マイホームの土壌汚染問題に直面した岡山市「小鳥が丘団地」住民が今、民事裁判を闘っています。第1次訴訟(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が立ち上げたホームページで、第1次訴訟(3世帯)住民の体験してきた事を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
「救済協議会」の活動。
l 2006年(H18)11月1日、岡山県警本部へ宅建取引業法違反で両備バス㈱を告訴。時効のため不受理。
両備グループを刑事告訴!
両備グループを宅建業法の土壌汚染重要事項説明違反で告訴
平成18年11月1日11時に小鳥が丘団地住民2名で岡山県警生活環境課に宅地建物取引業法違反の告訴状を提出しました。
出向くと11時前からテレビ局や新聞記者が数社待ち構えていました。
゛記者会見はどこですか?゛の記者からの質問に、
あわてて県庁内会見室や県庁記者クラブ会見室を交渉しましたが、了解が得られず、県から建物外なら良いとの返事をもらったので、記者には゛県庁中庭にします。゛と答えました。
記者の大まかな質問が終わると11時5分前だったので、県警本部の建物に入ろうと歩きかけると記者の人に、゛11時と聞いているので皆にその様に連絡しているので11時丁度まで待ってください。゛と言われました。
11時丁度になったので、゛行きますよ。゛と言うと、カメラマンが、゛向こうの方からゆっくり歩いて入ってください。゛と言いながら、その様子を撮影していました。
県警本部受付に用件を伝えると、再び表に出て分庁舎の生活環境課に案内してくれましたが、記者やカメラマンは県警本部玄関前に足止めをされた様でした。
県警本部の分庁舎4Fの生活環境課に入ると、次長と他に1名職員が応対してくれました。
事情説明の後、2名分の告訴状と疎明資料を提出すると、丁寧に内容を見ていただきました。
短い質問をしながら読み終えると、゛内容は良く分かりました。゛と言いながら、
゛弁護士に依頼されていれば予め分かったと思いますが、刑事上の時効が成立しています。゛
といわれました。
私達は、売買契約の時に土壌汚染があった工場跡地の宅地であった説明を受けていないし、
両備グループが土壌汚染地であると認識をしていたのは裁判調書でも明白なので、故意に事実を告げなかった場合は時効の特例があるのでは?
との質問に、
゛特例は有りません。゛ さらに付け加えて、
゛事情はよく分かりますが、法律上、刑事事件としての時効が成立している以上、受理できません。゛
゛我々は法律上でしか、行動できません。゛
との回答でした。
そこで、我々小鳥が丘団地の場合の時効は何年ですか?と質問しました。
゛犯罪事実に適用する罰条の法定刑によって1年、3年となりますが、この場合には3年です。゛との回答でした。
岡山県警生活環境課の説明では小鳥が丘団地土壌汚染の重要事項説明違反の時効は3年との事でしたが、土壌汚染は見た目には分からないし、長期間経過した後に何かの原因で発覚するのが普通なので、建物のように購入者が1年や3年で地下の汚染を発見するのは難しいと思います。
法律の不備を感じます。
犯罪の種類によっては時効が完成していない場合もあると思われますので、その時は相談に乗ってくださいとお願いして退出しました。
時計を見ると1時間以上も経過して昼を過ぎていましたので、
゛記者も昼食で解散しているかもしれないな゛
と思いながら県庁中庭に行ってみると、まだ皆さん待っていました。
私達を見つけると、走り寄ってきて周りを取り囲まれ、質問責めに遭いました。
記者会見で、告訴状提出の内容を説明した後、追加の質疑応答は次のようなものです。
(記者)
現在、両備グループと話し合い継続中なのでは?
(住民)
両備グループは法的責任がないと認めない限り、話し合いにも、応じないと主張しています。しかし認めても解決実施の確約は有りません。
つまり両備グループは話し合いだけして、何もしないで良い事にすらなりかねず、とうてい容認できません。
(記者)
両備グループは当時の法律に基づいて小鳥が丘団地を開発・販売し、土壌汚染の認識はなかったといっていますが?
(住民)
当時、両備グループが旭油化工業跡地を取得する時、有害物質の除去を条件とし、違反した時の損害賠償金を明記して買収した、裁判記録が残っていますので、土壌汚染を認識していたのは明白です。
(記者)
今後どうするのですか?重要事項説明違反以外の理由でも告訴出来るのでは?
(住民)
時効が成立してない何か別の違反を知っていれば教えてもらいたいぐらいです。
別の告訴も模索していきますが、刑事事件の時効は短いですから、見付けられない場合には、最終的に民事訴訟に成らざるを得ません。
朝から忙しい1日でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。
しかし、いくら時効になったとしても、両備グループの不正は不正であり、不正の事実が消える事は有りません。
これからも不正の事実を訴え続けていかなければなりません。
そして、行政はこの問題に対して消極的ですが、社会問題としてこれから頻発するであろう土壌汚染問題に、行政としてどう取り組むのかを問いつづけていこうと思っています。
結
追記
今回の告訴の後で感じた事を書きます。
私たちは、民事裁判の前に、まず刑事告訴を行いました。
金持ちであれば、自前で地質調査及び分析を行い、弁護士に依頼して、すぐ民事訴訟を起こせば良いのですが、一般の庶民では資金の工面が直ちには出来ません。
まして地質汚染であれば、一般のサラリーマンにとって唯一の担保となる土地建物が無価値になり、銀行融資も受けられません。
小鳥が丘団地地質汚染問題の様な、目に見えない地中の汚染は、発覚するまで長期間かかる方が普通であり、刑事告訴の時効があまりにも短いと思いました。
そして、いくら時効になったとしても、両備グループの不正は不正であり、不正の事実が消える事は有りませんが、それよりも重大なのは、
両備グループが、非は非と認めて対応しない事であり、小鳥が丘団地地質汚染問題を含めて、このままにすると、会社のこの様な対応の仕方が変わらず、改革が出来ない事により、第2第3の地質汚染問題を引き起こしかねないと思います。
よって、これからも不正の事実を訴え続けていかなければなりません。
以上
追記2
今回の告訴の後で感じた事を、もう一つ書きます。
それは、行政の対応です。
前に、小鳥が丘団地地質汚染問題に対して行政が消極的だと書きましたが、当地域の環境担当行政である岡山市は、住民が自宅庭で土壌を移動中にガス中毒で倒れたという健康被害にあったにもかかわらず、実態解明の土壌調査すら行なおうとしません。
岡山市は、土壌汚染対策法に照らして行政が地質調査を行なう事は出来ない(土地の所有者が行なうべきもの)と説明しています。
しかし、そもそも「小鳥が丘団地」ができたのが、土壌汚染対策法が公布される以前であり、土壌汚染対策法が適用される案件では無いと、専門家から聞きました。
行政が、地質汚染の事は何でも土壌汚染対策法を持ち出すのは、行政が余り関わらなくて良い法律を利用しているのではないかと疑いたくなります。
岡山市は、一番てっとり早い土壌汚染対策法を持ち出しているとしか思われません。
余談ですが、地質汚染を防止する目的で創られた土壌汚染対策法が逆に合法的な“こまかし”に利用されたり(土壌は層を形成しているもので土対法の調査基準では全ての層を調査するものでは無い為、汚染された層をはずせば、その土地は汚染されてない事になる)、
また、全ての地質調査指定会社が、技術レベルが高い訳では無いので、ボーリング調査で地層を勘案しない機械的深度の試料採取により、かえって汚染を拡大させてしまう等の問題点も指摘されています。(NHKテレビクローズアップ現代でも紹介)
土壌汚染対策法は、まだまだ問題点の多い法律だと考えさせられます。
以上
(参照)ホームページ
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[住民たちのブログ]
両備グループを刑事告訴!その1~その6
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後6年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の裁判は、3年以上経過し判決が2011年5月31日に予定されています。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!