大隅半島
行政区域としては鹿児島県のうち曽於地区と肝属地区の4市5町を指すのが一般的であるが、地形的にはそのうち曽於市の一部(旧末吉町・財部町)が除かれ、反対に霧島市の一部(旧福山町)が半島に属するものとされる。また、半島振興法の指定を受けている「大隅地域」として桜島全域と宮崎県の一部も属する。
以下の1町を含む。
- 大崎町(おおさきちょう)
地理
半島振興法の指定を受けている地域の面積は2,541平方キロメートル。総面積の65%が森林で占められている。
薩摩半島とともに鹿児島湾(錦江湾)を囲み、東岸は太平洋(フィリピン海)に面する。南端は佐多岬で、国際海峡の大隅海峡をはさんで大隅諸島と対峙する。西岸には桜島が陸続きとなっている。また、東岸には、内之浦湾、志布志湾といった入り江がある。
高隈山地が半島の北西を、肝属山地(国見山系)が半島の南東を、鰐塚山地が半島の北東をそれぞれ走る。中央部には肝属川の沖積平野とシラス台地の笠野原台地を中心とする肝属平野や鹿屋丘陵といった低地が広がり、地形的には北に隣接する都城盆地と連続している。
人口
半島振興法の指定を受けている地域の人口は314,200人(2000年国勢調査)。1955年の466,128人から32.6%の減少となり、鹿屋市の一部と日南市南郷町を除く市町が過疎地域に指定されている。
政治
産業
行政区域
半島振興法における「大隅地域」の範囲。
交通
鉄道
志布志駅からJR日南線が宮崎市方面へ繋がり、また、曽於市財部町内をJR日豊本線が通過するが、大隅半島全体においてはそのほとんどが鉄道空白域となっている。ただし、鹿屋市からは新幹線最寄駅となる鹿児島中央駅への直行バスが運行されている。
1987年3月までは志布志駅から大隅半島を横断し鹿児島湾沿いを北上する国鉄大隅線、志布志駅から都城方面へ向かう国鉄志布志線があった。このうち、大隅線の串良駅-古江駅間は1935年まで私鉄の大隅鉄道であった。
バス
鹿児島県内はいわさきグループの三州自動車(2011年12月に大隅交通ネットワークから社名変更)が各地に路線を開設しているが、2006年11月の不採算路線の大幅廃止などで縮小傾向にある(廃止路線の一部は各自治体がコミュニティバスとして引き継いでいる)。拠点となるのは鹿屋市街地の「鹿屋」停留所(バスセンターは2006年に解体)。鹿屋からは鹿児島空港・鹿児島中央駅行きの直行バスが運行されている。なお、桜島は鹿児島市交通局の路線も開設されている。
船舶
長距離路線として志布志港から大阪方面へさんふらわあ(ダイヤモンドフェリー)が運航している。また、県庁所在地である鹿児島市へは陸路では大回りとなることから、『鴨池・垂水フェリー』(いわさきグループ)が垂水港から、『桜島フェリー』(鹿児島市船舶部)が桜島港から、南大隅町の根占港と指宿市の山川港を結ぶ(フェリーなんきゅ])がそれぞれ運航している。
道路
一般国道は、志布志市から大隅半島を横断し鹿児島湾沿いを北上する国道220号、南大隅町から鹿屋市を経由し都城市へ北上する国道269号、錦江町を横断し志布志湾沿岸を周回する国道448号、鹿屋市 - 鹿児島空港間を最短距離で結ぶ国道504号の4本がある。このうち国が管理する国道(指定区間)は国道220号のみである。この他に桜島の南側を通る国道224号、曽於市を通過する国道10号がある。
その他の主な道路には、鹿屋市以南を縦断する主要地方道鹿屋吾平佐多線(県道68号)、佐多岬に至る佐多岬ロードパーク(南大隅町道)がある。
マスメディア
県域規模で展開しているマスメディアについては鹿児島県#マスメディアまたは宮崎県#マスメディアを参照。地上波放送については宮崎県側で鹿児島県側の放送を、あるいは鹿児島県側で宮崎県側の放送も視聴・聴取できる地域が少なくない。特に宮崎県側のラジオ放送は鹿児島県側全域を公式にカバーしている。
関連項目
和銅6年(713年)4月3日に、日向国の肝杯郡、囎唹郡、大隅郡、姶羅郡の四郡を分けて設けられた。この姶羅郡は、現在の鹿屋市周辺を指し、後に肝属郡に編入された。現在の姶良郡は、始羅(しら)郡がこの姶羅と混同されたための名称である。また、菱苅郡(現在の伊佐市周辺)・桑原郡(姶良郡湧水町周辺)・始羅郡(姶良市周辺)は、成立当初の囎唹郡に含まれる。
参考資料
- 町田洋他編 『日本の地形 7 九州・南西諸島』 東京大学出版会、2001年、口絵、193-199頁。 ISBN 4-13-064717-2
- 大隅地域半島振興計画(PDF) - 宮崎県・鹿児島県、2005年12月。