気中に14Cを含まない炭酸ガス濃度が急激に増加したため、希釈され濃度が低下したと推定される。1980~2000年の間の14Cの減少傾向は、炭素循環モデルに基づく対流圏の14C予測濃度(NCRP)と良い一致を示している。
 


転載元: 放射能を楽しく学びおいしい食物ときれいな環境確保(無断転載歓迎)


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