国家賠償法
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
○2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
○2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
○2 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
憲法17条「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国または公共団体に、その賠償を求めることができる」
「法律の定めるところにより」の法律→国家賠償法
条文は6つのみ。
覚えるのは1条と2条でいいです。
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
論点
○国家補償→「国家賠償」と「損失補償」
国民が行政府から損害や損失を受けると「国家補償」を受けれます。
「国家賠償」→国や公共団体の「違法行為」によって国民が損害を受けた場合。
「損失補償」→国や公共団体の「適法行為」によって国民が損害を受けた場合。
○賠償責任
なぜ国に賠償責任があるのか?
・公権力行使にかかわる不法行為。(1条)
・公の営造物の設置または管理の瑕疵。(2条)
国に賠償責任を追及するためには。
・その処分(行政作用)が「公権力の行使」に該当する
・加害者が「公務員」であること
などが必要になってきます。
それはさらに具体的にはどういうことなのか?
○公権力の行使。
これは国民の被害救済のために「広く」解釈されます。
行政作用のうち。
公権力の行使→国や公共団体の純然たる私経済作用と国家賠償法2条にある公の営造物の設置または管理作用を除くすべての作用。
※ここ注意!
「公の営造物の設置または管理作用」と「純然たる私経済作用」→「公権力の行使」に含まれない!
「公の営造物の設置または管理作用」は2条で救済する。
例:含まれるもの
○強制執行
○行政指導
○公立学校の教育活動
○裁判所の裁判
○検察官の訴追行為
例:含まれないもの。
×市バスの運行
×水道供給事業
×国立病院の医療行為
○職務を行うについて。
公務員の行為が「その職務を行うについて」に該当するものでなければ、国家賠償の対象とはなりません。公務員が行ったことはすべて「職務」になるのか?
その区分の基準は。
・外形主義
その公務員が「内心」どう思っていたのかは関係ない。
行為を客観的にみて、「職務」の外形を備えているか?で判断します。
例:警察官が非番の日(休みの日)に、個人的に制服を着て、同僚から盗んだ拳銃を発砲し殺人を犯した。これは個人的犯行か?はたまた国家賠償責任を問えるか?
答え→自己の利を図る意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形を備える行為をして、これによって他人に損害を加えた場合には、国または公共団体に損害賠償の責を負わしめる。
似ているもの。試験での区別注意。
・代位責任
行為をした公務員に故意過失がなければ、国家賠償責任を問えない。
これは国または公共団体の責任の性格について。
その公務員自身の不法行為が成立することを前提とし、国や公共団体の責任はその不法行為責任を代わりに負担するというものです。
故意とは「わざと」、過失とは「ミス・不注意」
「過失」は「公務員が職務上要求される標準的な注意義務に違反しているかどうか」を客観的に判断されます。
※国家賠償法の2条について。
○無過失責任
国家賠償法1条は上記のように「公務員の故意過失」が要件。
つまり「過失責任」です。
対して。
国家賠償法2条は「無過失責任」です。
つまり、この成立に「過失」は必要ありません。
「行政法がわかった」はここをあっさりと終わってます。
ちょっと補足しておきます。
国家賠償法2条は民法717条の土地の工作物の設置保存の瑕疵責任の特別法の性格をもっています。
参照:民法717条(不法行為)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
国家賠償法2条との違い。
・「公の営造物」はほぼ「公物」と同じ意味であり、民法717条の「土地の工作物」よりも対象は広い。たとえば土地建物だけではなく、警官の拳銃や警察犬、公用車なども含まれる。
・そして民法717条には占有者の免責があるが、国家賠償法にはない。
「設置または管理の瑕疵」は「公の造営物が通常備えるべき安全性を具備していない状態。
国家賠償法2条は、ただこの客観的な瑕疵が存在することを要件とします。
※国家賠償と損失補償の違い。
国民が損害を受ける。
↓
国家補償(国家賠償、損失補償)
・国、公共団体の「違法行為」によって、国民が損害を受ける。
↓
国家賠償。憲法17条根拠。国家賠償法。民事訴訟手続。
・国、公共団体の「適法行為」によって、国民が損害を受ける。
↓
損失補償。憲法29条根拠。個別の法律による。行政訴訟手続。
http://blogs.yahoo.co.jp/isseisina/25699122.html
「法律の定めるところにより」の法律→国家賠償法
条文は6つのみ。
覚えるのは1条と2条でいいです。
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第2条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
論点
○国家補償→「国家賠償」と「損失補償」
国民が行政府から損害や損失を受けると「国家補償」を受けれます。
「国家賠償」→国や公共団体の「違法行為」によって国民が損害を受けた場合。
「損失補償」→国や公共団体の「適法行為」によって国民が損害を受けた場合。
○賠償責任
なぜ国に賠償責任があるのか?
・公権力行使にかかわる不法行為。(1条)
・公の営造物の設置または管理の瑕疵。(2条)
国に賠償責任を追及するためには。
・その処分(行政作用)が「公権力の行使」に該当する
・加害者が「公務員」であること
などが必要になってきます。
それはさらに具体的にはどういうことなのか?
○公権力の行使。
これは国民の被害救済のために「広く」解釈されます。
行政作用のうち。
公権力の行使→国や公共団体の純然たる私経済作用と国家賠償法2条にある公の営造物の設置または管理作用を除くすべての作用。
※ここ注意!
「公の営造物の設置または管理作用」と「純然たる私経済作用」→「公権力の行使」に含まれない!
「公の営造物の設置または管理作用」は2条で救済する。
例:含まれるもの
○強制執行
○行政指導
○公立学校の教育活動
○裁判所の裁判
○検察官の訴追行為
例:含まれないもの。
×市バスの運行
×水道供給事業
×国立病院の医療行為
○職務を行うについて。
公務員の行為が「その職務を行うについて」に該当するものでなければ、国家賠償の対象とはなりません。公務員が行ったことはすべて「職務」になるのか?
その区分の基準は。
・外形主義
その公務員が「内心」どう思っていたのかは関係ない。
行為を客観的にみて、「職務」の外形を備えているか?で判断します。
例:警察官が非番の日(休みの日)に、個人的に制服を着て、同僚から盗んだ拳銃を発砲し殺人を犯した。これは個人的犯行か?はたまた国家賠償責任を問えるか?
答え→自己の利を図る意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形を備える行為をして、これによって他人に損害を加えた場合には、国または公共団体に損害賠償の責を負わしめる。
似ているもの。試験での区別注意。
・代位責任
行為をした公務員に故意過失がなければ、国家賠償責任を問えない。
これは国または公共団体の責任の性格について。
その公務員自身の不法行為が成立することを前提とし、国や公共団体の責任はその不法行為責任を代わりに負担するというものです。
故意とは「わざと」、過失とは「ミス・不注意」
「過失」は「公務員が職務上要求される標準的な注意義務に違反しているかどうか」を客観的に判断されます。
※国家賠償法の2条について。
○無過失責任
国家賠償法1条は上記のように「公務員の故意過失」が要件。
つまり「過失責任」です。
対して。
国家賠償法2条は「無過失責任」です。
つまり、この成立に「過失」は必要ありません。
「行政法がわかった」はここをあっさりと終わってます。
ちょっと補足しておきます。
国家賠償法2条は民法717条の土地の工作物の設置保存の瑕疵責任の特別法の性格をもっています。
参照:民法717条(不法行為)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
国家賠償法2条との違い。
・「公の営造物」はほぼ「公物」と同じ意味であり、民法717条の「土地の工作物」よりも対象は広い。たとえば土地建物だけではなく、警官の拳銃や警察犬、公用車なども含まれる。
・そして民法717条には占有者の免責があるが、国家賠償法にはない。
「設置または管理の瑕疵」は「公の造営物が通常備えるべき安全性を具備していない状態。
国家賠償法2条は、ただこの客観的な瑕疵が存在することを要件とします。
※国家賠償と損失補償の違い。
国民が損害を受ける。
↓
国家補償(国家賠償、損失補償)
・国、公共団体の「違法行為」によって、国民が損害を受ける。
↓
国家賠償。憲法17条根拠。国家賠償法。民事訴訟手続。
・国、公共団体の「適法行為」によって、国民が損害を受ける。
↓
損失補償。憲法29条根拠。個別の法律による。行政訴訟手続。
http://blogs.yahoo.co.jp/isseisina/25699122.html