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中国に対抗、ベトナムが海洋監視機関設置へ「領有権守る」

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中国に対抗、ベトナムが海洋監視機関設置へ「領有権守る」

2012.12.5 中国
 【シンガポール=青木伸行】ベトナム政府は5日までに、南シナ海における中国の領有権侵害と操業に対する監視、取り締まりを強化するため、新たな機関を設置し監視船を増強する方針を決めた。中国海南省が先に、外国船舶への立ち入り検査など、厳格な取り締まりを実施する条例を可決したことへの対抗措置。中国船の拿捕(だほ)をはじめ強制執行措置をとるとしており、事態はエスカレートの一途をたどっている。
 
 新たな機関は農業・地方開発省の下に設置される。新機関は監視区域を南沙、西沙、中沙の各諸島周辺海域など4つに分ける。この各監視区域に監視船をそれぞれ張りつけ、ベトナムによる天然資源の探査や漁業操業などを妨害する中国船、違法操業をする中国漁船に対する厳重な取り締まりを実施する。
 
 実施は年明けの来月25日からで、中国が海南省の条例を施行する来月1日を追う格好だ。
 
 当初は監視船4隻を投入し、2020年までに59隻に増強する計画だ。政府筋は「わが国の排他的経済水域(EEZ)で違法に活動する外国船舶、漁船を海軍と連動しながら拿捕し、乗組員を拘束する。東海(南シナ海)の領有権を守るための措置だ」と説明する。
 海南省の条例に対し、やはり南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンは現時点で、対抗措置を打ち出していない。そうした中で、海軍力で中国に遠く及ばないベトナムが強気ともいえる対抗措置をいち早く打ち出したのは、11月30日にベトナム中部の沖合約100キロのEEZ内で、中国船がベトナム国営石油会社の探査船のケーブルを切断した事件が引き金となった。
 
 また、背景として、対外的にはベトナム海軍が米、インド、ロシア海軍などとの協力関係を強化しており、軍事分野では中国に対する全方位的な「後ろ盾」が形成されつつあること。
 国内的には、グエン・タン・ズン首相の汚職問題が国民の怒りを買っており、中国に弱腰の姿勢をとれば、怒りが政権へ向けられると懸念していることが、指摘されている。
 

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 【シンガポール=青木伸行】
 中国海南省の条例は、武力行使と強制力を伴う「平時臨検」ともいえる内容だ。適用範囲が南シナ海全域に及ぶのであれば、各国船舶の航行の自由を阻害し、一触即発の事態を招く危険性を助長するもので、東南アジア諸国のみならず、日本など国際社会の重大な脅威である。
 
 類似の措置には
(1)禁輸執行活動
(2)戦時および平時の臨検
(3)海上封鎖-などがある。
 手順はほぼ同様で、停船要求→臨検、捜索→拿(だ)捕(ほ)、乗組員の拘束という流れだ。相手の船舶が停船命令に応じず、抵抗した場合の威嚇射撃や攻撃が、通常は認められている。
 
 中国がこうした措置を、国際法を無視し領有権を主張する南シナ海で執行すれば、領有権を争うフィリピンやベトナムの艦船、船舶との間で衝突が生じる危険性は当然、高まる。
 このため、東南アジア諸国連合(ASEAN)のスリン事務総長は「緊張を激化させ、大きな紛争の引き金になり得る深刻な事態だ」と、強い調子で中国を非難する。フィリピン政府も「国際社会を脅かし、航行と通商の自由を妨げるものだ」と猛反発している。
 
 軍事専門家は「条例は国際法、国連海洋法条約を侵害するものだ。各国が対応策として自国の船舶を護衛すれば、衝突の確率はさらに高まる」と憂慮する。
 「中国は武力で脅迫し、(南シナ海を)支配下に置こうとしている」(ベトナム共産党機関紙ニャンザン)との危機感から、中国の条例を「国連安保理で協議すべきだ」(外交筋)との見解も出されている。
 
 
 
 
 
 【プノンペン=青木伸行】
 東南アジア諸国連合(ASEAN)と、日米中など計18カ国の首脳による東アジアサミット(EAS)が20日、カンボジアの首都プノンペンで開かれ、南シナ海の領有権問題をはじめ海洋の安全保障を中心に協議した。中国に国際法の順守と、「南シナ海行動規範」の策定に応じるよう求める見解が大勢を占めた。中国は南シナ海の領有権を重ねて主張した。
 
 会議にはオバマ米大統領、野田佳彦首相、中国の温家宝首相らが出席した。
 米国は海洋の安全保障問題を国際法に基づき、多国間の枠組みで解決することを中国に要求。南シナ海の安全を確保するためのルールである「行動規範」の早期交渉に入るよう迫った。
 日本も尖閣諸島問題も念頭に、「すべての国が国連海洋法条約をはじめとする国際法を順守し、平和的に解決するよう求める。行動規範の早期締結を期待する」と表明し、米国と足並みをそろえた。
 
 これに対し、中国は南シナ海問題を「国際化」することには強く反対し、あくまで2国間で解決すべきであるとの従来の主張を展開。南シナ海はスカボロー礁を含め「中国の領土であり論争はない。主権を守る行動は必要、正当なものだ」と日米に反論した。
 
 北朝鮮に関し米国は、大量破壊兵器の不拡散における地域協力を強化する重要性を強調。日本は「北朝鮮は非核化への具体的な行動が求められる。日本は拉致問題など人権問題も重視している」と表明した。
 
 
 
 
 
 フィリピン政府は29日、中国の南シナ海などの領有を図示した新規旅券(パスポート)を、無効とする方針を表明した。ベトナムがとっている対抗措置と同様で、旅券を無効としながらも入国は拒否せず、査証(ビザ)は別の書類に記載し発給する。
 外務省は、南シナ海の領有権は中国にあるという「曲解が正当化されることを、避けるための措置だ」と説明した。一方、ロサリオ外相は同日、スカボロー礁になお、中国船3隻がとどまっているとし、中国側に退去を求めた。
 新規旅券をめぐっては、東南アジア諸国連合(ASEAN)にも批判と懸念が高まっている。インドネシアのマルティ外相は、新規旅券は領有権を争う「関係国の反応をみるための陰険なものだ。発行されても(領有権問題への)効果は何もない」と批判した。
 

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