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除去土壌の保管に係るガイドライン

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除去土壌の保管に係るガイドライン
目 次
1.基本的な考え方
 (1)概要
 (2)施設設計
 (3)安全管理

2.保管のために必要な安全対策と要件
 (1)施設要件
 (2)管理要件
 
3.施設/管理要件を踏まえた保管方法の具体例
 現場保管-地上保管
 仮置場-①: 地上保管
 仮置場-③:地下保管
 文末脚注
 
 
1.基本的な考え方
(1)概要
 本ガイドラインは、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴
う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境汚染への対処に関する
特別措置法」第四十一条第一項において定められた、除去土壌の保管の基準に関する
環境省令(注)を、事例等を用いて具体的に説明するものです。
 福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の除染作業によって除去
された土壌(以下「除去土壌」)は、最終処分するまでの間、適切に保管しておく必要
があります。
保管の形態としては、
① 除染した現場等で保管する形態(以下「現場保管」)
② 市町村又はコミュニティ単位で設置した仮置場で保管する形態
③ 中間貯蔵施設で保管する形態(大量の除去土壌等が発生すると見込まれる福島
県にのみ設置)
の三形態が考えられます。
 本ガイドラインでは、①の現場保管及び②の仮置場における保管を対象に、除去土
壌の量や放射能濃度に応じ、安全に保管を行うために必要な施設要件や管理要件を整
理します。この上で、これら要件に適合すると考えられる具体的な施設の仕様と、保
管期間終了後まで含めた安全管理の内容や方法について例示します。除去土壌以外の
汚染された廃棄物を一緒に保管する際は、除染廃棄物の保管ガイドラインも参照下さ
い。
 放射性物質による人の健康や生活環境への影響を防ぐためには、以下の二つの安全
対策が求められます。

○ 除去土壌の放射能の濃度や量に応じて安全が確保できる保管施設(以下「施設」)
を作ること(施設設計)。
○ 除去土壌の搬入中や搬入後に適切な安全管理を行うこと。また、何らかの不具
合があった場合は対策を行うこと(安全管理)。
以下では、除去土壌を安全に保管するための二つの対策である施設設計と安全管理
の考え方を示します。
 
(2)施設設計
 安全が確保できる施設を作るためには、設計した個別の施設について安全評価1を行
う方法と、代表的と考えられる仮想施設に対する安全評価を行い、施設の要件をあら
かじめ定めた上で、個別の施設はそれらの要件を満たすことを求める方法の二通りが
あります。多数の仮置場を迅速に設計・設置することが求められる現状を踏まえると、
基本的には後者の方法が合理的と考えられますが、前者の方法をとることもできます。
 
(3)安全管理
 除去土壌の搬入開始から、保管期間が終了して除去土壌が撤去されるまでの間、管
理要件に沿った安全管理を行うことによって、放射線や放射性物質が人の健康や生活
環境に影響を及ぼさないことを監視します。そして、何らかの問題が確認された場合
は施設の補修を行うなどの措置をとり、速やかに安全を確保します。
 また、現場保管や仮置場において一時的に保管した後は、撤去した施設の跡地に汚
染が残っていないことを確認することも重要な安全管理の一つです。
 以下では、安全に保管を行うための施設に求められる仕様(以下「施設要件」)や安
全管理に求められる内容(以下「管理要件」)を明確にします。
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 2.保管のために必要な安全対策と要件
 除去土壌を保管するときは、その放射能濃度、量または保管の方法に応じて適切な安
全対策をとり、人の受ける線量を低減します。
 関連規制の考え方*2 も踏まえ、ここでは除去土壌を保管する場合に共通的に適用すべき
と考えられる安全対策に基づいた施設要件と管理要件を整理しました*3。(図-4-1、図-
4-2参照)なお、作業者の安全確保に必要な措置については、厚生労働省の「除染等業
務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン(平成23 年12 月末公表予
定)」を参照下さい。
 
 
(1)施設要件
 年間の線量が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの除染実施区域から発生す
る除去土壌に含まれる放射性物質のほとんどはCs-134 やCs-137(以下「放射性セシウ
ム」)と考えられますので、施設を設計する際には、特に以下に掲げる放射性セシウム
の特性を踏まえる必要があります。
・ガンマ線を発生するため、濃度に応じて適切な放射線遮へいと居住地域からの離
隔距離の確保が必要です。
・一般的には、土壌への吸着性が高いため、表土付近に滞留し、数年程度では地下
水による移動はほとんど考えられません。
・放射性セシウムが吸着した除去土壌そのものは、風雨などによって移動する可能
性があります。
① 遮へいと離隔
 除去土壌からはガンマ線が発生するため*4、施設を人の住居などから離隔すること
や、土壌で覆うこと(以下「覆土」)等によってこれらの放射線による公衆の追加被
ばく線量を抑えるための措置が必要です。
 除去土壌の搬入終了後に、施設の敷地境界の外での放射線量が周辺環境と概ね同
程度となり、除去土壌の搬入中においても除去土壌からの放射線による公衆の追加
線量が年間1 ミリシーベルト以下となるように施設を設計します。
 具体的には、必要な離隔距離を踏まえて施設の周囲に敷地境界を設定し、除去土
壌の搬入中や搬入後に、必要に応じて、逐次覆土や盛土、土嚢、土を詰めたフレキ
シブルコンテナ等の遮へい材を設置することにより、遮へいを行います。特に比較
的規模の大きい施設の場合は、施設からの放射線をできるだけ抑えるために、除去
土壌の搬入中においても施設の側面や上面に速やかに遮へい材を設置していくこと
が必要です。
 遮へい材として土嚢等を用いる際は、除去土壌が入っている袋等と区
別がつくようにしておきます。なお、放射能濃度の異なる除去土壌を同じ施設に保
管する場合は、放射能濃度の高い除去土壌を施設の中央や底部に置いて、それらを
囲む、または覆うように放射能濃度の低い除去土壌を配置することによって、放射
線量を低減することができます。
 
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