用 語 解 説
地層処分の技術的な用語については、「高レベル放射性廃棄物の処分について考えてみませんか」(経済産業省資源エネルギー庁)等の関連パンフレットに詳しく載っていますので、そちらも参照して下さい。
地層処分の技術的な用語については、「高レベル放射性廃棄物の処分について考えてみませんか」(経済産業省資源エネルギー庁)等の関連パンフレットに詳しく載っていますので、そちらも参照して下さい。
あ
アクセス坑道
人間、機械、空気などが出入りする、地表と地下施設とを結ぶ通路。立坑、斜坑、スパイラル坑
道などがある。(→立坑、斜坑、スパイラル坑道)
安全評価
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムが安全上受け入れられるものか否かを判断するため、
人間とその生活環境への影響を解析した結果を基に、適切な安全基準と比較、評価すること1)。
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムが安全上受け入れられるものか否かを判断するため、
人間とその生活環境への影響を解析した結果を基に、適切な安全基準と比較、評価すること1)。
オーバーパック
ガラス固化体を包み込み、ガラス固化体に地下水が接触することを防止し、地圧などの外力から
ガラス固化体を保護する容器。人工バリアの構成要素の一つ。候補材料は炭素鋼などの金属である1)。
か
核種
特定の原子番号と質量数により特定される元素の種類のこと。例えば、ウラン元素には、核種と
してU-235(原子番号92、質量数235)やU-238(原子番号92、質量数238)などが含まれている2)。
核種
特定の原子番号と質量数により特定される元素の種類のこと。例えば、ウラン元素には、核種と
してU-235(原子番号92、質量数235)やU-238(原子番号92、質量数238)などが含まれている2)。
核種分離技術
高レベル放射性廃棄物や使用済燃料に含まれる核種を、それぞれの核種の物理的あるいは化学的
特徴を利用して、核変換の方法や利用目的に応じていくつかのグループ、元素あるいは核種に分離
する技術2)。
高レベル放射性廃棄物や使用済燃料に含まれる核種を、それぞれの核種の物理的あるいは化学的
特徴を利用して、核変換の方法や利用目的に応じていくつかのグループ、元素あるいは核種に分離
する技術2)。
核変換技術
分離した後、中性子やγ線等の放射線を照射することにより、長寿命の放射性核種を短寿命また
は非放射性核種に変換する技術2)。
ガラス固化
再処理の過程において使用済燃料から分離される高レベル放射性廃液を、ガラス繊維と一緒に高
温で加熱することにより水分を蒸発させるとともに非晶質に固結(ガラス化)し、物理的・化学的
に安定な形態にするプロセス。廃液はステンレス製の堅牢な容器(キャニスタ)に閉じ込められた
状態でガラス固化され、人工バリアの構成要素のひとつであるガラス固化体となる。ガラス固化体
は放射性物質を安定な形態に保持し、地下水に対する耐浸出性に優れることが特徴1)。
緩衝材
オーバーパックと地層の間に充填し、地下水の浸入と放射性物質の溶出・移行を抑制するもの。
さらに地層の変位を物理的に緩衝するクッションの働きや、地下水の水質を化学的に緩衝して変化
を抑える働きをもつ。人工バリアの構成要素の一つ。候補材料はベントナイトなどの粘土である1)。
オーバーパックと地層の間に充填し、地下水の浸入と放射性物質の溶出・移行を抑制するもの。
さらに地層の変位を物理的に緩衝するクッションの働きや、地下水の水質を化学的に緩衝して変化
を抑える働きをもつ。人工バリアの構成要素の一つ。候補材料はベントナイトなどの粘土である1)。
環境影響評価
高レベル放射性廃棄物の処分場の開発によって、大気、水域、地圏、生物圏(生態系)などの
自然環境および地域経済・社会、土地利用、景観、歴史的遺産などの社会環境に対し、どのような影
響があるかを予測・解析した結果をもとに、適切な環境指標およびその基準値と比較、評価するこ
とを環境影響評価(略して環境評価、あるいは環境アセスメント)と言う。
また許認可手続などで正式に行われる環境影響評価の結果を示した報告書のことを米国などでは
環境影響評価書(EIS)、フィンランドなどでは環境影響評価報告書(EIA)と言う。
さらに米国では、本格的に環境影響評価を実施する前に、十分な証拠揃えと解析を行ってから正
式な環境影響評価書(EIS)を作成するかどうかを決めるため、予備的に環境アセスメントを行う
ことがあるが、これを環境アセスメント書(EA)と言う。
式な環境影響評価書(EIS)を作成するかどうかを決めるため、予備的に環境アセスメントを行う
ことがあるが、これを環境アセスメント書(EA)と言う。
キャスク
もともとは、放射性物質を密封し、内容物の漏出を阻止し、放射線を容器外で規定値以下に保持
し、核的臨界を防止し、容器外側での温度を規定以下に保持するとともに、規定で定められた耐火
条件、落下衝突条件、浸漬条件においても内容物を保護するように、輸送物を収納した輸送用の容
器を言う。フラスコと呼ぶ場合もある。
器を言う。フラスコと呼ぶ場合もある。
現在は、キャスクを貯蔵用に用いる国が増えている。また、ドイツのように、処分用の容器に用いる国もある。
キャニスタ
高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を収納する容器を言う。使用済燃料を直接処分する国では、
使用済燃料を収納する容器をいうことが多く、その場合の容器はわが国のオーバーパックの機能を
有している場合が多い。米国では廃棄物パッケージという。(→オーバーパック)
高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を収納する容器を言う。使用済燃料を直接処分する国では、
使用済燃料を収納する容器をいうことが多く、その場合の容器はわが国のオーバーパックの機能を
有している場合が多い。米国では廃棄物パッケージという。(→オーバーパック)
拠出金
放射性廃棄物、特に高レベル放射性廃棄物の処分事業などに要する費用を賄うために、法令に
よって設置された放射性廃棄物基金に、費用負担責任のある放射性廃棄物発生者が払い込む資金を
拠出金と言う。
拠出金は、国によってさまざまな呼び方がある。米国などは料金、スウェーデンなどは納付金、
フィンランドなどは積立金、スイスなどは分担金と言う。
結晶質岩系
地層処分の観点から分類された岩石のひとつで、マグマが冷えて固まってできた岩石(火成岩)
や、既存の岩石が熱・圧力によって構造が変化してできた岩石(変成岩)を指す。性能評価の観点
から最も重要な特徴は、地下水の流動に対して亀裂状媒体(割れ目の中を選択的に地下水が移動す
る)として扱われること。例:花崗岩体1)。
建設・操業・閉鎖
建設は、高レベル放射性廃棄物定置のための地下施設(地下坑道群)と地上施設を構築すること
を指す。操業は高レベル放射性廃棄物の受け入れ、廃棄物や緩衝材の搬送・定置、さらにその後に行
われる処分坑道、主要坑道の埋め戻し作業を指す。
閉鎖は、連絡坑道、アクセス坑道およびボーリング孔を埋め戻し、さらに地上施設の解体・撤去を指す。
高レベル放射性廃棄物
再処理の過程において使用済燃料から分離されるストロンチウム-90、セシウム-137に代表される
核分裂生成物とアメリシウム-241、ネプツニウム-237に代表されるアクチニド(原子番号89番以上
の元素。放射性元素である)を含む高レベル放射性廃液、またはそれをガラス固化したもの。発熱
量と放射能は時間とともに減衰する。ガラス固化体の発生量は、100万kWの原子力発電所の1年間
の運転に対して現状の技術ではおおよそ30本程度である1)。(→ガラス固化)
なお、使用済燃料を再処理せずに廃棄物として直接処分する国の場合は、使用済燃料自体が高レ
ベル放射性廃棄物となる。(→使用済燃料)
個人線量
体内に摂取された放射性物質あるいは体外から個人が受ける放射線量を個人線量といい、個人に
対する放射線影響の程度を表す尺度となる。通常は、実効線量(単位:Sv(シーベルト))で表す1)。
体内に摂取された放射性物質あるいは体外から個人が受ける放射線量を個人線量といい、個人に
対する放射線影響の程度を表す尺度となる。通常は、実効線量(単位:Sv(シーベルト))で表す1)。
さ
再処理
原子炉で使用した燃料の中には、燃え残りのウランや新しくできたプルトニウム等燃料として再
び利用できるものと、ウラン等が分裂してできた核分裂生成物が含まれている。これらを化学的プ
ロセスにより、再び燃料として利用できるウラン、プルトニウムと高レベル放射性廃棄物に分離する
作業をいう2)。(→高レベル放射性廃棄物)
再処理
原子炉で使用した燃料の中には、燃え残りのウランや新しくできたプルトニウム等燃料として再
び利用できるものと、ウラン等が分裂してできた核分裂生成物が含まれている。これらを化学的プ
ロセスにより、再び燃料として利用できるウラン、プルトニウムと高レベル放射性廃棄物に分離する
作業をいう2)。(→高レベル放射性廃棄物)
サイト選定
地層処分を行う場所(サイト)を選定すること。また、そのプロセス。わが国では、法令に基づき、
地層処分を行う場所(サイト)を選定すること。また、そのプロセス。わが国では、法令に基づき、
概要調査地区の選定、精密調査地区の選定、最終処分施設建設地の選定の3段階の選定プロセスを
経て行われることになっているが、国によって段階の区分や呼び方は異なっている。
経て行われることになっているが、国によって段階の区分や呼び方は異なっている。
サイト特性調査
処分予定地において、処分施設の設計や処分システムの性能評価に必要な情報を取得するために
実施する調査。地表からのボーリング調査や物理探査、地下施設を用いた調査などにより、地表か
ら地下深部までの地層および地下水の性質(例えば、地質構造、岩盤物性、地下水の水質や流動特
性など)を体系的に調べる1)。いずれの国においても、サイト特性調査の手順は、文献等既存の情
報に基づく調査、地表からのボーリング等調査、地下施設を用いた調査の順番に行われるが、区分
や呼び方は国によって異なっている。
シナリオ
放射性廃棄物が人間環境に及ぼす影響を評価する観点から、地層処分システムの処分直後の状態
を基に、長期間のうちにその状態を変化させる可能性のある一連の現象を想定し、これらを組み合
わせて地層処分システムの長期挙動を描いたもの。シナリオを作成する目的は、地層処分システ
ムの長期挙動を時系列的に記述することにより、地層処分システムの性能を解析するための道筋を
規定し、その解析に必要なモデルの開発やデータ収集の枠組みを与えることである1)。
斜坑
人間、機械、空気などが出入りする、地表と地下施設とを斜めに結ぶ通路。(→アクセス坑道)
使用済燃料
原子炉燃料として使用され、規定の燃焼度に達した後に原子炉から取り出された燃料をいう2)。
原子炉燃料として使用され、規定の燃焼度に達した後に原子炉から取り出された燃料をいう2)。
処分坑道
処分場において高レベル放射性廃棄物を運搬、埋設するための地下深部の水平坑道1)。
人工バリア
多重バリアシステムの構成要素のひとつで、ガラス固化体、オーバーパックおよび緩衝材から成
る部分。高レベル放射性廃棄物が人間の生活環境に影響を及ぼさないようにする障壁として、人工
的に形成したもの1)。
スパイラル坑道
人間、機械、空気などが出入りする、地表と地下施設とを螺旋状に結ぶ通路。(→アクセス坑道)
制度的管理
処分を適切に実施するため、法令に従って当局あるいは指定機関が行う管理のこと。能動的な管
理(人間による処分場の管理・保守、環境放射能のモニタリングなど)および受動的な管理(フェン
スやマーカーの設置、記録の保管、土地使用の制限など)に分けられる1)。
性能評価
地層処分システム全体、あるいはその要素である個別システムが有する機能について解析した結
果を適切な基準と比較し、その性能について判断を行うこと。解析の対象が地層処分全体で、比較
の基準が安全性に関わるものである場合には、性能評価は安全評価と同義である1)。
た
堆積岩系
地層処分の観点から分類された岩石のひとつで、海底や河床などに運ばれた堆積物や火山の噴
出物などが固まってできた岩石を指す。性能評価の観点から最も重要な特徴は、地下水の流動に対
して多孔質媒体(岩石の粒子の間の空隙中をほぼ均一に地下水が移動する)として扱われること。
例:泥岩層1)。
多重バリアシステム
高レベル放射性廃棄物を、長期間にわたり生物圏から隔離し、放射性物質の移動を抑えることに
より、処分された放射性廃棄物による影響が、将来にわたって人間とその環境に及ばないようにす
るための多層の防護系から成るシステム。工学技術により設けられる人工バリアと、天然の地層で
ある天然バリアにより構成される1)。(→人工バリア、天然バリア)
h
ttp://www2.rwmc.or.jp/pub/HLWKJ-200410ed.pdf