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環太平洋戦略的経済連携協定

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環太平洋戦略的経済連携協定

  現在のTPP加盟国(通称:P4)
  TPP参加交渉国
加盟が予想される国の指導者がTPPサミットで撮影した集合写真
 
 環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、TPPTrans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、アジア太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA)である。原協定は、2005年6月3日にシンガポールブルネイチリニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。
 2011年現在、アメリカオーストラリアマレーシアベトナムペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっている。9か国による交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指している。日本の野田総理大臣は、2011年11月11日に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したが、拡大交渉会合への参加は許可されず、交渉会合中の情報共有や協議には応じない方針が明らかにされている。
 
 原協定の目標は、2006年1月1日で加盟国間のすべての関税の90%を撤廃し、2015年までに全ての貿易の関税を削減しゼロにすることであり、産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定のすべての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている。
 
 概要
 2006年5月28日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した経済連携協定である。
 2015年までに加盟国間の貿易において、工業品、農業品、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどをはじめ、全品目の関税を10年以内に原則全面撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指すFTA(自由貿易協定[5]を包括するEPA(経済連携協定)を目標としている。実質的に相互の関税自主権の放棄と他のあらゆる貿易障壁の撤廃、サービスの自由化である。
 TPPの発足時の目的は、「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」であった。
 
 2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加し、10月にマレーシアが交渉に参加した。 2010年11月に開かれた2010年日本APECで、2011年アメリカAPECまでの妥結と結論を目標にしていたが、2011年11月に開かれた2011年アメリカAPECの会合では大枠合意にとどまり「2012年内の最終妥結を目指す」と先延ばしされている。
 加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると、その91%を日本とアメリカの2か国が占めるため、実質は日米FTAだとの見方もある。

原協定

 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、その名の通り、環太平洋の国々における(Trans-Pacific)戦略的な(Strategic)経済連携協定(Economic Partnership Agreement)である。 2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。
 
 当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年メキシコロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合で、ブルネイは完全な交渉当事者として加わった。 この成立の経緯から、この貿易圏を構成する原加盟国4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれるようになった。
 
 「運用中であるTPP」と「拡大交渉中のTPP」を区別するために、原協定(original agreement)をP4協定P4 Agreement)と呼び、拡大交渉中のTPPをTPP協定TPP Agreement)と呼ぶことがある。
 
 
 
日本におけるTPPに対する試算・評価
 TPP加入による経済効果として、内閣府は10年間でGDP2.4 - 3.2兆円の増加、農水省は11.6兆円の損失と雇用340万人減(廃業農家による代替の生産活動が一切行われない場合)、経産省はTPPに不参加の場合は参加した場合に比べてGDP10.5兆円減と雇用81.2万人減(日本は不参加の中で韓国が米中EUとFTA締結した場合)との試算を発表している。
 日本経済団体連合会(日本経団連)会長米倉弘昌は記者会見で「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」と語った。
 
 一方で、全国農業協同組合中央会(JA全中)会長茂木守は全国集会でTPP交渉への参加に反対する立場で挨拶を行い、日本医師会は定例会見で「TPPへの参加によって、日本の医療に市場原理主義が持ち込まれ、最終的には国民皆保険の崩壊につながりかねない」と指摘している。
 また、日本との貿易量が大きい中国と韓国や、タイやインドネシア、台湾などアジアの主要国の複数が参加しないTPPは日本の利益にならないとの意見もある。このように属する立場によって賛成と反対が真っ向から分かれている。
 
 ISD条項に基づく訴訟、グローバル・インバランスの是正問題や道徳観、諸外国の廉価な食料を日本が輸入することによる日本の農業の衰退や食糧自給率の低下、世界的な食料価格の高騰に対する対応力低下の懸念、「非関税障壁」とそれに関わる可能性のある国民皆保険、混合医療(医療費高騰)、食の安全の問題、移動の自由化による海外労働者の流入による賃金・雇用の問題、協定のイニシアチブをめぐる力関係への懸念から、TPP加入は国益にならないと主張している。

各自治体の試算

  • 北海道では、仮に日本がTPPに参加すると、道内の主力産業である農林水産業や観光業にとりわけ大きな影響があるため、単年度で道内に2兆1千億円の影響が出て、約17万人の雇用が失われると試算している。
  • 岩手県では、仮に日本がTPPに参加するとコメや畜産品の生産の減少が予測され、県内生産額が2410億円減少すると試算している。
  • 宮城県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内の農業生産額が1875億円から58%減少し、789億円に落ち込む(1089億円の損失)と試算している。
  • 千葉県では、仮に日本がTPPに参加した場合、農業分野において1380億円の損失を出すとし、特に米損失額は727億円になるとしている。
  • 長野県では、仮に日本がTPPに参加した場合、680億円から700億円の損失が出るとしているが、特に農林地域社会への影響として、「耕作遺棄地の増加により、病害虫の発生や野生鳥獣被害の増加」や「中山間地域での離農の増加により、定住人口の減少とそれに伴う地域経済や集落機能の低下」が予想されている。
  • 三重県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内の農業生産額が約500億円減少すると推定している。
  • 兵庫県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内農業生産額の53%にあたる776億円が失われるとしている。その為、2010年12月、慎重な対応を求める意見書を国に提出している。
  • 香川県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内農業生産額が米や牛乳、乳製品など十品目で計264億円減少すると試算している。
  • 鳥取県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内農業生産額が316億円(県内生産額の45%)減少すると公表している。
  • 島根県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内農業生産額に315億円(県内生産額の52%)の損失を出す、としている。
  • 長崎県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内の農業生産額が497億円(県内生産額の36%)、漁業生産額が180億円減少するとしている。
  • 熊本県では、仮に日本がTPPに参加した場合、県内農業生産額が1147億円の損失を蒙るとしている。
  • 宮崎県は、仮に日本がTPPに参加した場合、農業生産額の減少が1529億円、関連産業の生産額の減少が832億円と見積もっている。
  • 鹿児島県では、仮に日本がTPPに参加した場合、農業生産額は1813億円減少し(県内生産額の44%)、関連産業が蒙る損失は1858億円に上り、さらに地域経済が蒙る損失額は1996億円(推定損失額総計は5667億円)に上るとしている。特にサトウキビ生産は崩壊し、製糖工場の廃業で115億円、地域経済に115億円の損失が出るとしている。
  • 沖縄県庁は、仮に日本がTPPに参加すると県内生産額が1420億円の打撃を受けると試算している。特に肉牛やサトウキビなどの農林水産物に影響が大きく及ぶとしている。そのため、2011年11月1日に仲井真弘多知事が政府と与野党にTPP参加反対を求める要望書を手渡した。
 

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