中国政府系ファンドが狙う“86銘柄” 「尖閣」関係悪化で異変!
2012.12.07
いつの間にか主要な日本企業の大株主となっている中国政府系ファンドの運用スタンスに異変が起きている。3月から9月にかけて日本株が下落し、尖閣問題で日中関係が悪化したのと歩調を合わせるかように、銘柄の選別を進めているという。そんななか、この半年で保有株数を増やした銘柄は別表の86社。その思惑は-。
中国の政府系ファンドは、中国投資有限責任公司(CIC)や中国国家為替管理局(SAFE)が資金の出し手とみられるが、大株主として表には出ず、「SSBT OD05オムニバスアカウントトリーティ」などのカストディアン(投資家のために有価証券を保管する金融機関)名義となっている。2009年ごろから日本株買いを急速に拡大させてきたが、尖閣問題に火が付いた後、保有株の投げ売りが懸念されていた。
実際にどう動いたのか。ちばぎんアセットマネジメントの調べによると、9月末時点で中国政府系ファンドが大株主となっている銘柄は173社と、3月末との比較で1社純増となったが、保有時価総額は3兆406億円と半年間で5405億円も減少した。日本株の保有額が減少したのは09年以降初めてという。
その背景について、ちばぎんアセットの安藤富士男顧問は「同じ期間に東証株価指数(TOPIX)は13%下落しており、保有額の減少は株価下落で説明がつく。保有株を一気に手放せば損をするのは彼らなので、日本株を潤沢に継続保有しているとみていいだろう」と解説する。
一方、運用スタンスには大きな変化がみられる。「これまでは買い一辺倒だったのが、買い増す銘柄の選別を行っている」と安藤氏は指摘する。
たとえば業績が悪化し、株価も急落した家電メーカーのうち、シャープの保有株数は3月末比8%減、ソニーは4%減だったのに対し、パナソニックは実に35%増で、株主順位も7位から5位に浮上した。自動車関連でも、トヨタ自動車や日産自動車が微減の一方、三菱自動車やダイハツ工業、スズキなどが保有株数を増やした。このほか、全日空が52%増、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが37%増となったのが目立った。
三井物産や三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村ホールディングスで3位株主となり、不動産や防衛産業でも上位と不気味な存在だ。
前出の安藤氏は「株価の割安さや業績の改善可能性を分析しており、純投資として考えていいのではないか」と語るが、今後もその動向に目が離せない。
http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20121207/inv1212071535002-n1.htm
中国の政府系ファンドは、中国投資有限責任公司(CIC)や中国国家為替管理局(SAFE)が資金の出し手とみられるが、大株主として表には出ず、「SSBT OD05オムニバスアカウントトリーティ」などのカストディアン(投資家のために有価証券を保管する金融機関)名義となっている。2009年ごろから日本株買いを急速に拡大させてきたが、尖閣問題に火が付いた後、保有株の投げ売りが懸念されていた。
実際にどう動いたのか。ちばぎんアセットマネジメントの調べによると、9月末時点で中国政府系ファンドが大株主となっている銘柄は173社と、3月末との比較で1社純増となったが、保有時価総額は3兆406億円と半年間で5405億円も減少した。日本株の保有額が減少したのは09年以降初めてという。
その背景について、ちばぎんアセットの安藤富士男顧問は「同じ期間に東証株価指数(TOPIX)は13%下落しており、保有額の減少は株価下落で説明がつく。保有株を一気に手放せば損をするのは彼らなので、日本株を潤沢に継続保有しているとみていいだろう」と解説する。
一方、運用スタンスには大きな変化がみられる。「これまでは買い一辺倒だったのが、買い増す銘柄の選別を行っている」と安藤氏は指摘する。
たとえば業績が悪化し、株価も急落した家電メーカーのうち、シャープの保有株数は3月末比8%減、ソニーは4%減だったのに対し、パナソニックは実に35%増で、株主順位も7位から5位に浮上した。自動車関連でも、トヨタ自動車や日産自動車が微減の一方、三菱自動車やダイハツ工業、スズキなどが保有株数を増やした。このほか、全日空が52%増、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが37%増となったのが目立った。
三井物産や三菱UFJフィナンシャル・グループ、野村ホールディングスで3位株主となり、不動産や防衛産業でも上位と不気味な存在だ。
前出の安藤氏は「株価の割安さや業績の改善可能性を分析しており、純投資として考えていいのではないか」と語るが、今後もその動向に目が離せない。
http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20121207/inv1212071535002-n1.htm
沖縄県・尖閣諸島に触手を伸ばしてきた中国だが、日本の株式市場でも中国系とみられる企業や人物の不審な動きが相次いでいる。華々しく上場して日本の投資家から資金を巻き上げては短期間で姿を消す企業や、経営不振の日本企業に入り込む「赤いハイエナ」のごとき勢力が跳梁跋扈する。資本市場でも日本の防衛力が問われている。
日本市場で存在感を高めるチャイナマネーといえば、中国政府系とみられるファンドが日本の主要企業200社以上の上位株主となっていることがよく知られるが、ここ数年、日本に上陸する中国系の企業や資本も別の意味で目立っている。
2007年に中国本土系の企業として初めて東証マザーズに上場した情報関連企業、アジア・メディアは上場で51億円を調達した。ところが同社前CEOが会社の資金を私的に流用したことが発覚、決算について監査法人が意見を表明せず、上場からわずか1年数カ月で上場廃止となった。
日本の上場企業が中国マネーにしゃぶり尽くされたケースもある。
ジャスダック上場のITソフトウエア関連会社、セラーテムテクノロジーは08年、第三者割当増資で調達した資金で中国のソフトウエア開発会社を子会社化したと発表。しかし、増資は架空で、実際には中国企業がセラーテムを支配していた。中国企業が審査を経ず「裏口上場」をもくろんだとみられる。
今年3月、同社の元最高財務責任者らが金融商品取引法違反容疑で逮捕、起訴され、同社は7月に上場廃止となった。
また、新興不動産のパシフィック・ホールディングスは経営再建策として中国の投資家による出資話が浮上、株価が一時急騰したものの、結局出資は行われず、同社は09年に経営破綻した。中国マネーの幻に企業も投資家も踊らされた形だ。
前出のセラーテムはもともと中国系企業ではないが、金商法違反で起訴された元最高財務責任者が元中国籍だったとされる。この人物は、中国本土系として初めて東証1部に上場した環境関連企業、チャイナ・ボーチーの副総裁を名乗っていたことがある。
そのチャイナ・ボーチーはセラーテムの上場廃止と時を同じくして、経営陣による公開買い付け(MBO)で非上場化すると発表した。上場廃止予定日は11月12日。1株6000円で総額21億円を買い付けるというが、「上場時の公募で1株16万円(株式分割を考慮すると実質8万円)で約120億円を集めたことを考えると、日本の大多数の投資家が大きな損失を負ったのではないか」(準大手証券アナリスト)との声も聞かれる。
一方、香港で創業し、2004年に東証の中国系企業第1号としてマザーズに上場した新華ファイナンス(現・新華ホールディングス)は現在も上場を維持している。ただ、同社の初値が5万4333円(株式分割を考慮)、05年には10万5000円(同)まで上昇したが、いまや300円台半ばと初値の約150分の1に縮小している。
上場廃止や株価の暴落自体も投資家にとって問題だが、アジアメディアの本店所在地は英領バミューダ、チャイナ・ボーチーと新華はケイマン諸島のため、チェックが及びにくく、株主代表訴訟などの手を打てない点も共通している。
中国系企業をめぐる問題が続発している背景について、ある市場関係者はこう指摘する。
「2000年ごろから中国企業が海外の証券取引所に相次いで上場し、日本の証取も中国企業の誘致に躍起になった。その結果、資金や業績、人脈などの適切なチェックがなされないまま中国企業の流入を許した」
甘い「守り」が相手につけ入る隙を与えるのは政治も経済も同じだろう。
日本市場で存在感を高めるチャイナマネーといえば、中国政府系とみられるファンドが日本の主要企業200社以上の上位株主となっていることがよく知られるが、ここ数年、日本に上陸する中国系の企業や資本も別の意味で目立っている。
2007年に中国本土系の企業として初めて東証マザーズに上場した情報関連企業、アジア・メディアは上場で51億円を調達した。ところが同社前CEOが会社の資金を私的に流用したことが発覚、決算について監査法人が意見を表明せず、上場からわずか1年数カ月で上場廃止となった。
日本の上場企業が中国マネーにしゃぶり尽くされたケースもある。
ジャスダック上場のITソフトウエア関連会社、セラーテムテクノロジーは08年、第三者割当増資で調達した資金で中国のソフトウエア開発会社を子会社化したと発表。しかし、増資は架空で、実際には中国企業がセラーテムを支配していた。中国企業が審査を経ず「裏口上場」をもくろんだとみられる。
今年3月、同社の元最高財務責任者らが金融商品取引法違反容疑で逮捕、起訴され、同社は7月に上場廃止となった。
また、新興不動産のパシフィック・ホールディングスは経営再建策として中国の投資家による出資話が浮上、株価が一時急騰したものの、結局出資は行われず、同社は09年に経営破綻した。中国マネーの幻に企業も投資家も踊らされた形だ。
前出のセラーテムはもともと中国系企業ではないが、金商法違反で起訴された元最高財務責任者が元中国籍だったとされる。この人物は、中国本土系として初めて東証1部に上場した環境関連企業、チャイナ・ボーチーの副総裁を名乗っていたことがある。
そのチャイナ・ボーチーはセラーテムの上場廃止と時を同じくして、経営陣による公開買い付け(MBO)で非上場化すると発表した。上場廃止予定日は11月12日。1株6000円で総額21億円を買い付けるというが、「上場時の公募で1株16万円(株式分割を考慮すると実質8万円)で約120億円を集めたことを考えると、日本の大多数の投資家が大きな損失を負ったのではないか」(準大手証券アナリスト)との声も聞かれる。
一方、香港で創業し、2004年に東証の中国系企業第1号としてマザーズに上場した新華ファイナンス(現・新華ホールディングス)は現在も上場を維持している。ただ、同社の初値が5万4333円(株式分割を考慮)、05年には10万5000円(同)まで上昇したが、いまや300円台半ばと初値の約150分の1に縮小している。
上場廃止や株価の暴落自体も投資家にとって問題だが、アジアメディアの本店所在地は英領バミューダ、チャイナ・ボーチーと新華はケイマン諸島のため、チェックが及びにくく、株主代表訴訟などの手を打てない点も共通している。
中国系企業をめぐる問題が続発している背景について、ある市場関係者はこう指摘する。
「2000年ごろから中国企業が海外の証券取引所に相次いで上場し、日本の証取も中国企業の誘致に躍起になった。その結果、資金や業績、人脈などの適切なチェックがなされないまま中国企業の流入を許した」
甘い「守り」が相手につけ入る隙を与えるのは政治も経済も同じだろう。