九州北部豪雨:発生から3カ月 700棟被害の熊本市・龍田地区、河川改修計画不明でリフォーム未着手 /熊本
毎日新聞 2012年10月13日 地方版
◇住民「早く知りたい」
九州北部豪雨被害から12日で3カ月。白川の氾濫により約700棟が全半壊、床上・床下浸水した熊本市北区龍田地区を歩くと、未改修の住宅が目立つ。復旧に時間がかかっているだけでなく、県の河川改修計画が不明で手がつけられないという事情もある。住民が以前の暮らしに戻れるのはまだ先になりそうだ。【松田栄二郎】
被害が集中した龍田陳内4の住宅街。被害直後に道路を厚く覆っていた土砂は片付けられているが、川沿いには濁流で1階がえぐられたままの住宅が並ぶ。家屋が撤去されて空き地になった所も。周囲に人の気配はない。今も妻(65)、母(90)と自宅に残る電気工事業、奥田耕二さん(64)は「近所で他に残っているのは7世帯ほど。夜は怖く、以前より戸締まりに気をつけている」と話す。
県は同地区の緊急的な河川改修を5カ年で行う方針で、必要な場合は住宅地を買収する。このため川沿いの住民の中には「家を改修しても用地買収の対象になれば意味がない」と改修や転居などに躊躇(ちゅうちょ)する人もいるという。県は今月下旬に開催予定の住民説明会で改修計画を提示するが、奥田さんは「住民は一刻も早く知りたがっている」。その一方で「買収対象になればどれだけの補償が得られるのか。また対象外ならば、水害の不安はずっと残る」と苦しい胸中を明かす。
北区役所によると、区内で被災により転居したり親戚宅などに身を寄せている世帯は116世帯(9月末現在)。区役所は保健や福祉など住民サービスの担当課の課長補佐ら12人で生活相談支援チームを編成し、直接訪問や電話で被災者のニーズの把握や支援制度の周知を続けている。