そもそも、広域処理ってなんですか?
被災地の復旧・復興の障害となる大量のがれきを迅速に処理するために、全国の自治体にある既存の施設で処理していただくことです。
今回、地震と津波の被害により、被災地の沿岸市町村では、膨大な量のがれきが発生しました。被災地では、がれきを一時的な置き場である「仮置き場」に移動していますが、仮置き場をさらに確保することは地形的にむずかしく、がれきが山積みされ、火災の危険性の高まりや夏場を迎え、悪臭、ハエの発生も予測されるところです。
被災地では現在、既存の施設に加えて、仮設の焼却炉を設置するなどして処理に取り組んでいますが、処理能力は依然として不足している自治体がほとんどです。また、最終処分場についても容量が不足しています。いまから新たに処理施設や最終処分場を建設するとしても、土地の選定、周辺環境への影響調査、設計、建設など、数年単位の年月がかかってしまいます。政府は、震災から3年後の26年3月までにがれき処理を終えるという目標を立てています(がれきの処理指針<マスタープラン 平成23年5月16日>)。がれき処理が一日でも早く終わるよう、岩手県・宮城県がそれぞれ策定した災害廃棄物処理の実行計画等に基づき、県内での再利用、処理をできる限り行った上で、なお県内での処理が困難と整理されたものを対象とし、広域処理をお願いしています。
被災県内だけで災害廃棄物の処理はできないのですか?
既存の施設に加えて、仮設の焼却炉を設置するなどして処理に取り組んでいますが、処理能力は依然として不足している自治体がほとんどです。
がれき処理が一日でも早く終わるよう、岩手県・宮城県がそれぞれ策定した災害廃棄物処理の実行計画等に基づき、多くの仮設焼却炉による処理を含め、県内での再利用、処理をできる限り行った上で、なお県内での処理が困難と整理されたものを対象とし、国から自治体に対して広域処理をお願いしています。
災害廃棄物の発生量が同程度の阪神淡路大震災では、被災地域内ですべの災害廃棄物を処理できたのではないですか?
阪神淡路大震災でも、広域処理は行われました。
阪神淡路大震災では、港湾エリアに広い土地があったことと、大阪湾フェニックス計画にもとづく大きな処分場があったために被災地域内で効率的に処理することができましたが、それでも災害廃棄物のうち可燃物の約14%が広域処理されました。また、新潟県中越沖地震でも、発生した数10トンの災害廃棄物を神奈川県川崎市で処理しています。
どうしてそんなに急がなければならないの?
復興事業のさまたげになるばかりか、火災、悪臭、ハエの大発生の原因となるため、一日でも早く処理することが必要です。
生活圏などに散乱していたがれきのほとんどは、現在、一時的な置き場である「仮置き場」に運びこまれていますが、状況は自治体によってさまざまです。仮置き場をさらに確保することが地形的にむずかしく、がれきが山積みされ、火災の危険性が高まっている自治体もあれば、町有地のほとんどが山林であるために限られた民有の平地に仮置き場が設置されている自治体もあります。
こうした自治体では、大量のがれきの存在自体が復興事業のさまたげになっていたり、ひいては経済活性化のための企業誘致が滞る要因にもなっています。地元でのがれき処理が雇用を生むという考え方もありますが、処理による雇用は短期間のものであり、本格的な復興事業の中で長期的な雇用を生みだしていく方がのぞましいと考えています。
また、夏に向け気温が上がるにつれて、自然発火による火災の危険性、腐敗による悪臭、ハエの発生などの問題が深刻化します。さらに「積み上がったがれきを見るたびに、あの時のつらい気持ちがよみがえってくる」といった住民の方々の感情は、察するに余りあるものがあります。
一日でも早く、仮置場におかれたがれきを撤去・処理するためにも、全国の自治体のみなさまに広域処理へのご協力をお願いしています。