韓国 高まる反原発 地元で議会決議や住民運動
【ソウル青山修二】福島第1原発の事故を受け、韓国でも初期に稼働した二つの原発をめぐり、反対運動が起きている。全21基の原発を運営する政府系企業「韓国水力原子力」は20日、電気系統の故障が起きた釜山の原発を点検すると発表したが、原発への不安の高まりから、反対運動は簡単には収まりそうにない。
「福島原発のような爆発事故が起きれば、(人口約340万人のうち)半径30キロ以内の100万人を超える釜山市民が放射能の被害にさらされる。政府は古里(コリ)原発1号機を廃炉にせよ」
1978年に韓国で最初に稼働した古里原発(全4基)1号機がある釜山市の南区議会は18日、全会一致で決議を採択。釜山と隣接市にまたがって建設予定の新古里原発(1号機稼働)の4基について、安全性を高めるため、計画の再検討も求めた。
古里1号機は当初予定の30年間の運転期間終了後、「安全性が確保された」として稼働延長されたが、今年4月12日に電気系統の故障があり一時停止した。3号機でも19日、定期点検していた作業員2人が感電し負傷。福島原発事故後の古里のトラブルにより、釜山の区議や住民に不安が広がっている。
もう1カ所反対運動が起きているのが、国内で2番目に古い83年運転開始の南東部の慶州(キョンジュ)市にある月城(ウォルソン)原発(全4基)1号機。来年11月に運転延長が計画されているが、地元住民が延長に反対する団体を結成した。19日には、原発政策を担当する韓国知識経済省などを訪れ、約1800人分の反対署名を手渡した。
この団体代表の李鎮坤(イジンゴン)さんは「(福島原発事故が発生し)公共事業を優先すべきだと考えた住民の選択が間違いだったと分かった」と後悔する。25日には、地元で2千人規模の反対集会を開く予定だ。